2019.02.05 三井住友海上・あいおいニッセイ同和損保 トラック隊列走行向け自動車保険開発 従来ない特有リスク補償 後続車両立ち往生等の損害想定

 三井住友海上とあいおいニッセイ同和損保はこのほど、後続車無人システムを用いたトラック隊列走行に対応した自動車保険を開発した。トラック隊列走行では、電子連結技術を用いること、後続車両が無人状態となる場合があること等に伴い、従来にない特有のリスクが発生する。今回開発した商品では、万が一の事故に備えるため、従来の自動車保険の補償内容に加え、「隊列走行向け新特約」として、新たに「自動走行不能な場合の運転者派遣費用等」と「物損を伴わない道路通行不能損害」を補償。安心・安全で快適なモビリティ社会の実現を目指す。

 従来の自動車保険では、トラック隊列走行時に、他の車両との衝突や隊列を構成する車両同士の衝突等によって事故が発生した場合に補償が可能。他の車両との衝突事故等が発生した場合における、対人・対物賠償(法律上の責任が有る場合)、被害者救済費用(法律上の責任が無い場合)、搭乗者の傷害、車両等を補償する。
 また、万が一通信障害により電子連結が途切れて事故となり、隊列車両の乗員や所有者等に法律上の責任が無い場合でも、「不正アクセス・車両の欠陥等による事故の被害者救済費用特約」により補償。その他にも、リスクに応じた補償を提供する。
 従来の自動車保険および「不正アクセス・車両の欠陥等による事故の被害者救済費用特約」では、▽隊列車両が、高速道路本線への合流や車線変更の際等に、他の車両と衝突する▽通信障害等により電子連結が途切れた直後に、後続車両が他の車両等と衝突する▽通信障害等により電子連結が途切れ、後続車両が自動で路肩退避中または路肩停車後、他の車両と衝突する―等の事故を想定している。
 トラック隊列走行時には、電子連結技術を用いること、後続車両が無人状態となる場合があること等に伴い、従来にない特有のリスクが発生する。今回開発した自動車保険の「隊列走行向け新特約」では、万が一の事故に備えるため、「自動走行不能な場合の運転者派遣費用等」と「物損を伴わない道路通行不能損害」を新たに補償する。
 自動走行不能な場合の運転者派遣費用等の補償では、電子連結が途切れ、かつ、代替運転者が現場にいないために、無人の後続車両がその場で立ち往生した場合等に、これを移動するための運転者を派遣する費用、レッカー費用等を補償する。
 また、物損を伴わない道路通行不能損害の補償では、電子連結が途切れ、後続車両が立ち往生や横転等をすることにより、物損を伴わずして高速道路が通行不能となった場合に、通行不能が発生した地点の道路管理者に生じる営業損害等を補償する。
 近年、日本の物流業界では、物流量の増大等に伴うドライバー不足への対応や、経営効率の改善、安全性の向上、省エネルギー等の観点から、自動運転の活用に対する期待が高まっている。
 政府においても現在、将来的な完全自動運転トラックの実用化を目指して、高速道路でのトラック隊列走行の実証実験を進めており、1月からは後続車無人システムを用いた隊列走行の公道実証を、後続車有人状態で実施している。
 政府では、2020年に高速道路での後続車無人システムを技術的に実現させ、その後、実証実験を通じて走行距離や走行可能範囲の拡大を図り、22年以降に高速道路(新東名)の長距離輸送等において、後続車両無人隊列走行の商業化を目指している。
 一方、後続車無人システムを用いた隊列走行では、電子連結技術を用いること、複数台のトラックが短車間距離で高速走行すること、後続車両が無人状態となることなどに伴い、従来にない特有のリスクが発生する。そこで今回、三井住友海上とあいおいニッセイ同和損保では、こうしたリスクを補償する自動車保険を新たに開発した。
 自動運転技術は、交通事故の減少や、渋滞の解消、高齢者の移動支援等につながることが期待されており、当該技術の開発・普及に向けて、官民の動きが活発化している。
 両社ではこれまで、業界に先駆けて「自動走行実証実験総合補償プラン」の販売を開始するなど、自動運転の社会実装をサポートできるよう、新たな商品・サービスを開発・提供してきた。両社は今後も、物流業界のさらなる発展に貢献していくとともに、自動運転の社会実装を保険・サービスの両面からサポートしていくとしている。