2019.07.31 生保協会 20年度税制改正要望 保険料控除制度拡充を継続要望 重点要望に2項目追加
生保協会は7月19日、2020年度税制改正に関する要望を公表した。重点要望項目には、生命保険料控除制度について社会保障制度の見直しに応じて現行制度を拡充することを引き続き挙げた他、生命保険業の法人事業税について現行の課税方式を維持すること、公的年金制度を補完する企業年金制度および確定拠出年金制度等の積立金に係る特別法人税を撤廃することの2項目を新たに重点要望に加えた。また、その他の要望項目として5項目を取りまとめた。
20年度税制改正に関する重点要望項目は次の3項目。
▽少子高齢化の急速な進展やライフスタイルの多様化など社会環境が変化する中、持続可能な社会保障制度の確立と国民生活の安定に資するために、国民の自助・自立のための環境を整備する観点から、生命保険料控除制度については、社会保障制度の見直しに応じて、現行制度を拡充すること
―所得税法上および地方税法上の生命・介護医療・個人年金の各保険料控除の最高限度額を少なくとも5万円および3.5万円とすること、また、所得税法上の保険料控除の合計適用限度額を少なくとも15万円とすること(所得税法第76条、地方税法第34条・同法第314条の2)
【要望理由】国民が安心して生命保険に加入し継続するには、同制度が恒久的に継続されることが不可欠であること、また、国民の自助・自立のための環境整備等の観点から、社会保障制度の見直しに応じて、同制度が拡充されることを要望する。
▽生命保険業の法人事業税について、現行の課税方式を維持すること(地方税法第72条)
【要望理由】現行の課税方式(収入金額による外形標準課税)はまさに税収の安定化に寄与していると考えられることから、生命保険業の法人事業税については現行の課税方式を維持することを要望する。
▽公的年金制度を補完する企業年金制度(確定給付企業年金制度、厚生年金基金制度)および確定拠出年金制度等の積立金に係る特別法人税を撤廃すること(法人税法第8条・同法第84条・同法附則第20条)
【要望理由】今後、年金課税について、拠出・運用・給付を通じて課税のあり方を総合的に検討していくに当たっては、運用段階の課税である特別法人税について、より豊かで安定した老後生活を確保するため、また、公的年金を補完する企業年金制度の健全な発展のために、適用凍結ではなく撤廃を要望する。
このうち、法人事業税、企業年金制度および確定拠出年金制度等の積立金に係る特別法人税についての要望は、19年度はその他の要望項目とされていたが、20年度は重点要望項目とされた。
その他の要望項目は次の5項目。
1.企業年金保険関係
▽確定給付企業年金、厚生年金基金における過去勤務債務等に対する事業主掛金等について、早期の年金財政の健全化に資する柔軟な取り扱いを可能とすること
▽企業型確定拠出年金制度における退職時の脱退一時金について支給要件を緩和すること
2.生命保険契約関係
▽遺族の生活資金確保のため、相互扶助の原理に基づいて支払われる死亡保険金の相続税非課税限度額について、現行限度額(「法定相続人数×500万円」)に「配偶者分500万円+未成年の被扶養法定相続人数×500万円」を加算すること
3.資産運用関係
▽不動産関連税制の総合的見直しを図ること
4.その他
▽過大支払利子税制について、生命保険事業の実態を踏まえた所要の措置を講じること