2016.11.18 東京海上日動が不妊治療費用等補償保険を販売、企業の福利厚生に活用

東京海上日動は11月1日、企業や健康保険組合を対象に、従業員の特定不妊治療(体外受精や顕微授精など)にかかる費用負担の軽減を目的として「不妊治療費用等補償保険」の販売を開始した。
 同商品は、企業や健康保険組合などが契約者となり、契約者が社内規定などに基づき従業員に給付する費用を保険金として支払う内容で、企業の福利厚生制度などに活用できるよう企業・健康保険組合の構成員全員を補償の対象とする。従業員本人に加えその配偶者も対象となり、男性不妊治療についても補償対象となる。公的助成制度と同様に「特定不妊治療」を補償対象の治療範囲とし、企業の社内規定などに応じて所得・年齢の制限なく、公的助成制度を補完する形で、治療により実際に生じた自己負担額を補償することが可能。
 加えて、「特定不妊治療」を行った人が切迫早産などの妊娠に関連する特定疾病で30日以上の入院をした場合には、一時金を支払う。2017年4月1日以降の治療が対象となる。
 結婚年齢、妊娠・出産年齢の上昇や医療技術の進歩に伴い、近年不妊治療の受診者数が増加している。一方で、特定不妊治療は健康保険制度の対象外で治療費は全額自己負担となっており、不妊治療を受ける人の経済的負担が大きい。
 不妊に悩む人の経済的負担の軽減を目的として、高額な特定不妊治療の一部を助成する公的助成制度が2004年に創設されている。しかし、定額の給付であることや年齢、回数の制限などから、助成金だけでは治療費を賄うことができず、経済的な理由により不妊治療をためらったり延期するケースも生じている。
 6月に閣議決定された「ニッポン一億総活躍プラン」においても、不妊治療に関する支援の検討が盛り込まれるなど、今後、出産・育児世代を社会全体で支援していくことが必要になっていくものと考えられる。
 同社では、こうした社会的背景も踏まえ、同商品を開発したとしている。