2022.02.01 日本生命 中堅企業向け団体定期を開発、デジタル完結で利便性高め事務負荷軽減

日本生命は1月31日、2023年1月から中堅企業(従業員規模100~1000人程度)向けの団体定期保険の新商品として「新無配当扱特約付団体定期保険」の引受けを開始すると発表した。商品内容を簡素化するとともに、加入申し込みや事務手続き等のデジタル化を図り契約者の事務負荷や事務コスト等を軽減することで、中堅企業でも導入しやすい商品とした。本年夏ごろから案内を開始する予定で、団体定期保険において、中堅企業向けに特化しデジタル手続きを前提とした商品の提供は生命保険業界初だという(22年1月時点、同社調べ)。

 「新無配当扱特約付団体定期保険」の保障内容は、被保険者が保険期間中に死亡したときに死亡保険金を支払うもの。死亡保険金額は任意で、配当はなく、本人(役員・従業員)、配偶者、子どもが加入可能。
 団体保険ならではの低廉な保険料が第一の特徴で、保険金額300万円、保険期間・保険料払込期間1年、導入企業の総従業員数100人の場合で、1人当たり月払保険料は、20歳男性で231円、同女性で96円、30歳男性で255円、同女性で144円、40歳男性で462円、同女性で342円―となる。
 デジタル完結の手続きについては、企業の労務担当者は、従来は書面で実施していた事務手続きや従業員への加入勧奨等をインターネット上で対応することができる。従業員は自身のスマートフォン等から、場所を問わずいつでも加入手続きをすることが可能。従来のパンフレット・申込書の送付や申込書の提出などが全てデジタル化され、企業側は申込書の回収や記入内容の確認といった業務が省略される。テレワークが進みロケーションフリーとなった職場環境にもフィットした利便性の高い仕組みとなっている。
 商品付帯サービスとして、健康・介護等の各種無料または割引サービス等の幅広いコンテンツを提供することも特徴で、中堅企業の経営課題や従業員の福利厚生拡充・満足度向上を通じて、人材不足に課題を感じている中堅企業を福利厚生制度面から応援していくとしている。
 現在検討中の付帯サービスには、加入者(従業員向け)にはメンタルヘルス・健康・介護等に関する無料相談、医療機関・介護施設の情報提供(無料)、健康・介護・レジャー・エンタメ・ショッピング・グルメ等の豊富な商品・サービスの割引、人事・総務担当者向けには職場内のメンタルヘルス対策、福利厚生・年金/退職金・健康管理・労務管理等の課題解決をサポートする情報提供(無料)、ストレスチェックや介護支援等の商品・サービスの割引―などがあり、ラインアップは適宜見直し、充実したコンテンツの提供に努めていくとしている。
 従業員の死亡に備える団体保険制度は、企業が保険料を負担する全員加入型の総合福祉団体定期保険と、従業員自助制度として従業員が保険料を負担する任意加入型の団体定期保険に大別される。
 団体定期保険は、一般的な個人保険と比較しスケールメリットなどを生かした低廉な保険料であることが特徴で、従業員が必要な保障額を選択し任意で加入することができることから、同社へも企業規模を問わず、多くの企業からのニーズが寄せられているという。
 一方で、団体定期保険は、従業員一人一人に手続きしてもらう必要があるため、生保会社と企業の手続きで完結する全員加入型の総合福祉団体定期保険と比べ、企業の労務担当者・生保会社双方にとって事務負荷が高いこと(労務担当者は、従業員への告知、パンフレット・申込書の配布・回収、生保会社への提出、といった手続きを毎年実施する必要がある)、事務負荷や事務コストをカバーするためには一定の従業員規模がないとコスト高になってしまうこと―を要因として、中堅企業への導入は進んでいなかったという。
 多くの生保会社では団体定期保険を主に大企業(目安として1000人以上)にしか提供してこなかったため、大企業の従業員には自助系の制度によって低廉な保険料で保険に加入する機会がある一方、中堅・中小企業の従業員にはそのような選択肢が少なかったという。日本生命の場合、同社の団体定期保険の導入企業の中で、中堅企業の導入率は6.6%にとどまっており、その大半が大企業の系列企業となっている状況とのこと。
 日本生命では、個人のライフスタイルや価値観の多様化が進む中、長い人生で自身でリスクに備える自助のニーズは高まっていき、企業もそうした従業員のニーズに合わせて、企業の魅力向上、人材確保等の観点からも、企業内の自助制度を拡充しようとするニーズが今後高まっていくと想定している。そこで、従来の団体定期保険の商品内容を簡素化し、デジタル完結の手続きを前提とした事務設計とするなどの抜本的な見直しを行い、デジタルを売りにした競争力のある商品を中堅企業に提供することで、業界最大手として今までリーチできなかった顧客層にリーチし、攻勢をかけていきたいとしている。
 同時に、この商品の普及を通じて、企業規模にかかわらず多くの従業員が低廉な保険料で保険に加入できる機会を創出することで、生命保険会社としての社会的意義を果たしていきたいとしている。
 販売目標は5年間で約5700企業、約100万人の加入者、死亡保障額にして1.7兆円を目指す。