2018.05.22 東京海上HD 18年3月期決算 引受拡大で増収増益 米税制改革影響で純利益増
東京海上ホールディングスは5月18日、2018年3月期決算を発表した。連結経常収益は前年度比3.2%増の5兆3991億円で、このうち正味収入保険料は国内損保事業と海外保険会社での引き受け拡大により同2.4%増の3兆5647億円となった。生命保険料は、海外保険会社での円高進行等の影響があったが、東京海上日動あんしん生命で保有契約が拡大し、同5.4%増の9530億円となった。また、親会社株主に帰属する当期純利益は、国内外での自然災害に係る発生保険金の増加等があったものの、米国税制改革の一時的な影響により同103億円増の2841億円と増益を果たした。連結経常利益は同11%減の3449億円、修正純利益は同16.1%減の3414億円だった。 国内損保事業では、東京海上日動の保険引受利益が前年度比294億円減少し866億円。自然災害に係る発生保険金の増加や大口事故等の影響、正味収入保険料の増収に伴う発生保険金や代理店手数料の増加を主な要因に減益となった。
正味収入保険料は、同1.6%増の1兆8615億円と前年実績を上回った。種目別では、火災は家計分野で単価上昇を主因に同0.9%増の2746億円、自動車は契約件数が増加し1.2%増の1兆644億円、その他は、保証保険での解約が影響したものの、傷害保険からの一部商品の種目移行に加え、超ビジネス保険の販売拡大等により同5.9%増の2949億円と増収した。一方、傷害は一部商品のその他種目への移行により同2.1%減の1686億円、自賠責は契約件数は増加したものの、料率引き下げを主因に、同0.2%減の2822億円とそれぞれ減収した。
発生保険金(損害調査費含む)は同911億円増加し、1兆1424億円となった。E/I損害率は自然災害に係る発生保険金が増加したことに加え、大口事故等の影響で同3.7ポイント上昇の61.4%。事業費率は正味収入保険料の増収が主な要因となり、同0.2ポイント低下の32.5%。コンバインド・レシオ(民保E/Iベース)は同3.5ポイント上昇して93.9%となった。
資産運用等損益は、同405億円増益の2379億円。このうち、ネット利息及び配当金収入は、外国株式配当金が海外子会社からの配当金収入により増加するとともに、政策株式からの配当金収入により内国株式配当金が増加したことなどから、同344億円増益の1670億円だった。
経常利益は同134億円増の3258億円、当期純利益は同52億円増の2538億円、単体ソルベンシー・マージン比率は前年度末比33.6ポイント低下し827.3%となった。
日新火災の保険引受利益は、前年度比28億円減益の53億円だった。火災保険に係る新商品の販売拡大による増収や新種保険に係る中小企業向け新商品の販売拡大による増収、自動車保険に係る発生保険金の減少等があったものの、自然災害や新種保険に係る発生保険金の増加、火災保険での落雷・風災等による小口事故増加などにより、前年同期実績を下回った。
資産運用等損益は、有価証券売却益や有価証券償還益の増加等により、同14億円増益の26億円。
経常利益は同14億円減の75億円、当期純利益は同12億円減の53億円、単体ソルベンシー・マージン比率は前年度末比4.3ポイント低下し1321.2%となった。
東京海上日動あんしん生命の新契約年換算保険料は、長期貯蓄性商品の販売休止や標準利率改定に伴う商品改定の影響、第三分野の新商品発売効果の反動で、前年度比15.5%減収し、1021億円となった。保有契約年換算保険料は、変額商品の満期等による減少を、新契約の積み上がりによる増加が上回ったため、同2.6%増収し、8527億円だった。
当期純利益は、長期貯蓄性商品の販売休止や標準利率改定に伴う商品改定の影響で、責任準備金の積増負担が減少したこと等により、同67億円増益の155億円、基礎利益は同81億円増益の305億円となった。単体ソルベンシー・マージン比率は、前年度末比521.6ポイント低下したが、2348.1%と非常に高い水準を維持している。
海外保険事業の正味収入保険料は各事業の成長施策の実行等により、前年度比5%増収し、1兆7410億円となった。北米はフィラデルフィア、デルファイ、TMHCCにおける更新契約の料率引き上げや引き受け拡大等で同1%増の1兆470億円だった。欧州はTokio Marine Kilnでの引き受け拡大等によって同20%増の1619億円。中南米はブラジルの自動車保険引き受け拡大を主因として増収し、同14%増の1480億円だった。アジア(中東含む)はインドの出資比率引き上げや各拠点の成長施策の実行等によって同25%増収し、1459億円となった。
事業別利益は、米国税制改革の一時的な影響(約282億円)や各事業での成長施策の実行等があったものの、北米ハリケーン等の大口自然災害や為替換算損益の悪化等により同15%減益の1441億円だった。
このうち北米は、デルファイが米国税制改革による一時的な増益効果や前年度の投資実現損の反動、運用資産増加等に伴う資産運用収益の増加により増益を確保し、北米全体では同14%増の1598億円となった。
欧州は大口自然災害や大口事故の影響と為替換算損益の悪化等により減益し、同299%減の▲179億円、中南米はブラジルの自動車保険の収益改善を主因に増益して同13%増の50億円、アジア(中東含む)はインドの出資比率引き上げやリザーブ取り崩し等によって同91%増の143億円だった。
18年度の通期連結業績予想は、正味収入保険料で円高進行の影響により前年度対比1%減収の3兆5300億円を見込む。生命保険料も9500億円と同0.3%の減収見通し。連結純利益は、前年度の米国税制改革による一時的な影響の反動があるものの、国内外での自然災害の減少や東京海上日動での保険引受利益の増加等により同358億円増益の3200億円としている。