2022.02.03 あいおいニッセイ同和損保 新社長に新納氏、成長基盤のさらなる強化目指す、他の業態とのパートナーシップにも意欲
あいおいニッセイ同和損保は1月31日、新社長就任に関する記者会見を東京都千代田区のトラストシティカンファレンス・丸の内で開催し、取締役常務執行役員の新納啓介(にいろ・けいすけ)氏が4月1日付で新社長に就任することを発表した。同日付で金杉恭三社長は代表取締役会長に就任する。金杉社長とともに会見に臨んだ新納常務は「1988年の入社以来、幅広い部門で経験を積んできた。今後は社長として、直近の部門でスローガンとして掲げてきた『やろうぜ!』精神で、現社長の金杉が作り上げた特色ある当社の成長基盤のさらなる強化に全力でチャレンジしてまいりたい」と意気込みを語った。
社長交代の理由について説明した金杉社長は、自身の65歳という節目と、2018年にスタートした中期経営計画「ADVision2021」の達成見通しが立ったことを挙げ、「新しい中期経営計画の良いスタートが切れるタイミングで新社長にバトンタッチができると考えた」と語った。「ADVision2021」をスタートして以降、同社では、テレマティクス自動車保険や地方創生の取り組みなど、先進性・多様性・地域密着を柱に取り組みを推進してきた。テレマティクス自動車保険は、20年9月に100万台を突破し、同社の自動車保険契約の30%以上を占めるまでに成長。地方創生の取り組みでは、全国380以上の地方公共団体との連携協定も進み、大学や警察との協定も進んでいる。こうした取り組みの結果、国内マーケットシェアは4年連続で拡大し、中期経営計画で掲げる損害サービス部門の目標や海外事業の計画も達成が見込まれているという。
社長のバトンを受け取った新納氏は「急速に事業環境が変化する中、経営トップのたすきを引き継いで経営のかじ取りを担っていくことは重責であり、身の引き締まる思いだ。まずは現在策定中の中期経営計画の完遂に向けて4月からトップスピードでスタートできるようリーダーシップを発揮し、MS&ADグループの中核事業会社の社長として世界トップ水準の保険・金融グループの実現に向けて力を尽くしていきたい」と語った。
記者から新納氏を抜てきした理由を問われた金杉社長は、59歳で社長に就任して以降続けてきた国内外への出張が精神的・体力的に厳しくなったことと、海外ビジネスにおける自身の語学力不足に課題を感じてきたことを挙げ、海外経験も豊富で、幅広い部署での経験を有し、同社の2度の統合推進を担ってきた新納氏に、その若さと経験を生かしてもらいたいと考えたと述べた。
また、新納氏の人柄については、「課題や問題から絶対に逃げずに正面を向いて突き進んでいく気合と根性がある」と太鼓判を押した。
新納氏への、いつ社長就任の内示を受けたかという質問には、「1月の初旬に『次を頼む』と言われて本当に驚いた。しかし、最初の合併以来、一緒に会社をつくってきた金杉からの指名を断るわけにはいかず、その場で覚悟を決めて『はい』と返事をした」と明かし、「会社を成長軌道に乗せた金杉の後を引き継ぐことにはプレッシャーもあるが、社員や社員の家族、代理店など大きなあいおいニッセイ同和ファミリーのためにやらねばという前向きなエネルギーが湧いてきている」と笑顔で答えた。
また、業界と自社の現状の課題について問われた新納氏は、①気候変動に伴う世界的な大規模自然災害の発生②サイバーリスクや新型コロナウイルスに代表される未知のリスクや新たなリスク③①と②に伴って加速するニューノーマルへの対応―を挙げ、損保会社としてマーケットイン型で顧客のさまざまなニーズに対応することはもちろん、従来の補償だけを提供する保険に付加価値を加えていく考えを示した。付加価値の付いた新たな保険を提供することで、その先にある地域の課題や社会課題の解決に貢献する方法を顧客や代理店、地域の自治体とともに模索していく考えで「社内に蓄積されたノウハウやデータの活用に加えて、社外の最先端技術を持った他の業態ともパートナーシップを組んで新しい領域にチャレンジしていく。そのためにリーダーシップを発揮していきたい」と語り、「当社の行動指針の中の『地域密着』と『情熱』の項目は、2度目の統合合併の際に私がこだわって加えたもの。ここにさらにこだわって磨きをかけていきたい」と強調した。