2018.05.30 明治安田生命 18年3月期決算、グループ・単体共に増収増益

 明治安田生命が5月25日に発表した2018年3月期決算によると、新商品の業績貢献に加え、16年3月に子会社化したスタンコープ社の業績貢献等によりグループ・単体共に増収となった。基礎利益は、外国公社債の積み増し等による利息及び配当金等収入の増加が利差益拡大に貢献した他、スタンコープ社の利益貢献等により、グループ・単体共に過去最高益を更新した。また、財務基盤の強化等を通じて、高い健全性を維持しており、今回の決算を踏まえ、個人保険・個人年金保険の配当率を2年連続で引き上げることとした。

 グループ保険料(連結損益計算書上の保険料等収入)は前年度比5.5%増の3兆243億円となった。明治安田生命単体で17年8月に発売した外貨建て保険が貢献した他、16年3月に子会社化したスタンコープ社の業績が寄与した。グループ保険料のうち、海外保険事業等は3049億円と同21.7%増加した。スタンコープ社は同24.1%増の2811億円と大幅な伸びを示した。グループ保険料に占める海外保険事業等の割合は10.1%(前年度差+1.3ポイント)と順調に伸展した。
 グループ基礎利益は同17.9%増の5851億円と明治安田生命発足以来の過去最高益を更新。明治安田生命単体の増益およびスタンコープ社の利益が貢献した。グループ基礎利益のうち、海外保険事業等は506億円と同37.6%増加した。
スタンコープ社は同49.5%増の359億円だった。グループ基礎利益に占める海外保険事業等の割合は8.7%(前年度差+1.2ポイント)と順調に伸展した。
 連結ソルベンシー・マージン比率は990.2%と前年度末差8.7ポイント低下したものの、引き続き高い健全性を維持している。
 連結の経常収益は前年度比6.2%増の4兆1170億円、経常費用は同5.2%増の3兆7468億円、経常利益は同17.6%増の3701億円、親会社に帰属する当期純剰余は同18.5%増の2650億円だった。
 明治安田生命単体の業績は、保険料等収入が同4%増の2兆7194億円となった。予定利率引き下げや一部商品の販売休止等を行ったものの、17年8月に発売した外貨建て保険等の貢献によって増収を確保した。このうち営業職員チャネルは主力の「ベストスタイル」等が堅調に推移した他、外貨建て保険が貢献し、同3.2%増の1兆3505億円となった。
 新契約年換算保険料は同28.9%減の1279億円となった。17年4月に平準払貯蓄性商品で予定利率引き下げや一部商品の販売休止を実施したこと等により、前年度より減少となったが、計画を上回る水準だった。第三分野は17年12月に発売した「50歳からの終身医療保険」等の販売好調によって、大幅に伸展し、同17.2%増の428億円となった。
 保有契約年換算保険料は前年度末比横ばいの2兆2511億円で、このうち営業職員チャネルは同0.6%増の1兆6202億円、銀行窓販チャネルは同1.7%減の5853億円だった。
 中期経営計画の経営目標の一つである「お客さま数(営業職員チャネル)」は「かんたん保険シリーズライト!By明治安田生命」の販売好調等により、17年度末時点で694万人と引き続き増加している。
 団体保険の保有契約高は同0.9%増の113兆9442億円で引き続き業界トップシェアを堅持している。団体年金保険は、7兆6072億円と同2.2%増加した。
 基礎利益は前年度差で743億円増の5467億円で明治安田生命発足以来の過去最高益となった。効果的な資産配分に努め、外国公社債を積み増したことなどによる利息及び配当金等収入の増加が利差益拡大に貢献した。
 資産運用収支(一般勘定)は、6454億円と前年度差172億円増加した。利息及び配当金等収入は、7689億円と前年度差474億円の増加となった。外国公社債の積み増し等による利息収入の増加や、好調な企業業績を背景とした株主配当の増加等が主因となっている。
 ソルベンシー・マージン比率は前年度末差7.6ポイント低下し、937.9%となったが、引き続き高い財務健全性を維持している。オンバランス自己資本は、17年11月に国内劣後債1000億円を発行した他、価格変動準備金の積み増しを実施したことなどで、2兆6511億円と同1870億円増加した。
 一般勘定資産全体の含み損益は6兆1826億円と同1417億円増加。株価上昇に伴い、株式の含み益が増加した。株式の含み損益は、2兆6678億円(月中平均価格ベース・前年度末差+3195億円)、国内株式含み損益ゼロ水準は、日経平均8200円程度。
 契約クオリティを示す指標は、対面での契約内容や請求有無を確認する「定期点検」等を通じた積極的なアフターフォローを推進した結果、引き続き良好に推移。解約・失効・減額率は、3.56%と前年度差0.07ポイント改善した。総合継続率は13月目が同0.2ポイント低下の95.4%、25月目が同0.4ポイント低下の89.8%で、高水準を維持している。
 経常収益は前年度比4.7%増の3兆7101億円だった。経常費用は同3.7%増の3兆3418億円で、このうち保険金等支払金は同0.4%増の2兆2125億円、責任準備金等繰入額は同29.5%増の4190億円、資産運用費用は同20.5%増の2072億円、事業費は同1.7%増の3564億円。経常利益は同15.7%増の3683億円、当期純剰余は同2.7%増の2401億円だった。
 18年3月期決算における個人保険・個人年金保険の契約者配当は、死亡率の改善等を踏まえ、死亡保障付商品の危険差配当率を引き上げることで、2年連続での配当率引き上げとした。影響額は約70億円で、明治安田生命発足以来、2番目の引き上げ幅となる。
 19年3月期業績は、保険料等収入が17年8月に発売した外貨建て保険に加え、第三分野商品の拡販等により、グループ・単体共に、前年度から増加の見通し。基礎利益はグループ・単体共に過去最高益となった前年度と同程度の横ばいを見込む。