2016.11.21 AIGがAIG富士生命の全株式譲渡、損保市場に経営資源集中
アメリカン・インターナショナル・グループ(AIG)は11月15日、パシフィック・センチュリー・グループの保険事業部門であるFWDグループと、日本での生命保険事業を担うAIG富士生命の全株式の譲渡について合意したと発表した。同取引の完了は関係当局の認可などが前提となっており、取引条件については開示していない。AIGは、国内の外資系損保会社の中で最大規模の保険会社だが、今回の取引が同社の日本での損保事業に与える影響はないとしている。
AIGは富士火災とAIU、アメリカンホームを通じて、引き続き日本の損保市場に経営資源を集中していく。同社はこれらの会社を通して、企業向けの保険商品やサービスだけでなく、医療・傷害保険、自動車保険、火災保険、旅行保険などの個人向けの補償を提供している。AIGは1946年から日本で保険事業を行なっており、同社のグローバルでの損保事業の国別の正味収入保険料を見ると、日本市場は企業向けで世界第3位、個人向けで世界最大の規模になっている。
AIGのピーター・ハンコック社長兼CEOは「AIG富士生命の譲渡は、今年当社が取り組んできた戦略の一環であり、AIGが顧客に多大な価値を提供し得る一定の事業規模と高い専門性を有している地域・事業領域への集中化を図ることで、より効率性の高い保険会社へと変容させていくことにつながる。AIGにとって日本は極めて重要な市場であり、企業および個人向け損害保険分野の発展にコミットしている。また同様に、FWDが日本の生保事業の成長に向け尽力していくことは、AIG富士生命の顧客ならびに社員にとっても利することになると考える。譲渡完了後は、AIGはFWDのパートナーとして、今後、同社による生保事業の発展に向けた取り組みをサポートし、また、さらなる将来の事業機会の創出に向けて共に取り組んでいく」とコメントしている。
同取引の完了後、FWDは、現在AIG富士生命が日本のAIGグループ各社と締結している生命保険の販売についての契約をそのまま引き継ぐ。また、同取引が、既にAIG富士生命で加入している保険契約の内容に影響を与えることはない。
FWDは2013年の設立以降、香港とマカオに強固な基盤を持ち、シンガポール、タイ、インドネシア、フィリピン、ベトナムといったアジア全域にわたって事業を展開する保険会社に成長した。同社では、世界第2位の生保市場である日本に参入することで、FWDのアジア地域での拠点をさらに拡大し、アジアでトップクラスの保険会社になるというビジョンの実現を目指すとしている。
FWDグループのフン・タン・フォンCEOは「AIG富士生命はFWDによる日本市場参入の強固な礎になると確信している。同時に、AIGとのパートナーシップを通じ、すでに確立した顧客基盤を持つAIGグループの幅広い販売ネットワークを活用することができるようになる。FWDの長期的視野に基づいた投資、顧客目線でのアプローチ、および最先端のテクノロジーの活用により、AIG富士生命を成長させていくことを目指す」とコメントしている。