2021.11.26 生保協会 定例会見、代理店業務品質評価などで報告 グリーフケア取組で手引書作成

生命保険協会の高田幸徳協会長は11月19日、東京都千代田区の同協会会議室で定例会見を開いた。会見では主に同協会が取り組みを進める①「保険金・給付金支払時にお客さまの心情に寄り添うためのハンドブック」の作成②乗合代理店における業務品質評価運営―の2点について説明した。この他に、新型コロナに関わる業界全体の特別取り扱いの申込状況や保険金等の支払い状況を報告した上で、「引き続き、生命保険業界を挙げて、お客さまに寄り添った対応に取り組むとともに、感染拡大防止に努めていく」と述べた。

 高田協会長は始めに、生保協会として「保険金・給付金支払時にお客さまの心情に寄り添うためのハンドブック」を作成したことを報告、「グリーフケア」の考え方の下、会員各社が保険金などを支払う際に、苦しみや悲しみを抱える遺族に寄り添った対応をするための手引きとして、会員各社に提供していくとした。
 同ハンドブックは、遺族にグリーフケアを贈るという習慣を普及させ遺族の痛みを軽減することを目標に活動している一般社団法人日本グリーフケアギフト協会の加藤美千代代表理事が監修している。高田協会長は、会員各社への浸透を目的に加藤氏による講演会を実施し、各社の顧客本位の取り組みを後押しすることで、業界全体で顧客サービスの底上げにつなげる考えを示した。また、同ハンドブックは、会員各社向けではあるものの、取り組みをより多くの人に周知してもらうことを目的に、同協会ホームページでも公表すると報告した。
 次に、乗合代理店における業務品質評価運営については、生保各社では、これまでも顧客本位の業務運営の推進に向けて代理店の業務品質を評価する取り組みを促進してきた一方で、業務品質の評価が各社で異なることから乗合代理店の負荷が大きいことや、より実質的な業務品質を評価する必要性に対する声が寄せられたとした。
 こうした点から、同協会では、代理店や消費者代表が参加する代理店業務品質スタディーグループを立ち上げ議論を実施。その中で、協会が代理店に対して業務品質評価を行うことについて多くの委員から賛成を得ることができたことから、業務品質評価運営の基本事項として、①業務品質評価運営の目的②業務品質評価運営の主体③活動内容④対象範囲―以上の四つを決定したと報告した。
 ①業務品質評価運営の目的は、(ア)代理店の業務品質について、実態も含めた消費者目線の評価を行うことで、代理店の業務品質向上を図ること(イ)代理店の業務品質評価を公表することで、消費者が代理店を選択するにあたって有用となる情報を提供すること(ウ)共通の業務品質評価基準に基づく業務品質評価を生命保険会社各社が共有することで、各社が行う業務品質評価について高度化・効率化を図ること―となる。
 ②主体は生保協会で、③活動内容は、(1)評価基準の策定(2)訪問による実態調査と結果の公表、④対象範囲は、生命保険代理店150~200店を想定している。
 詳細については、引き続き代理店業務品質スタディーグループを通じて調査・研究を行いながら、その状況を踏まえて検討を進めていくとし、「運営を通じて、生命保険業界として乗合代理店の“顧客本位の業務運営”の一層の推進を後押ししていく」との方針を示した。
 次に、新型コロナに関わる業界全体の特別取扱いの申込状況や保険金等の支払いの最新状況について報告。20年3月~21年10月までの累計で、保険料払込猶予期間の延長が約38万8000件、新規の契約者貸付に対する利息減免が約97万7000件、貸付金額は6276億円となった。
 また、保険金等の支払状況は、20年3月~21年10月までの累計で、死亡保険金が約1万4000件の918億1000万円、入院給付金が約52万7000件の538億9000万円となったと報告した上で、高田協会長は「死亡保険金や入院給付金の合計額は増加している一方で、新規感染者が減少傾向にあることから、今後の支払いペースは減少に転じる」との見解を示した。
 質疑応答では、記者からの「11月から金融サービス仲介業がスタートしたことを受けて、新仲介業サービスに対する期待について聞きたい」という質問に対して、「金融サービス仲介業は、保険だけなく、各金融分野において新しい接点づくりが期待されており、それによって顧客側は商品やサービスを検討する際の選択肢が増えることから、望ましいことだと考えている」と回答した。
 また、「特定保険契約や終身保険などが取り扱い対象外となっているが、取り扱い商品の線引きや規制の必要性について聞きたい」という質問に対して、「顧客への説明時に誤認が生じないように適切に理解してもらえる範囲を担保するという意味で、まずは一定の線引きをしたのではないかと認識している」と回答した。