2018.05.23 MS&ADHD 18年3月期決算 中核損保2社増収確保 当期純利益1540億円

 MS&ADインシュアランスグループホールディングス(MS&ADHD)が5月18日に発表した2018年3月期決算によると、連結経常収益は前年度比2.2%減の5兆2178億円だった。正味収入保険料は、海外保険子会社が減収したものの、国内損保子会社で火災保険やサイバー保険をはじめとする企業向け賠償責任保険などの新種保険が好調だったことから、同1.2%増の3兆4469億円、中核2社合計では同2%増収し、2兆7223億円となった。生保では、国内生保会社の生命保険料が同15.6%減の1兆582億円で、グロス収入保険料は、三井住友海上プライマリー生命で一部変額商品を売り止めしたことを主因に、同2.7%減少して、1兆5081億円だった。連結の経常利益は、同40%減の2115億円。親会社株主に帰属する当期純利益は、国内・海外の自然災害ロスの増加に加え、MS Amlinの一般ロスの増加を受け、同26.8%減の1540億円となったが、三井住友海上と三井住友海上プライマリー生命が過去最高益を計上するなど好調を維持し、昨年11月に発表した業績予想を90億円超過した。

 国内損保主要2社の業績で、保険引受利益は三井住友海上が同26億円増の844億円、あいおいニッセイ同和損保が同346億円減の48億円だった。2社合計は同319億円減の893億円となった。
 正味収入保険料は、2社合計で同521億円増の2兆7223億円となった。このうち、三井住友海上は同306億円増の1兆5003億円、あいおいニッセイ同和損保は同214億円増の1兆2220億円だった。
 三井住友海上の正味収入保険料を種目別に見ると、火災は同7%増の1967億円、海上は同3.1%増の604億円、傷害は同2.9%増の1476億円、自動車は同0.8%増の6592億円、その他は同3.8%増の2518億円だった。自賠責は同1.3%減の1845億円で前年度実績を下回った。
 正味支払保険金は同3.1%増の8363億円。地震・自賠責を除いた正味損害率は同1ポイント上昇して59%、正味事業費率は同横ばいの33.2%だった。コンバインド・レシオは同1ポイント上昇して92.2%となった。
 あいおいニッセイ同和損保の正味収入保険料の種目別では、火災が同14%増の1744億円、海上が同37%増の74億円、自動車が同0.5%増の6840億円と前年度実績を上回った。傷害は同0.1%減の613億円、自賠責は同1%減の1670億円、その他は同2.9%減の1276億円と減収した。
 正味支払保険金は同1.9%増の6606億円。地震・自賠責を除く正味損害率は同0.9ポイント上昇の56.5%、正味事業費率は同0.3ポイント低下し34.9%。コンバインド・レシオは同0.6ポイント上昇の91.4%だった。
 国内損保主要2社の資産運用・その他収支は、政策株式売却が進捗(しんちょく)したことから、有価証券売却益が1343億円となり、あいおいニッセイ同和損保で欧州子会社株式の評価損を467億円計上した(連結決算では消去)ものの、同94億円増益の1788億円となった。三井住友海上は同443億円増の1780億円、あいおいニッセイ同和損保は同348億円減の7億円だった。2社合計の経常利益は2681億円で同225億円の減益。このうち、三井住友海上は同470億円増の2625億円だったのに対し、あいおいニッセイ同和損保は同695億円減の56億円だった。2社合計の当期純利益は同11億円減益の2138億円。三井住友海上は同336億円増の1982億円、あいおいニッセイ同和損保は同347億円減の156億円だった。ソルベンシー・マージン比率は三井住友海上が前年度末比43.2ポイント上昇して701.1%、あいおいニッセイ同和損保が同67.6ポイント低下の784%となった。
 国内生保事業で、三井住友海上あいおい生命は、新契約高(個人合計)が新商品を発売した収入保障保険の大幅な増加を主因に前年度比11%増の2兆6395億円となった。新契約年換算保険料は同25%減少して388億円、このうち第三分野は同8.4%減の139億円だった。保有契約高(個人合計)は同2.6%増の23兆8068億円。保有契約年換算保険料は同2.8%増の4123億円で、このうち第三分野は同9.3%増の967億円となった。
 保険料(グロス収入保険料)は同2.9%増の4925億円、経常利益は同5.1%増の169億円。当期純利益は、14.9%増の52億円と増益を確保した。基礎利益は128億円で、同31.2%の減益となった。
 三井住友海上プライマリー生命の新契約高(個人合計)は同1.6%減の1兆156億円。保有契約高(個人合計)は同6.7%増収し、6兆618億円となった。保険料(グロス収入保険料)は変額保険の販売減少を主因に同5.2%減少したが、1兆156億円と4年連続で1兆円を突破した。経常利益は同49.8%減の289億円。当期純利益は、同41.1%増加し292億円となった。
 海外保険子会社業績については、正味収入保険料が同1.6%減の6823億円となった。当期純利益は、同534.7%減の▲1046億円。アジアと米州はトップライン・ボトムライン共に前期比で順調に増収・増益を果たしたが、欧州でのMS Amlinの自然災害ロスと一般ロスの増加などにより、減益となった。
 18年度のグループ連結業績予想で、当期純利益は、一過性の大口自然災害の抜けを含む海外事業の収益回復を主因に、前期比30%増の2000億円を見込む。損保子会社の正味収入保険料は中核2社と海外子会社の増収により同1%増の3兆4800億円、生保子会社の生命保険料は同10.6%増の1兆1700億円を予想。グループの経常利益は834億円増益の2950億円の見通し。