2023.04.14 住友生命 新3カ年中計と「グループVision2030」策定、ウェルビーイング価値2千万人に Vitality会員500万人目指す
住友生命は3月24日、「社会公共の福祉に貢献する」というパーパスのもと、同社の果たすべき使命として定めている「サステナビリティ経営方針」を実現するため、2030年に向けた住友生命グループの目指す姿として「住友生命グループVision2030」を定め公表した。また、それを踏まえ、4月からスタートする新3カ年計画「スミセイ中期経営計画2025」を策定した。
住友生命は20年4月にスタートした前中期経営計画「スミセイ中期経営計画2022」で、社会に「なくてはならない」保険会社の実現を目指し、「社会に貢献する」「社会に信頼される」「社会の変化に適応する」を基軸に、あらゆる事業を顧客に寄り添って前進させてきた。計数目標については新型コロナウイルス感染症等の影響を受けての改定はあったが、18年7月に発売した健康増進型保険“住友生命「Vitality」”の累計契約件数は130万件を突破、メディケア生命の保有件数も150万件を突破するなど、いずれも目標を上回る見込みとのこと。
計数目標の遂行結果としては、保有件数(住友生命+メディケア生命+業務提携先)は、目標1400万件に対し実績1465万件、保有年換算保険料(住友生命+メディケア生命)は目標2兆3100万円に対し実績2兆3441億円で、このうち生前給付保障・医療保障等(住友生命+メディケア生命)は、目標6100億円に対し実績6378億円となった。また、国内事業基礎利益(注1)(住友生命+メディケア生命)は、目標3年累計9010億円に対し実績は同9032億円で、海外事業基礎利益(シメトラ+アジア4社)は、目標3年累計1030億円に対し実績は同1349億円(以上、22年度末見込み)。
新たに策定した「住友生命グループVision2030」については、「中期経営計画の策定にあたって将来の『ありたい姿』を明確化することが大切であると考え、まずは2030年を到達点とする『住友生命グループVision2030』を定めた」としており、2030年時点のありたい姿を「ウェルビーイングに貢献する『なくてはならない保険会社グループ』」とし、その実現のため、「Vitalityを核とした先進価値で、保険や健康増進といった顧客ニーズに応えていく領域はもとより、地域創生や地球環境といった社会課題の解決にも積極的に取り組む。また、ビジネスパートナーや従業員といったすべてのステークホルダーのウェルビーイングを支える取り組みを進め、1人でも多くの人の『よりよく生きる』に貢献し、持続可能な未来の実現を目指す」としている。そのための目標として「ウェルビーイング価値提供顧客数2000万人、うちVitality会員数500万人」を設定している。
「スミセイ中期経営計画2025」は、「住友生命グループVision2030」を実現するために、次の3年間に取り組むべき課題と対策をバックキャスティングしたもので、基本方針として、特にこれからの3年間を2030年に向けた軌道を確立する期間と位置付け、厳しい経営環境が想定される中においても将来への投資を行い、確実な成長・飛躍を目指していくとしている。
2025中計の計数目標は、グループウェルビーイング価値提供顧客数(国内)1460万人、グループ保有年換算保険料3兆3400万円、グループ基礎利益3年累計で7300億円と設定、また住友生命単体の計数目標として、ウェルビーイング価値提供顧客数1170万人、Vitality会員数240万人、保有年換算保険料2兆2600億円、基礎利益(注2)3年累計6000億円―を設定。
また、サステナビリティ重要項目(マテリアリティ)の推進としてサステナビリティ重要項目に引き続き取り組むとともに、パーパスの社内外への浸透や、不祥事故・コンプライアンス違反の根絶を含む企業風土の醸成にも取り組み、今後予想されるさまざまな事業リスクへの対策も講じ、事業サステナビリティを高めていくとしている。同項目には、①サステナビリティを支える経営体制として、グループベースの経営体制強化、コンプライアンスへの取り組み、人権への取り組み、個人情報保護への取り組み、ERM経営の推進・リスク管理体制の高度化、②ステークホルダーとの信頼関係の構築として、金融リテラシー教育の推進、カーボンニュートラル社会実現への貢献、地域に根付いたウェルビーイングサービスの提供、社会貢献活動の推進、③持続的・安定的な成長の実現として、働き方の変革やリソースの最適化を通じた生産性向上、 柔軟で多様な人財の採用と共育、 協業等によるビジネスパートナーとの共生、 オープンイノベーションによる新たな価値創造、 海外事業を通じた収益基盤の多様化、事業展開インフラ(IT等)の強化、④保険事業を通じた安心の提供として、“住友生命「Vitality」”に関する事業を推進、人生100年時代の見据えたサービスや情報提供の推進、 持続可能性を考慮した責任投資―が掲げられている。
2025中計では、サステナビリティ重要項目に対する取り組みを進めるとともに、「ウェルビーイングデザインへの進化」「新規領域でのイノベーションの実現」「収益構造改革」「グループ戦略」という四つの取り組みからウェルビーイング領域を広げ、2026年度以降の飛躍につなげる。また、「人財共育」と「デジタル&データ」をこの四つの取り組みの推進エンジンとして、全社横断的に各種取り組みを加速させる。
(注1)2021年度以前の定義に基づく。
(注2)為替に係るヘッジコストを算定に含めるなど22年度から適用された定義に基づく。