2020.12.01 ■日本生命 20年度第2四半期(上半期)決算、連結業績は減収・減益[2020年11月24日]
日本生命が11月24日に発表した2020年度第2四半期(上半期)決算によると、グループの連結業績は、保険料等収入、基礎利益ともに前年実績を下回る減収・減益となった。コロナ禍で営業職員が活動を自粛したことによる4~6月の販売減少が大きく響いた。ソルベンシー・マージン比率と有価証券の含み損益は増加した。
日本生命グループの20年度第2四半期の連結経常収益は前年同期比3.8%減の3兆9447億円だった。連結保険料等収入は同14.9%減の2兆5112億円。日本生命では、海外金利の低下等による銀行窓販チャネル向けの商品の販売減や、営業職員の活動自粛による販売減等により減収、大樹生命は、一時払外貨建養老保険の販売減を主因に減収、ニッセイ・ウェルス生命は、一時払円建年金保険の販売が増加したものの、外貨建保険の販売減により減収、海外のMLCは、団体保険の保有契約の減少を受けて減収になった。
基礎利益の合計は、前年同期比5.3%減の3419億円。日本生命では、販売量減少に伴う費差関係費用の減少等による保険関係損益の増加があったものの、企業業績の悪化に伴う国内株式配当金の減少等を主因とした利差益の減少により減益、大樹生命は、一時払外貨建養老保険の販売減に伴う付加保険料の減少を主因とした保険関係損益の減少により減益、ニッセイ・ウェルス生命は、円建年金保険の販売増加に伴う標準責任準備金の積み増しにより減益、はなさく生命は、事業費の支出増により減益、海外保険はMLCの所得保障保険の支払いによる赤字基調の継続や団体保険の収支悪化により減益となった。
なお、資産運用収益は同30.7%増の1兆3014億円だった。経常費用は同7.0%減の3兆6710億円で、このうち保険金等支払金は同1.1%減の2兆2257億円、資産運用費用は同50.5%減の1442億円、事業費は同5.1%減の3848億円だった。これらの結果、経常利益は同78.0%増の2737億円、これに特別損益などを加減した中間純剰余は同4.2%増の1393億円となった。
総資産は、前年度末比3.7%増の83兆328億円となった。責任準備金は同1.1%増の66兆1405億円だった。
連結ソルベンシー・マージン比率は、日本生命における劣後ローンの調達に加え、危険準備金・価格変動準備金の積み増しを通じた自己資本の強化に伴い、前年度末の1047.5%から30.9ポイント上昇し1078.4%となった。また、実質純資産は、自己資本の着実な積み増しに加え、内外株価の上昇による有価証券の含み益が増加したことから、前年度末から10.8%増の20兆3118億円となった。
国内の保険料等収入は、前年同期比15.0%減の2兆4141億円、うち個人保険・個人年金保険は同15.0%減の1兆6699億円。チャネル別では、営業職員等チャネルはコロナ禍を受けた営業活動の自粛や、海外金利の低下による一時払外貨建養老保険の販売減等により同6.7%減の1兆4825億円だった。銀行窓販チャネルは、海外金利の低下や、コロナ禍を受けた営業活動の自粛による販売減を主因に同50.3%減の1874億円となった。団体保険は同0.6%増の1400億円、団体年金保険は同11.2%減の5539億円だった。
国内の個人保険・個人年金保険の新契約では、年換算保険料が前年同期比43.9%減の1148億円、件数が同40.9%減の154万件、保障額等が同37.3%減の2兆7853億円となった。
うち営業職員等チャネルの新契約年換算保険料は、同32.7%減の766億円、件数は同40.3%減の152万件、保障額等は同35.5%減の2兆5911億円。銀行窓販チャネルの新契約年換算保険料は、同57.9%減の381億円、件数は同64.0%減の2万件、保障額等は同54.4%減の1941億円。営業職員等チャネル、銀行窓販チャネルとも、コロナ禍を受けた営業活動の自粛や海外金利の低下による販売減等により、年換算保険料・件数・保障額等のいずれも前年同期比で減少した。
日本生命の新契約年換算保険料は、前年同期比35.8%減の739億円、件数は同41.2%減の145万件。同じく大樹生命は、同60.5%減の74億円、件数は同56.8%減の4万件だった。同じくニッセイ・ウェルス生命は、同54.8%減の314億円、件数は同10.8%減の1万件。
国内の個人保険・個人年金保険の保有契約は、年換算保険料が前年度末比0.9%減の4兆4854億円、件数が同0.3%増の3628万件。
日本生命の保有契約年換算保険料は前年度末比1.0%減の3兆7256億円、件数は同0.3%増の3329万件となった。同じく大樹生命は同0.3%減の5126億円、件数は同1.0%減の257万件。同じくニッセイ・ウェルス生命は同1.2%減の2416億円、件数は同1.6%増の33万件だった。
団体保険の保有契約実績(保障額等)は前年度末比0.8%増の110兆8699億円。このうち、日本生命は同1.3%増の99兆1902億円、大樹生命は同3.6%減の11兆6797億円だった。団体年金保険(受託資産等)の国内計は、ニッセイアセットマネジメントの投資顧問残高(2兆5097億円)、確定拠出年金の投資信託(日本生命販社分5203億円)を含め、同2.6%増の17兆3057億円だった。
20年度決算の見通しは、グループ全体で前年度から減収・減益を見込む。保険料等収入は、銀行窓販チャネル向け商品の販売減や営業職員チャネルの活動自粛の影響により減収を見込む。基礎利益は、企業業績の悪化に伴う国内株式配当金の減少等により、減益を見込む。
この他、国内における新型コロナウイルス感染症による支払いと特別取り扱いの状況については(4~9月)、9月末時点での死亡保険金の支払いは約160件、約26億4000万円(このうち災害保険金は約30件、約3億3000万円)、入院給付金の支払いは約1970件、約3億2000万円(このうちみなし入院は約700件、約1億2000万円)だった。また、保険料払い込み猶予は約2万6900件、利息減免対象の契約貸付(4~6月受付分)は約18万1000件、約781億3000億円だった。