2023.06.02 住友生命グループ 22年度決算 新契約保険料は29%増に、基礎利益は22%減2613億円

住友生命が5月23日に発表した2022年度決算によると、住友生命グループの新契約年換算保険料は、住友生命での海外金利上昇等に伴う外貨建一時払商品の販売好調や海外事業(シメトラ)での個人年金・企業保険の販売増および円安影響により、前年比28.9%増の2780億円となった。グループの保険料等収入は、新契約の増加に伴い同7.1%増の2兆5830億円。基礎利益は海外事業(シメトラ)が伸展した一方、住友生命・メディケア生命でコロナ支払増の影響などを受け、同22.6%減の2613億円だった。23年度のグループ業績予想については、保険料等収入は前年比0.9%減の2兆5600億円程度、基礎利益は同12.0%減の2300億円程度を見込む。

住友生命グループの新契約年換算保険料2780億円のうち、住友生命は海外金利上昇等に伴い外貨建一時払商品の販売が好調となったことなどにより前年比8.6%増の1094億円、メディケア生命は同6.5%減の184億円となり、国内事業全体では同6.1%増の1278億円となった。海外事業(シメトラ)は、個人年金や企業保険の販売が増加したことに加え為替が円安に進んだことも寄与し、同57.7%増の1502億円だった。
保有契約年換算保険料は、メディケア生命、海外事業(シメトラ)を中心に保有契約が増加した結果、グループ全体で前年度末比5.5%増の3兆422億円となった。うち住友生命は同0.4%減の2兆2596億円、メディケア生命は同19.7%増の854億円で、国内事業全体では同0.2%増の2兆3451億円。海外事業(シメトラ)は同28.2%増の6970億円だった。
グループの保険料等収入2兆5830億円のうち、住友生命は外貨建一時払商品の販売増を主因に前年比3.4%増の2兆2164億円、メディケア生命は新契約の増加に伴い保有契約が増加したことから同41.5%増の940億円となり、国内事業全体では同4.6%増の2兆3108億円となった。海外事業(シメトラ)は、保有契約の増加に加え円安も寄与し、同34.7%増の2721億円だった。
グループの基礎利益2613億円のうち、住友生命は新型コロナウイルス感染症に関連した入院給付金等の支払い増加を主因に前年比29.1%減の2363億円、メディケア生命は好調な販売に伴う契約初期費用の発生に加え、新型コロナウイルス感染症に関連した入院給付金等の支払い増加もあり、▲301億円(前年度実績▲295億円)。国内事業全体では同32.1%減の2062億円だった。海外事業はシメトラで新型コロナウイルス感染症の影響が改善したことに加え、円安に進んだことも寄与し、同54.3%増の614億円だった。
住友生命単体の利息及び配当金等収入は、円安による外国証券の利息や配当金の増加、国内株式の配当金増加の影響などで前年比937億円(14.0%)増の7611億円となった。資産運用収支は、利息及び配当金等収入は増加する一方で、為替ヘッジコストの上昇による金融派生商品収益費用の増加などにより、同1139億円(15.6%)減の6143億円。
連結ソルベンシー・マージン比率は、内外金利の上昇を受けてその他有価証券評価差額金が減少したことなどにより前年度末比115.6ポイント低下し679.0%となったが、引き続き200%を上回る高い健全性を維持している。資産と負債を整合的に評価する経済価値ベースのソルベンシー比率(ESR)は、内外金利の上昇によって負債の経済価値も減少するため、同15.3ポイント上昇し209.9%となった。
ヨーロピアン・エンベディッド・バリュー(EEV)は、海外金利の上昇によるマイナスの影響がある一方、新契約獲得や保有契約からの収益確保など保険事業のプラスの影響により、前年度末比722億円増の4兆7512億円となった。
23年度のグループ業績見通しについては、連結保険料等収入は、メディケア生命やシメトラで保有契約の増加を見込むものの、住友生命で外貨建一時払商品の競合他社との競争激化による反動減を想定し、前年比横ばい(0.9%減収)の2兆5600億円程度と見込む。うち住友生命が同3.4%減収の2兆1400億円程度。グループ基礎利益は、国内事業で新型コロナウイルス感染症に対する支払いの影響が緩和されるものの、住友生命でヘッジコスト拡大に伴う資産運用収益の減少や、新中計に掲げる新規イノベーションの創出などに向けた積極投資を踏まえ、同12.0%減益の2300億円程度と見込む。うち住友生命が同19.6%減益の1900億円程度。
住友生命では23年~25年度末までの3カ年にわたって「スミセイ中期経営計画2025」を進めており、①グループウェルビーイング価値提供顧客数(国内)②グループ保有年換算保険料③グループ基礎利益―を計数目標として設定し、25年度末で①について1460万人(うちVitality会員数240万人)、②について3兆3400億円、③について3年累計で7300億円―の目標を設定している。22年度の実績は、①が1285万人(うちVitality会員数105万人)、②が3兆422億円、③が2613億円(3年累計8746億円)。また、「住友生命グループVision2030」では、2030年にありたい姿として「ウェルビーイング価値提供顧客数2000万人、うちVitality会員数500万人」の目標を掲げている。