2019.11.05 損保協会 IAIS市中協議に意見提出 イノベと消費者保護バランスを

 損保協会では10月15日、保険監督者国際機構(IAIS)が9月2日から10月16日まで市中協議(パブリック・コメント)に付した「保険分野におけるビッグデータ分析の使用に関するイシューズ・ペーパー(IP)案」に対して、「保険会社によるイノベーションと消費者保護のバランスを適切にとるべき」旨を本IPに明記すべき、保険業界以外の新規参入企業が保険類似業務を行う場合は顧客保護の観点から保険会社と同等の監督・規制の対象とすべき等、19カ所のパラグラフに対して意見を提出した。

 イシューズ・ペーパー(IP)とは、IAISが作成する文書の一類型で、扱うトピックの背景や現在行われている取り組み、ケーススタディー等を提供し、規制・監督上の論点・課題を特定することを意図とする。説明を提供することが目的で、監督者がその内容を実施することは期待されていないが、基準策定に向けた準備として作成されることが多く、IAISによる今後の作業に関する推奨を含む場合があるとされる。
 IAISの文書案は、保険分野におけるビッグデータの利用による消費者の便益とリスク、監督者に与え得る影響等について一定の見解を示したもので、IAISが昨年採択した「保険事業におけるデジタルテクノロジー利用の増大および消費者アウトカムへの潜在的影響に係るIP(デジタル化IP)」を踏まえた内容のもの。
 主な内容としては、▽保険者(保険仲介者も含む)によるビッグデータ分析使用の潜在的な利益とリスクの理解に役立てるため、保険商品ライフサイクルの各段階(商品設計、マーケティング、販売と流通、価格設定と引受、保険金請求処理)におけるデータ収集・処理・使用方法等を考察している▽保険者による保険商品ライフサイクル全体にわたるビッグデータ分析のさまざまな適用が消費者アウトカムに与える潜在的影響や、その結果が監督者に与え得る影響等を考察し、一定の見解を示している―など。
 今回、損保協会が提出した主な意見の概要は以下の通り。
 ▽昨年のデジタル化IPでは、監督者にとっての重要な課題として、「保険会社によるイノベーションと消費者保護のバランスをとる」ことが記載されており、本IPにも明記すべき。
 ▽保険業界以外からの新規参入企業(IT企業やスタートアップなど)も、顧客保護の観点から、保険類似業務を行う場合は保険会社と同等の監督・規制の対象とすべき。
 ▽本IPでは、アルゴリズムの不透明さが消費者保護等に影響を与える可能性やアフォーダビリティといった事項に焦点を当てているが、同時に、各法域の保険制度の枠組み(強制保険制度の位置付け)や既存の料率監督に関する事項との整合性も考慮すべき。
 ▽データの不適切な利用により、保険会社または保険セクター全体への不信が生じ得る可能性については理解するものの、個人情報保護の観点から、データ収集に当たっては事前同意を求める法域も多く、そのような観点も触れるべき。

 IAISは、今回の市中協議に寄せられた意見を参考にさらなる検討を進め、20年初頭までに内容を固める予定。損保協会は、IAISにおける国際保険監督基準策定の議論に積極的に参加しており、今後も関係国際機関等に対して日本の業界の意見を表明していくとしている。