2021.09.29 三菱UFJ銀行がスマホ起点で資産形成総合サポート 22年4月から東京海上日動と損保ジャパンが連携

三菱UFJ銀行は、スマートフォンを起点とした顧客との日常接点を増やし、End to Endで資産形成を総合的にサポートするサービス「Money Canvas」の提供を2021年12月から開始する。その中で保険商品の提供を22年4月から開始する予定で、東京海上日動と損保ジャパンが連携する。東京海上日動は女性向け医療保険、損保ジャパンは介護費用保険などの提供を予定している。

 三菱UFJ銀行では「Money Canvas」について、「まっしろなキャンバスに絵を描くように、自分に合った資産形成プランを描き実現するための資産運用プラットフォーム」としており、株式、投資信託、クラウドファンディング、保険、ポイント運用など、幅広い金融商品・サービスの中から、自分に合ったものを選んで組み合わせることができるようにする。商品の検討や購入はスマートフォン上で進めることができ、ニュースやコラム、一人ひとりのリスク許容度に応じた運用スタイルの診断サービス等を通じて、資産形成に役立つさまざまな情報を分かりやすく提供する。
 正式リリースに先行して10月から、顧客が資産形成を身近に感じ、始めるきっかけ作りとなるポイント運用およびポイントの株式交換サービスの提供を開始する。
 12月に「Money Canvas」を正式リリースし、三菱UFJフィナンシャル・グループの各企業や協働各社と連携することで、さまざまな金融商品・サービスをスマートフォンで一体提供するプラットフォームを構築する。株式、投資信託、合同金銭信託などのさまざまな金融商品の他、顧客のリスク許容度に応じて運用を任せる投資一任型サービス、ロボアドバイザーや、ファンドを通じて事業者に融資を行う融資型クラウドファンディング等のサービスも合わせて提供する予定。
 保険商品の提供は22年4月からの予定で、三菱UFJ銀行では、資産形成においては、貯蓄や投資の他、病気や事故などの不測の事態や将来の介護に備えることも重要であり、顧客のライフステージに合わせて加入できる分かりやすい補償内容と快適な加入体験を両立した保険を提供するとしている。
 以上の他にも、順次、商品・サービスや機能を拡充していくとしているが、「Money Canvas」の開発はFinatextグループのクラウド金融インフラ・データ基盤を活用することで、低コストかつ短期間での実装を実現したとのこと。外部の金融サービスとの連携を前提とした柔軟性と拡張性のある設計に基づき、今後も顧客の利便性を向上するサービスを継続的に提供していくとしている。

 ■東京海上日動
 分かりやすくシンプルな保険提供へ

 東京海上日動は9月2日、三菱UFJ銀行と新たな保険商品・サービスを共同開発することを発表した。まず、三菱UFJ銀行の「Money Canvas」で、顧客の資産形成をサポートすることを目的とした保険商品・サービスを提供する。
 今回、両社の協働により提供する保険商品・サービスでは、ニュースやコラム、ライフプランシミュレーション等を通じて顧客に保険を身近に感じてもらうとともに、デジタル技術を活用した分かりやすい補償設計と快適な加入体験を実現した新たな保険商品を顧客のライフステージに合わせて提供することで、顧客の資産形成をサポートする。
 “分かりやすく”“加入しやすい”オンライン完結型の商品と保険選択のサポートを目的としたコンテンツの提供を22年4月に開始する予定で、22年10月からライフステージに応じて自由にカスタマイズできる保険商品の提供、23年上期にウェブを通じて相談できる仕組みを提供する予定。
 22年4月に予定している商品・サービスの例としては、「女性のためのシンプル医療保険」が示されている。これは、帝王切開等の出産時のリスク、子宮筋腫・乳がんなどの“気になる女性特有の病気”をカバーするもので、申込書・告知書のやり取りなくオンラインで加入でき、入院日額5000円など分かりやすくシンプルな補償内容で、30~34歳女性の場合の月額保険料440円という資産形成層に優しい保険料水準が特徴。その他にもがん保険などシンプルな補償の保険を複数提供する予定とのこと。
 新型コロナウイルス感染拡大による非対面ニーズの高まりや、人生100年時代とも言われる高齢化の加速に伴い、顧客から求められる金融商品・サービスの内容や提供方法が変わりつつある。両社は、デジタル領域での事業展開や保険商品・サービスの開発を協働することで、顧客への新たな価値の提供と社会課題の解決を目指し、今後も新たなリスクに備える商品の開発などを検討していくとしている。

 ■損保ジャパン
 「SOMPO Park」と相互利用へ

 損保ジャパンは9月2日、三菱UFJ銀行とのタイアップにより、損保ジャパンが運営する会員制ウェブサイト「SOMPO Park」と三菱UFJ銀行の資産形成総合サポートサービス「Money Canvas」で相互の顧客がサービスを利用できる仕組みの検討を開始したことを発表した。スマートフォン起点による資産形成層へのアプローチは損保ジャパンにとっても有益なマーケットであるとしており、相互利用による業界の垣根を超えたサービスの提供の検討が、両社および両社の顧客にとってメリットがあると判断したことによる。三菱UFJ銀行と損保ジャパン間での会員サイトの相互連携は初の取り組みとなる。 
 「Money Canvas」を利用する顧客と月間7000万ページのアクセスのある会員制ウェブサイト「SOMPO Park」を利用する顧客に対して、おのおののサービスを相互に案内し、幅広い金融サービスと「楽しい」「得する」「役立つ」コンテンツを多くの顧客が利用することを目指す。
 損保ジャパンでは、「Money Canvas」を活用して資産形成を考える顧客に対して、“資産を増やす”を支える“資産を守る”保険商品を提供していくとしており、22年4月から「親子のちから」(親介護費用補償特約セット団体総合保険)を提供する予定。働く世代(資産形成層)の親の介護による負担は大きく、これからの長寿社会を支える働く世代の介護離職防止や経済的負担を軽減することをコンセプトにした保険商品で、対象者(被保険者の親または被保険者の配偶者の親で、加入時に指定)が保険期間中に所定の要介護状態に該当したことにより、被保険者が日本国内において対象者の介護のために対象期間中に利用したサービスの費用等を支払うもの。
 近年のデジタル化の加速により、さまざまな業界においてスマホ起点のサービス提供が進んでおり、損害保険や銀行などの金融業界においても、デジタルデバイスを通じた顧客接点の強化が求められている。そこで両社は、顧客のサービス利用促進につながるスキームの導入により、顧客に対し自社の商品・サービスに捉われない新たな体験価値を提供していくことについて検討を開始したもので、「SOMPO Park」と「Money Canvas」で相互の顧客がサービスを利用できる仕組みの構築により、顧客の利便性向上を目指す。また、損保ジャパンは、“資産を守る”観点で「Money Canvas」の顧客のニーズに合致した商品の提供を行っていくとしている。