2023.06.01 明治安田生命グループ 22年度決算、グループ保険料30%増で4年ぶり3兆円超水準 基礎利益はコロナ等で11%減4018億円に
明治安田生命が5月23日に発表した2022年度決算によると、グループ保険料は明治安田生命単体における外貨建一時払保険の販売量増加およびスタンコープ社の増収を主因にコロナ禍前の19年度を上回る水準まで増加し、前年度比30.6%増の3兆6702億円と18年度以来4年ぶりに3兆円を上回る水準となった。グループ基礎利益は明治安田生命単体におけるコロナ関連の支払い増加、ヘッジコストの上昇、外貨建保険の標準責任準備金の積立負担の発生等により、同11.1%減益の4018億円。健全性を示す指標のグループESRは前年度末から約5ポイント減の205%程度、オンバランス自己資本は同1092億円増の4兆2480億円といずれも高い水準を維持した。23年度業績については、グループ・単体ともに保険料等収入は「減収」、利益水準は「横ばい」を見込む。
グループ保険料のうち、明治安田生命単体が前年度比31.1%増の3兆2036億円、海外保険事業等が同27.4%増の4665億円で、そのうちスタンコープ社は同24.3%増の4264億円だった。海外保険事業等の保険料は初めて4000億円を上回る水準まで増加した。
グループ基礎利益のうち、明治安田生命単体が前年度比14.9%減の3716億円、海外保険事業等が同42.2%増の511億円で、そのうちスタンコープ社はコロナ関連の支払い減少の影響等により同59.5%増の359億円だった。なお、グループ基礎利益は11.1%減となったが、特殊要因(コロナ関連の支払い・外貨建保険の標準責任準備金の積立負担)の影響を除くと前年度から8.5%の増益となる。
連結の経常収益は同28.5%増の5兆4166億円、経常費用は同29.2%増の5兆1459億円、経常利益は同17.0%増の2707億円、親会社に帰属する当期純剰余は同52.8%減の858億円だった。
連結ソルベンシー・マージン比率は前年度末差124.8ポイント低下し1010.7%となったが、引き続き高い健全性を維持している。また、経済価値ベースの企業価値を表す指標の「グループサープラス」は、新契約の獲得や国内金利の上昇、円安の進行等を主因に同2400億円増加し、7兆9700億円となった。
「MY Mutual Way Ⅰ期」(21~23年度)に掲げる経営目標の進捗状況としては、「グループサープラス」は8.1%増(目標:13%成長)、グループESRは205%程度(目標:安定的に165%以上)、オンバランス自己資本は4.2兆円(目標:4.4兆円)、グループ基礎利益は4018億円(目標:4500億円程度を安定的に確保)、保有契約年換算保険料(保障性商品)は6150億円(目標:6200億円)、顧客数は1218万人(目標:1235万人)、うち個人営業は722万人(目標:723万人)、法人営業は495万人(目標:513万人)、MYリンクコーディネーター等在籍者数は3万6649万人(目標:3万8000人)となる。
23年度の業績見通しでは、グループ保険料は、営業職員チャネルと銀行窓販チャネルにおける外貨建一時払保険の販売量減少により9%の「減収」となるものの、22年度に続き3兆円を超える水準の3兆3500億円程度(うち明治安田生命単体は2兆9000億円程度〈9%減〉、スタンコープ社は4200億円程度〈横ばい〉)、グループ基礎利益は、コロナ関連の支払いが減少するものの、ヘッジコストの高止まり等により「横ばい」の4000億円程度(うち明治安田生命単体は3700億円程度〈横ばい〉、スタンコープ社は420億円程度〈17%増〉)を見込む。
明治安田生命単体の業績で、経常収益は前年度比28.8%増の4兆8034億円、保険料等収入は同31.1%増の3兆2036億円となった。このうち、個人保険・個人年金保険は同45.3%増の2兆3547億円で、うち営業職員チャネルが同28.2%増の1兆7066億円で、営業職員チャネルにおける平準払保険が同2.8%減の1兆1952億円、一時払保険が同404.0%増の5113億円だった。銀行窓販チャネルは同141.2%増の6128億円だった。
新契約年換算保険料は、外貨建一時払保険の販売量増加を主因にコロナ禍前の19年度(1051億円)比で1.5倍以上の水準に増加し、前年度比57.7%増の1631億円となった。このうち、営業職員チャネルは同40.7%増の1260億円、銀行窓販チャネルは同189.5%増の356億円だった。保障性商品新契約年換算保険料は新商品の「終身医療保険」「がん終身保険」の販売好調等により、こちらもコロナ禍前の19年度(418億円)を上回る水準の同10.3%増の428億円。なお、第三分野新契約年換算保険料は同6.4%増の464億円となった。
保有契約年換算保険料は、新契約の好調を主因に前年度末比0.1%増の2兆1705億円。このうち、営業職員チャネルは同0.5%増の1兆6292億円、銀行窓販チャネルは同1.0%減の4963億円となった。商品別では、保障性商品、第三分野ともに増加し、保障性商品保有契約年換算保険料は同0.9%増の6150億円、第三分野保有契約年換算保険料は同2.9%増の4887億円となった。
団体保険の保有契約高は同0.1%増の116兆3955億円で、引き続き業界トップシェアを堅持している。団体年金保険は同0.1%増加して7兆9081億円。
単体の基礎利益は3716億円と前年度比14.9%の減益となった。そのうち、保険関係損益はコロナ関連の支払い増加、外貨建保険の標準責任準備金の積立負担の発生により同37.6%減の1566億円、運用関係損益はヘッジコストが上昇したものの、オープン外債の積み増し等により、外国公社債の利息及び配当金等収入が増加したことから同15.8%増の2149億円だった。
資産運用収支(一般勘定)は、ヘッジコストの上昇等に伴う金融派生商品費用の増加を主因に前年度差637億円減の7953億円となった。利息及び配当金等収入は9885億円と同1001億円の増加。
一般勘定資産全体の含み損益は内外金利上昇による公社債、外国証券の含み益の減少を主因に4兆3208億円と、前年度末から1兆3706億円減少した。
経常利益は同14.0%増の2830億円、当期純剰余は同44.0%減の1041億円だった。
ソルベンシー・マージン比率は含み益の減少等により前年度末差80.8ポイント低下したものの、980.8%と引き続き高い健全性を維持している。オンバランス自己資本は内部留保の積み増し等により同1092億円増加し4兆2480億円。実質純資産額は含み益の減少等により、同1兆2859億円減少し8兆6148億円となった。
契約クオリティを示す指標では、解約・失効・減額率(個人保険・個人年金保険)は円安の影響で外貨建保険の解約が増加した結果、5.53%と前年度差1.21ポイント上昇したが、主力商品は同0.04ポイント増の5.43%と依然として低位な水準を維持し、引き続き良好に推移している。総合継続率(個人保険・個人年金保険)は、13月目が同0.2ポイント低下の94.9%、25月目が同0.3ポイント上昇の89.4%、61月目が同0.9ポイント低下の70.3%となった。
スタンコープ社の業績は、保険料等収入は、主力の団体保険事業の既契約更新や、個人就業不能保険の新契約が好調だったことを主因に、前年度比24.3%増の4264億円。基礎利益相当額および当期純利益は、コロナ禍に起因する保険金等支払いの減少に加え、金利上昇に伴う資産運用収益の増加等により増益となり、基礎利益相当額が同59.5%増の359億円、当期純利益が同37.1%増の176億円となった。