2018.05.29 日本生命 18年3月期決算、連結業績は増収・増益

 日本生命が5月25日に発表した2018年3月期決算によると、連結業績は増収・増益だった。保険料等収入は日本生命グループ内での商品相互供給を通じた販売増を主因に増収したことに加え、MLC Limited(MLC)の通期反映によって増収幅が拡大した。基礎利益は外国債券の利息や株式の配当金が増加したことによる利差益の増加等を主因に増益となった。国内の個人保険・個人年金保険については、新契約業績で年換算保険料・件数・保障額等は減少した。保有契約業績は年換算保険料・件数は増加、保障額等は減少した。2017年度は、マイナス金利等の厳しい環境に備えて、1年前倒しで策定した中期経営計画をスタートさせ、新商品を相次いで投入。予定利率引き下げによる販売減があったものの、新商品の好調な販売や、商品相互供給を通じたシナジー効果の発揮など中期経営計画の1年目としては想定を上回る順調なスタートを切った。

 連結保険料等収入は、日本生命の法人向け新商品「ニッセイ傷害保障重点期間設定型長期定期保険“プラチナフェニックス”」の好調な販売に加え、下期に三井生命から日本生命に供給を開始した一時払外貨建て商品の販売が好調だったこと、MLCの通期寄与によって前期比3.6%増の5兆4220億円となった。日本生命は同3.4%減の4兆4884億円、三井生命は同36.8%増の6945億円、MLCは2040億円だった。
 連結の基礎利益は外債の利息や株式の配当金の増加によって、同5.4%増の7227億円となった。日本生命はリスクをコントロールしながら、外債や株式への分散投資を続けた結果、市場環境の追い風もあり、利差益が同37.1%増の2032億円と大幅に増加。基礎利益は同5.2%増の6682億円と堅調に推移した。三井生命の基礎利益は同13.6%増の492億円、MLCは66億円だった。
 グループ事業純利益はグループ各社の着実な利益の積み上げと、三井生命の大幅増加によって、同74.6%増の754億円となった。
 日本生命と三井生命の業績を合算した国内保険成績については、個人保険・個人年金保険の新契約業績が年換算保険料で同2%減の3708億円となった。日本生命が同7%減の3221億円、三井生命が同51.6%増の486億円だった。件数は合計で同16.9%減の380万件。日本生命が同18.4%減の354万件、三井生命が同10.8%増の25万件だった。保障額等は合計で同36.1%減の7兆6061億円となった。日本生命が同40.4%減の6兆5829億円、三井生命が同20.2%増の1兆231億円だった。予定利率引き下げに伴う個人向け商品の販売減少により、年換算保険料、件数、保障額等は前期実績を下回ったが、プラチナフェニックスや、三井生命から日本生命に供給を開始した外貨建て商品の販売が好調だったことから、年換算保険料の減少は限定的となった。
 個人保険・個人年金保険の保有契約業績は国内計で年換算保険料が前期末比2.8%増の4兆1722億円、件数が同4.2%増の3264万件、保障額等は同3%減の181兆8756億円となった。日本生命は年換算保険料が同2.9%増の3兆6657億円、件数が同4.5%増の3008万件、保障額等が同2.8%減の161兆7286億円、三井生命は年換算保険料が同1.9%増の5065億円、件数が同0.5%増の256万件、保障額等が同3.8%減の20兆1469億円となった。
 団体保険の保有契約業績(保障額等)は国内計で同0.5%増の108兆7696億円、日本生命が同1.3%増の95兆5119億円、三井生命が同4.7%減の13兆2576億円だった。団体年金保険は日本生命における大型団体からの受託獲得や時価の増加によって全体の受託資産額は同2.7%増の16兆3853億円となった。
 連結経常収益は前期比4.2%増の7兆6098億円で、保険料等収入が同3.6%増の5兆4220億円、資産運用収益が同3.7%増の1兆8712億円だった。経常費用は同5.4%増の7兆1379億円で、保険金等支払金が同6.2%増の4兆4073億円、事業費が同11.4%増の7892億円となった。この結果、経常利益は同10.7%減の4718億円、当期純剰余(利益)は同19.2%減の2439億円となった。
 総資産は連結ベースで前期末比2.7%増の74兆3925億円、責任準備金は同2%増の60兆1301億円だった。連結ソルベンシー・マージン比率は日本生命で劣後債を発行したことや準備金の積み増しによって968%と同34.1ポイント上昇した。実質純資産額は同6%増の18兆1405億円となった。
 日本生命単体で時価のある有価証券は、株価の上昇を主因として前期末から4738億円増加し、10兆5473億円となった。自己資本については、基金・諸準備金等が危険準備金や価格変動準備金を積み増したことで4兆7902億円と前期末から3359億円増加した。また、基金・諸準備金等に劣後特約付債務を加えた自己資本は5兆8190億円と前期末から5239億円増加した。
 配当は、個人保険、個人年金保険については18年3月期は増配し、「お客様配当性向」は前期から4ポイント上昇し、37%となる予定。
 契約継続率は、新規6月目継続率が前期末比0.5ポイント上昇して97.6%、合計13総合継続率は前期末と同水準の94.7%となった。
 19年3月期決算の見通し(現在、認可取得中のマスミューチュアル生命は含まない)は、連結保険料等収入で新商品投入による販売増、銀行窓販の持ち直しを見込むものの、プラチナフェニックスの反動減などによって前期比で減少の見通し。連結の基礎利益は低金利の環境の中、過去に購入した高利回り債券の償還が継続することから、同じく減少を見込む。