2018.06.11 生保協会 特殊詐欺被害防止協定を推進、全国で地元警察等と連携

生保協会の愛媛県協会は5月21日、愛媛県警察本部、四国財務局松山財務事務所と特殊詐欺等犯罪被害防止に関する協定を締結した。還付金詐欺や架空請求詐欺などの特殊詐欺被害防止を目的とした生保協会と地元警察等との協定は、2015年12月の内閣府沖縄総合事務局・沖縄県警察本部との締結を皮切りに、今回で10件目となる。同協会ではこうした連携の下、営業職員を通じた声掛けや、特殊詐欺防止啓発チラシの配布による注意喚起を実施している。特に本年度は、2月19日に行われた警察庁・生命保険協会連絡会議で生活安全企画課から協定等締結の取り組みについて、より一層の推進要請があったことから、協定締結を重点取り組みとして積極的に推進している。
 警察庁の発表によると、還付金詐欺や架空請求詐欺などのいわゆる特殊詐欺の17年の認知件数は、1万8212件(前年比28.7%増)で7年連続の増加となった。被害額は約394億7000万円(同3.2%減)で、3年連続の減少だが、1回当たりの被害額が少ない案件が増えたことが主因と考えられている。
 警察庁は増え続ける被害の防止策の一環として、15年4月、生保協会に特殊詐欺被害防止に関する協力を依頼した。背景には、その前年に当たる14年中、生保会社の営業職員等の声掛けにより、被害を水際で阻止したという実績がある。
 現在同協会が実施している主な施策は①会員各社への警察庁からの協力依頼の周知等情報提供②同協会ウェブサイトでの消費者向け注意喚起ページの掲載③特殊詐欺被害防止啓発ポスター(約2万枚)の作成・各社店頭への掲示④特殊詐欺被害防止フレーズ例の提供⑤全地方協会における加盟各社の営業職員等による特殊詐欺被害防止啓発チラシの配布⑥都道府県警等と地方協会の連携強化を目的とした「特殊詐欺等犯罪被害防止に向けた協定(覚書)の締結―の6点。
 チラシについては16年から展開している。17年にはチラシの裏面に「チェックリスト(最近の詐欺の手口と注意点)」「子どもや孫世代に対する注意喚起文」「警察相談専用電話(#9110)」を掲載。年々印刷部数を増やすなど、注意喚起の充実を図っている。
 また、フレーズ例とは、【特殊詐欺(振り込め詐欺等)に十分ご注意ください!】といったもので、会員各社の募集資料やホームページへの掲載を目的に作成し、活用を呼び掛けている。
 都道府県警等との協定も順調に進展している。沖縄以後、千葉、鳥取、山形、鹿児島、福島、長崎、高知、和歌山の各県と協定、本年度は愛媛県の他に、5月25日に宮城県警察本部での締結が完了し、6月18日に広島県、28日に栃木県で県警察本部との締結を控えている。今後も地方協会と都道府県警が相互に連携することで、加盟各社を利用する顧客の財産の保護、安全・安心の確保に取り組んでいく考えだ。
 特殊詐欺被害防止に関する施策は開始から4年目を迎えるが、この間、保険会社職員による声掛けなどの効果により、生命保険の解約返戻金が詐取された事案の認知件数・被害額は共に減少傾向にある。全国約23万人の営業職員等による活動の効果は大きく、営業職員等の未然防止対応について、警察関係者からの感謝の声も数多く寄せられているという。
 同協会の森和茂理事事務局長は「当協会は、全国47都道府県に54の地方協会があることから、全ての地域で同一レベルの活動を行うことができるのが強み。全地方協会での協定締結を実現したい」と展望する。