2023.08.21 損保ジャパン 自然災害への備えをサポート、「かんたん家財評価ツール」提供開始 業界初、顧客自ら家財評価額を算出
損保ジャパンはこのほど、顧客の自然災害への備えをサポートするための取り組みとして、「かんたん家財評価ツール」の提供を開始した。パソコンやスマートフォンを使って自宅の家財評価額を算出し、適正な保険金額を設定してもらうことで、被災時にも十分な保険金を受け取れるよう促していく。同社によると、顧客自らが家財評価額を算出するツールを損保会社が提供するのは初めてだという。
顧客の所有する家財の評価額を可視化する「かんたん家財評価ツール」は、専用ページにアクセスして利用するオンラインツールで、「大人の人数」「子どもの人数」「世帯主の年齢」の3項目を入力するだけで、目安となる家財評価額を算出することができる。評価額は「家具」「衣類」「家電」「身の回り品」「趣味・娯楽」「学用品・玩具」「その他」の7項目で視覚的に表示される。
また、各項目の内訳ごとに、顧客の実態に合った家財の金額に調整することができる。例えば、「家具」では「ソファ、テーブル、カーテンなど」「ベッド、寝具類、タンスなど」「照明、暖房器具など」に分かれており、それぞれ5万円単位から増減できる。
最終的に確定した家財評価結果は、ワンクリックでPDFのチラシとして出力され、保存したり、印刷したりすることができる。チラシは、イラストを多く使って家財の簡易評価額を分かりやすく表示する他、日常生活の事故による家財の損害事例や、地震では家財の地震保険への加入が必要なことなど、家財保険の備えを促す注意喚起のメッセージが記されている。
同社が「かんたん家財評価ツール」を開発したのは、近年の大規模自然災害による被害額の拡大と「補償ギャップ」が背景にある。自然災害の頻発化・激甚化に伴い、住宅物件の事故件数と支払保険金は増加傾向にある。とりわけ大規模水害が多発しており、建物だけでなく、家財の被害額も拡大している。
一方、同社が実施したアンケート調査によると、回答者の80%以上が自宅の家財総額について「500万円未満」を選択。同社が回答者の世帯主年齢と家族構成から算出した推奨家財評価額の目安とは大幅な乖離(かいり)があり、適正な家財保険金額の設定が大きな課題であることが明らかになった。
また、ユーザー調査会社が実施した家財の地震保険に関するインターネット調査では、保険金受領者の9割以上が、地震保険金が被災後の生活再建に役立ったと回答する一方、家財の保険金額が実際よりも低く、地震保険金が少なかったと考える回答者が5割近くに上った。
こうしたアンケート結果などを踏まえ、同社では、顧客に対して建物だけでなく家財に対する補償の必要性を訴求することや、最適補償を提案することで被災時でも万全な備えをしてもらうという保険会社としての使命を果たすこと、また、顧客に納得感がある家財評価額の設定を促す、といった目的で同ツールを開発した。
今後は、主に同社の代理店を通じてツールの活用を推進していく。顧客が作成した各チラシに付けられた「評価結果ID」を代理店に伝えれば、代理店は評価結果を共有できる仕組みになっている。また、代理店従業員単位で作成したチラシをひも付けられることから、保険金額の見直し提案の成果をデータ化して販売施策に生かすこともできる。
「かんたん家財評価ツール」を開発したリテール商品業務部個人財産グループでは、「お客さまが被災した際にも十分な補償が受けられるよう備えていただくことをサポートするのは保険会社の使命であり、かんたん家財評価ツールを通じて適正な保険金額を設定してもらえるよう取り組んでいきたい」として、今後の普及に意欲を示している。