2018.06.08 (一社)全国地域生活支援機構 障害者の総合補償発売、日常生活のトラブルに対応
(一社)全国地域生活支援機構(JLSA、東京都新宿区)は、主に障害者(全国に約787万人)が巻き込まれがちなトラブルに対応する保険の個人会員向け販売を6月1日に開始した。引き受けを行うのは損保ジャパン日本興亜で、名称は「わたしのお守り総合補償制度」。商品の設計を主導したJLSAの金原和也代表理事は「同種の保険の販売は大手損保では初めて。これまで、知的障害者の施設入所者を対象とした補償はあったが、日常生活のトラブルの賠償責任、弁護士相談費用や弁護士委任費用を補償できる内容は画期的。高齢者にも対応でき、ニーズは大きい」と話している。損保ジャパン日本興亜では、同商品により介護・福祉分野でのポジション確立も目指したい考えだ。
同商品は、「個人賠償責任補償(3億円限度・示談交渉付)」「弁護士費用補償(相談費用、委任費用)」「けがの補償」といった3大特徴があり、健康・医療・介護・育児などの電話相談「アシスタントダイヤル」を家族も無料で利用できる。
個人賠償責任については、障害者が施設利用中などにパニックを起こして什器備品を壊したり第三者にけがをさせたりした際に、親権者や支援者(法定監督義務者)に法的な賠償責任が生じた場合にも補償される。けがの補償は、地震・噴火・津波が原因の場合も対象となる。また、訪問販売や特殊詐欺の被害、不当労働・不当解雇、遺産相続問題などに直面した場合は、損保ジャパン日本興亜が日弁連リーガル・アクセス・センターを通じて弁護士を紹介し、弁護士相談費用や弁護士委任費用を補償する。
障害者人口は年々増加しており、2013年時点で約787万人(障害別では、身体が393万人、知的が74万人、精神が320万人)で、そのうち、就労可能と想定される人口は約323万人。今年4月には障害者総合支援法が改正されるなど、国や自治体も、(施設入所ではなく)障害者が地域社会で生活することを推進しており、就労機会も一段と高まっている。そのため、思わぬトラブルが増加しているのが実情だ。
同商品は、全国地域生活支援機構の会員になって加入する団体保険のため団体割引が適用される。現在は、専任代理店の㈱グリット(東京都新宿区)が同商品を取り扱っている。「けがの補償」は、死亡・後遺障害100万円、入院日額2000円、外来手術1万円、入院中の手術2万円、通院日額1000円。「弁護士費用補償(相談費用、委任費用)」については4プラン設けており、「被害事故、人格権侵害、労働、離婚調停、遺産分割調停、借地・借家」の全てに対応するAプラン、「被害事故、人格権侵害、労働」の3種類に対応するBプラン、「被害事故、人格権侵害、遺産分割調停、借地・借家」に対応するCプラン、「被害事故と人格権侵害」に対応するDプランがある。掛金は、制度運営費(入会金500円と年会費2040円)および保険料で構成されており、年間掛金額は、プランによって1万3510~2万3600円まで。
同商品は、監督責任者に及ぶ賠償責任も補償されることから、すでに、障害者や高齢者の後見を担う弁護士などからの関心も高まっており、今後は、社会福祉協議会、就労支援センター、発達障害支援センター、福祉作業所などや、弁護士、ケアマネージャーなどの専門家にも周知を図っていく方針だ。
金原氏は、「障害者や高齢者については、見守る家族や監督責任者の心配や責任も大きく、社会的な課題になっている。今後、広くこの補償制度の存在を周知させて、まずは1万人(会員数)を目指したい」としている。