2023.08.15 第一生命HD インドのデジタル保険ブローカーの先駆、RenewBuy社に出資 準都市・地方市場で展開し500万人の顧客
第一生命ホールディングスは7月19日、インド大手デジタル保険ブローカーのRenewBuy社(正式名称:D2C Consulting Services Private Limited、CEO:Balachander Sekhar)に対し、この6月に約31億インドルピー(約54億円)の出資を行ったと発表した。出資を通じ、RenewBuy社の広範な販売網の活用によるグループのインド合弁会社スター・ユニオン・第一ライフの強化・支援や、先進的なテクノロジー・組織能力の同社グループへの展開など、さらなる事業の高度化に努めていくとしている。
RenewBuy社は2015年にインドで設立された保険スタートアップ企業で、デジタル保険ブローカーの先駆者として急成長を遂げている。同社はデジタルテクノロジーをてこにして、販売管理や保険引受、保険金請求をはじめとするプラットフォームを開発し、保険会社のバリューチェーンに大きな効率化をもたらしている。同社のプラットフォームは、顧客に複数社の商品を分かりやすく提示しながらその場での契約手続きを完了できるシステムとなっており、顧客・保険アドバイザー双方にシームレスな顧客体験を提供している。
RenewBuy社は、インド国内の1500超に及ぶ市町村に総勢10万人超の保険アドバイザーを展開し、40社超の生保・損保・医療保険商品の販売を通じて500万人を超える顧客に支持されている。従来の保険会社ではコスト効率の観点等から参入が困難とされてきた準都市・地方市場での展開に成功し、同社の業績の約7割がこれらの市場における保険販売によるものだという。
また、RenewBuy社は保険業界のDXをリードすることを目指しており、直近ではAIベースの保険引受エンジン、保険金請求管理システムを提供するArtivatic.AI社を買収し保険会社向けのSAS事業も展開しており、既にインドの大手保険会社数社への導入を実現している。
第一生命グループは、現中期経営計画でグループビジョン“Protect and improve the well-being of all(すべての人々の幸せを守り、高める。)”を掲げ、事業戦略では、既存事業の効率向上等によるビジネスの「深化」を図るとともに、デジタルテクノロジー等の新たな組織能力獲得に向けた「探索」にも取り組む“両利きの経営”を推進している。RenewBuy社への出資は、このうちの「探索」の取り組みの一環であり、同社の持つデジタルテクノロジーや革新的な組織能力の活用と人財派遣等の戦略的パートナーシップを通じ、インドをはじめとする海外事業の一層の強化に向け協力して取り組んでいくとしている。
第一生命ホールディングスの山口仁史代表取締役常務執行役員(海外生保事業担当)は今回の出資について、「第一生命グループは国内外問わず、お客さまの体験価値向上に向けて常に試行錯誤を重ねており、RenewBuy社への出資はその一環だ。RenewBuy社は、保険市場のトレンドを的確に捉えデジタルテクノロジーを効果的に活用することで、従来の手法では参入が難しかった地方市場で成功を収め、インド保険市場に大きなイノベーションをもたらしている。RenewBuy社は、その優れた経営陣と革新的なデジタルテクノロジーによって、成長著しいインド市場で今後もさらなる成長・拡大を実現できると考えている。デジタルトランスフォーメーションを常に追求するマインドセットからも多くの学びを得られるものと考えており、RenewBuy社とのパートナーシップを通じて、当社のインド生命保険事業をはじめとした当社グループ事業の高度化・イノベーションを加速させていきたい」とコメント。
RenewBuy社Co―Founder&CEOのBalachander Sekhar氏は「当社はテクノロジーを駆使して販売プロセスを大幅に効率化することで、地方における市場拡大に成功してきた。しかし、地方では依然として保険の普及水準は低位であることから、少なくとも今後20年間は飛躍的な成長を遂げるものとみている。今回、私たちは第一生命ホールディングスという長期的なビジョンを共有する理想的なパートナーを見つけることができた。私たちとの協業・テクノロジーの活用を通じて、インドだけでなくアジア市場全体におけるさらなる成長機会につなげていけると考えている」と述べた。