2021.02.26 第一生命HD 20年度第3四半期決算、連結純利益は30%増の1652億円[2021年2月12日]

 第一生命ホールディングスが2月12日に発表した2020年度第3四半期決算によると、連結経常収益は前年同期比5.2%減の5兆850億円、連結経常利益は同15.0%増の3012億円となった。グループ修正利益は同27%減の1554億円となったものの、本決算で発表した通期予想2100億円に対する進捗率は74%、連結純利益は同29.6%増の1652億円(進捗率同63%)で、8月公表の予想の想定を上回る進捗で推移しているとした。同社ではグループ各社の8月公表予想比での堅調な業績推移と、アセットマネジメント事業でのジャナス・ヘンダーソン株式売却の売却益計上等を踏まえ通期連結業績予想を上方修正した。また、グループ修正利益についても従来の予想(1800億円程度)を引き上げ2100億円程度に増加する見込みとした。
 営業業績では、グループ全体の新契約年換算保険料は前年同期比43.2%減の1517億円となった。国内3社計の新契約年換算保険料は第一生命での上期の営業自粛等が影響し同39.8%減の998億円となった。第3四半期(10~12月期の3カ月)だけを見ると、第一生命が本格的な営業活動を再開し前年同期比で4%減にとどまるなど、国内合計の実績は同11%減で前年同期の約9割水準を維持している。海外5社計の新契約年換算保険料は同48.7%減の518億円だった。このうち、豪TALは団体保険の反動減等の影響により同88.9%減の65億円となったが、これを除けば、米PLCにおける年金販売や第一生命ベトナムは前年に比べて増加しており、堅調に推移しているとした。
 グループ修正利益は前年同期比27%減となった。第一生命の基礎利益増加や豪TALの増益等があったものの、第一生命で前期末に評価益を計上したヘッジポジションからの金融派生商品損益が反転損失となったことや、第一フロンティア生命での危険準備金戻入益の反動減や米PLCの減益等が影響した。連結純利益は、第一フロンティア生命でMVA関連損益が前年同期から大幅に改善したことなどから、同29.6%増となった。
 グループEEVは、前期末比で金融市場環境が好転したことから、第一生命での有価証券含み益の増加や第一フロンティア生命での社債スプレッド変動に伴う計算上の評価損の改善等により、前期末比で約1兆5200億円増加の約7兆1400億円となった。
 グループ各社の業績を見ると、第一生命の営業成績は、個人保険・個人年金保険計の新契約年換算保険料が前年同期比39.6%減の399億円。保有契約年換算保険料が前年度末比1.4%減の2兆805億円で、このうち第三分野が同0.4%減の6919億円だった。基礎利益は順ざやの増加を主因に前年同期比10%増の3232億円。
 経常収益は前年同期比1%増の2兆7015億円で、このうち、保険料等収入が同4%減の1兆6611億円、資産運用収益が同1313億円増の9296億円だった。経常費用は同511億円増の2兆4903億円で、このうち保険金等支払金が同1364億円減の1兆4276億円、責任準備金等繰入額が同1153億円増の2781億円、資産運用費用が同1015億円増の3180億円、事業費が同27億円増の2935億円だった。経常利益は同181億円減の2111億円、四半期純利益は同134億円減の970億円だった。修正利益は前期末からの金融市場反転等を受け、金融派生商品損益が大きく悪化したことなどから、同12%減の同じく970億円となった。
 第一フロンティア生命の営業成績は、個人保険・個人年金保険計の新契約年換算保険料が前年同期比44.7%減の510億円だった。保有契約年換算保険料が前年度末比4.6%増の8453億円。基礎利益は前年同期比3%減の395億円。
 経常収益は前年同期比14%減の1兆2349億円で、このうち保険料等収入が同36%減の6496億円、資産運用収益が同3056億円増の5852億円だった。経常費用は同2717億円減の1兆1813億円で、このうち保険金等支払金が同2894億円減の9736億円、責任準備金等繰入額が同1677億円増の1703億円、資産運用費用が同1329億円減の8億円、事業費が同153億円減の306億円だった。経常利益は同701億円増の536億円。債券売却益の増加で事業利益が増加したことやMVA関連損益の改善等により、四半期純利益は同629億円増の421億円となった。修正利益は、運用期間満了を迎えた変額年金の危険準備金戻入の反動減により、同51%減の295億円だった。
 ネオファースト生命の個人保険の新契約年換算保険料は前年同期比21.8%増の88億円。個人保険・個人年金保険計の保有契約年換算保険料は前年度末比0.7%増の1405億円だった。新契約の拡大に伴い、保険料等収入は前年同期比4%増の985億円となった。基礎利益は同8億円減の▲114億円。四半期純利益は、保険金等支払(主に解約返戻金)が増加したものの、責任準備金等の戻入が相殺した結果、同7億円減の▲117億円となった。修正利益は同7億円減の▲117億円だった。
 海外生命保険事業では、米プロテクティブの営業利益がリテール事業における保険金支払増加に伴う損益悪化により前年同期比17%減の3億2800万米ドルとなり、四半期純利益は第1四半期(1~3月期)に計上した金融市場変動に伴う債券評価損や商業モーゲージローンに対する貸倒引当金繰入等の負担により、同37%減の2億1900万米ドルとなった。豪TALは、基礎的収益力はアステロン・ライフや個人保険の貢献を主因に同67%増の1億4900万豪ドルとなった。団体保険での特定団体の保険金支払増加は、10月から料率改定(料率引き上げ)を実施し、損益が改善している。四半期純利益は、金利変動によるプラス寄与等が加わり同99%増の1兆2200万豪ドルだった。
 第一生命HDでは、次期中計におけるグループ事業戦略や財務・資本戦略の方向性を踏まえ、アセットマネジメント事業でジャナス・ヘンダーソンとの資本関係を解消し、同社株式を売却。本株式売却に伴い、連結ベースで349億円の売却益を特別利益として第4四半期に計上予定としている。
 グループ各社の堅調な業績推移、ジャナス・ヘンダーソン株式売却益計上等を踏まえ、21年3月期通期のグループ連結業績予想については、8月公表時から経常利益を570億円上方修正し4150億円、親会社株主に帰属する当期純利益を同じく780億円上方修正し2620億円とした。
 また、第一生命で、順ざや増加や有価証券売却損益の改善などが寄与する一方、外部環境や取引条件等を踏まえ、中期的な財務戦略の重点施策である再保険について、新規出再額を責任準備金約3000億円に増額し、臨時損益▲833億円の計上を予定していること、 他グループ各社では、新型コロナに伴う保険金等の支払いが想定の範囲であり、金融市場の改善等も踏まえ、グループ修正利益の予想も従来予想の1800億円程度から2100億円程度に上方修正した。株主還元は引き続き総還元性向40%をめどに検討し、1株当たり配当予想62円で現時点で変更なしとしている。