2018.09.11 東京海上日動 シェアエコ対応自動車保険 トラブル回避の一助に 複数企業が活用検討中
東京海上日動が昨年末に発売した「シェアリングエコノミー(注)に対応した自動車保険」への関心が高まっている。例えば、自宅の駐車スペースを「マッチングビジネス事業者」のシステム(サイトやアプリなど)を通じて利用者に貸し出すケースでは、マッチングビジネス事業者が「契約者」となり、マッチングビジネス事業者と利用者等が「被保険者」になる。万が一の事故などの場合、利用者等が加入している自動車保険で不足する部分を同保険が補償する仕組みだ。
同保険の特徴は、事故で生じた損害の補償を、利用者等の自動車保険のみに委ねるのではなく、事業者側が手配する保険により上乗せ補償できる点で、同社が業界で初めて開発した。
同商品開発の背景には、シェアリングエコノミーの市場規模拡大があり、カーシェアや駐車場の貸し出しなど「自動車」に関連したサービス提供の広がりで、事業者のニーズが高まることも視野に入れている。
補償は、TAP(一般自動車保険)に「マッチングビジネス事業者向け自動車保険特約」を付帯する形となり、具体的には、サービス利用・提供中に生じた対人・対物事故によって、被保険者が負う法律上の損害賠償責任の額が、被保険者等の加入している自動車保険で支払える額を超過する場合や免責で支払えない場合などの不足額を補う。
同社では「駐車場シェアリングサービスの利用者が、マッチングされた駐車場へ駐車する際に隣接している店舗に衝突した」といった例を示し、「サービス利用者の加入している自動車保険(対物賠償責任保険)では必要な補償が提供できない場合、この不足分を本商品で対応する」としている。また、自動車を利用したシェアリングエコノミーはまだ発展途上にあり、「認知度拡大の意味も含めて当社の営業部門が、該当する企業に対して個別に提案している」という。
現在は、駐車場シェアリングサービスを提供するマッチングビジネス事業者の他、複数企業が関心を寄せており、検討中の企業からは「マッチングビジネスでは、個人間のマッチングをサポートしており、実際のサービス提供には関与しない立場だが、サービス利用時のトラブルを回避する一助になるため活用を考えたい」と評価の声が出ている。
今後について同社では、「シェアリングエコノミー市場はさらなる拡大が見込まれる。本保険の認知度を高めるとともに、自動車保険に対するマッチングビジネス事業者や利用者等のニーズ・期待をくみ取り、より良い自動車保険の在り方を検討していく」と意欲を見せている。
(注)シェアリングエコノミーとは、典型的には個人が保有する遊休資産(スキルのような無形のものも含む)の貸し出しを仲介するサービスで、貸主は遊休資産の活用による収入を得て、借主は所有することなく利用ができるというメリットがある。スペースなどの「空間シェア」ではAirbnb(エアビーアンドビー)、自動車の相乗りといった「移動のシェア」ではUber(ウーバー)などが知られている他、家事代行などの「スキルシェア」、インターネット上のフリーマーケットなどの「モノのシェア」、クラウドファンディングによる「お金のシェア」―などがある。