2022.09.22 損保協会 定例会見「災害便乗商法」で相談ダイヤル開設、保険金に関する消費者からの問い合わせに対応 チラシやバナー広告での注意喚起も
損保協会は9月16日、業界紙向けの定例記者会見を開催し、前日に日銀記者クラブで行われた白川儀一協会長の会見内容を報告した。それによると、同協会では16日に、自然災害に乗じて消費者に火災保険・地震保険の請求を勧誘する悪徳な業者とのトラブルに関する問い合わせや相談の窓口として「保険金に関する災害便乗商法相談ダイヤル」を開設するとともに、ウェブバナー広告による注意喚起を開始し、トラブルの防止により積極的に取り組んでいく考えを示した。
自然災害の増加に伴い、被災者の不安につけこみ、災害の被害に便乗して不正な請求を促す悪質な業者によるトラブルが増加している。2021年度に消費生活センター等に寄せられた住宅修理サービストラブルについての相談件数は5093件と、5年前の約3倍になっており、地域問わず全国的に発生しているという。
こうした状況を受けて、同協会では8月に消費者庁、警察庁、金融庁、および独立行政法人国民生活センターの協力を得て、「2022年度版住宅修理サービストラブル注意喚起チラシ」を130万部作成。同協会の会員会社や各地域の消費生活センター等を通じて保険契約者や一般消費者に配布している。また、ニュース番組でも本問題を取り上げてもらうなど周知活動を積極的に行っている。
今回の相談ダイヤルは、「保険申請サポート業者から勧誘を受けた」「保険申請サポート業者との契約を解除したい」等で困っている人からの相談や問い合わせを受け付けるもので、同協会損害サービス企画部内にダイヤルを開設し、当面は数人程度で対応する。月曜日から金曜日(祝日および年末年始休業期間を除く)の午前9時から12時、午後1時から5時まで利用できる。消費者の不安を払しょくしつつ注意喚起を促すとともに、受付内容によっては消費生活センターへの案内や保険会社への連絡を行う場合もある。相談内容は今後の注意喚起の取り組みにも生かしていく。
また、インターネットで勧誘する業者とのトラブルが多発していることから、ウェブバナー広告による注意喚起も行う。広告は3種類で、「あなたの保険金が狙われています」「保険金のおいしい話には罠がある」「火災・地震保険申請のご相談は、直接保険会社・保険代理店へ」とのメッセージが表示されており、ヤフー、グーグルといった検索サイト、ポイントサイトのホームページ、また、ツイッター、インスタグラムなどのSNSを通じて掲載される。白川協会長は、「お客さまをトラブルに巻き込み、または保険制度の健全性に影響を与えかねない悪質な行為を排除するべく、当協会ではさまざまな広報活動を実施している。今後もこうした取り組みを通じてタイムリーにお客さまをお守りできるよう、関連情報をお伝えしていきたい」としている。
会見ではこのほか、同協会の新型コロナウイルス感染症への対応、気候変動・自然災害における防災・減災に向けた取り組みやサステナビリティ関連課題への対応、デジタルトランスフォーメーションにおける標準化・共通化の加速やエマージングリスクへの取り組み、また、若年層の損害保険リテラシーの向上や交通事故被害者に対する精神的な二次被害への対応、地震保険の理解促進および加入促進など、6月末の白川協会長就任以降の取り組みが報告された。