2018.2.22 かんぽ生命 17年度第3四半期決算、第三分野ANP過去最高水準

かんぽ生命は2月14日、2017年度第3四半期決算を発表した。四半期純利益は前年同期比10.3%増の750億円で、通期業績予想比で87.2%と順調な進捗(しんちょく)となった。個人保険の新契約年換算保険料は同23.2%減の2945億円だったものの、保障を重視した営業の取り組みや、17年10月の特約改定により、第三分野の新契約年換算保険料は同9.7%増の436億円と過去最高の水準にある。個人保険の保有契約年換算保険料は前期末比1.6%減の4兆8995億円となったが、第三分野の保有契約年換算保険料は同1.3%増の7454億円と前期末から増加し、増加基調へ転ずる兆しが見られる。低金利環境の継続を受け、リスク性資産(外国証券・国内株式等)への投資を9兆1634億円(総資産の11.9%)まで拡大した。

 個人保険の第3四半期累計の新契約件数は、前年同期比47万件減の134万件となった。商品別では、保険料改定の影響で、貯蓄性の強い商品の占率が減少。普通養老保険は38万件(占率:28.9%、前年同期実績71万件)、特別終身保険は10万件(占率:7.5%、前年同期実績21万件)、学資保険は10万件(占率:7.6%、前年同期実績25万件)だった。
 一方、保障ニーズを捉えた営業推進により、特別養老保険は25万件(占率:18.6%、前年同期実績20万件)、普通終身保険(定額型)は23万件(占率:17.1%、前年同期実績23万件)、普通終身保険(倍型)は27万件(占率:20.2%、前年同期実績18万件)となった。
 なお、17年10月に発売した低解約返戻金型終身保険の新契約件数は約5万件で、第3四半期の終身保険の新契約件数(18万件)の3割程度を占めている。
 個人保険の保有契約件数は、新旧区分合算で前期末から81万件減少し、3074万件となった。商品別に見ると、養老保険は1279万件(占率:41.6%、前年度末実績1349万件)、終身保険は1297万件(占率:42.2%、前年度末実績1279万件)、学資保険は484万件(占率:15.8%、前年度末実績512万件)、その他は13万件(占率:0.5%、前年度末実績14万件)だった。終身保険が増加傾向にあることから、終身保険の占率が養老保険を上回った。
 連結の経常収益は前年同期比5029億円減の5兆9951億円で進捗率は78%となった。保険料等収入は同6574億円減の3兆2203億円、資産運用収益は同653億円減の9716億円、責任準備金戻入額は同2380億円増の1兆7479億円だった。
 経常費用は同5372億円減の5兆7402億円で、このうち、保険金等支払金は同4791億円減の5兆1846億円、資産運用費用は同604億円減の695億円、事業費は同147億円減の3970億円。事業費は約7割を日本郵便へ支払う委託手数料が占めており、第3四半期累計の委託手数料は新契約の減少により、同107億円減の2811億円となった。委託手数料のうち、契約獲得実績に応じて支払う新契約手数料は同159億円減の1261億円、保全・支払業務等に応じて支払う維持・集金手数料は同51億円増の1549億円だった。
 経常利益は同343億円増の2548億円で進捗率は102%、親会社株主に帰属する四半期純利益は同69億円増の750億円で進捗率は87.2%と増益を確保し、順調に進捗している。総資産は前年度末比3.9%減の77兆1817億円、純資産は同19%増の2兆2054億円となった。
 資産運用については、昨今の低金利環境を受け、運用資産の多様化を進めてきた結果、株式・外国債券などリスク性資産の残高は9兆1634億円、総資産比で11.9%まで拡大した。今後もマーケット環境を注視しつつ、リスク性資産への投資を継続する方針であり、18年3月末の総資産比は12%程度を見込む。
 平均予定利率・利子利回りはともに低下し、463億円の順ざやを確保した。キャピタル損益は4億円となり、マーケット変動の影響を受けた前年同期から改善した。
 有価証券の時価及び含み損益は、総資産の減少等に伴い、満期保有目的や責任準備金対応で保有する債券の含み益が前期末比やや減少し、合計で7兆1147億円となった。その他有価証券の含み益は、株式相場の上昇により、国内株式の含み益が増加したこと等から、前期末比増加し、8789億円となった。この結果、有価証券全体の含み益は、7兆9936億円と前期末からやや増加した。
 健全性の状況については、経営環境の変化に伴うリスクに備え、将来にわたり健全で安定的な経営を確保するため、危険準備金2兆1512億円、価格変動準備金8355億円を積み立てている。将来の逆ざや等を補う目的で積み立てている追加責任準備金は5兆9273億円となっている。連結ソルベンシー・マージン比率は1207.8%と引き続き高い健全性を維持している。