2023.05.25 MS&ADHD 22年度末決算 純利益は38%減1615億円、正味収保は9%増3兆9344億円に
MS&ADインシュアランスグループホールディングス(MS&ADHD)が5月19日に発表した2022年度通期決算によると、連結経常収益は前期比2.3%増の5兆2512億円となった。連結正味収入保険料は、国内損保子会社・海外子会社ともに増収となり、同9.0%増の3兆9344億円となった。海外子会社の正味収入保険料は、MSアムリンが増収した欧州をはじめアジア・米州でも増収したほか円安影響も加わり、同32.9%増の9341億円。連結経常利益は同40.8%減の2311億円となり、親会社株主に帰属する当期純利益は同38.5%減の1615億円となった。グループ修正利益は、国内損保事業、国内生保事業、海外事業、金融サービス事業/リスク関連事業いずれも減益となったことから前期比1744億円減益の1727億円となったが、昨年11月発表の通期予想1700億円は上回った。
23年度の通期業績予想については、損保子会社の正味収入保険料は1495億円増収の4兆840億円、生保子会社のグロス収入保険料は2265億円減収の1兆4810億円を見込む。海外保険子会社はMSアムリンの引受拡大や料率引上げによる増収などにより1358億円増収の1兆700億円を見込む。当期純利益は、海外保険子会社の増益を主因に1022億円増益の1180億円を見込むほか、国内損保子会社計、国内生保子会社計でも増益を見込み、グループ連結で1384億円増益の3000億円を見込む。グループ修正利益は1772億円増益の3500億円を見込むが、中期経営計画の23年度目標4000億円からは500億円目標を引き下げた。
22年度連結当期純利益については、前期との比較で、国内損保(三井住友海上、あいおいニッセイ同和損保)は、資産運用損益が増加しアーンド保険料が+650億円だったもののインカードロス(含む損害調査費)が大幅に増加し▲2111億円、異常危険準備金損益+1126億円、事業費ほか(初年度収支残、自然災害責任準備金、為替差損益など含む)▲533億円、資産運用・その他+295億円、その他(特別損益・法人税等)+85億円―などとなり、国内損保計は490億円減益の1510億円。また、国内生保(三井住友海上あいおい生命、三井住友海上プライマリー生命)も416億円減益の324億円、海外保険子会社も88億円減益の157億円となった結果、合わせて前期比1012億円減益の1615億円となった。ただし、11月発表の通期予想1400億円に対しては115.4%の進捗率。
グループ連結の修正利益は、国内損保事業が1126億円減益の1180億円、国内生保事業が410億円減益の347億円、海外事業が164億円減益の179億円、金融サービス事業/リスク関連事業が43億円減益の20億円だった。
国内損保2社の業績で、正味収入保険料は2社合計で前期比3.3%増の2兆9653億円となった。火災保険での22年10月改定前の契約増加や海上保険、自動車保険(主に海外子会社からの受再保険の増収等)の増収が主因。保険引受利益は、既経過保険料が増加した一方、自動車ロス(交通量の回復や保険金単価の上昇)、国内自然災害ロス(6月の雹災、台風14号、台風15号等)、新型コロナ関連ロス、火災新種ロス(大口事故等)の増加などにより、同868億円減の▲152億円。資産運用・その他収支は利配収入の増加や政策株式の売却による有価証券売却益の増加等により、同295億円増の2232億円だった。
三井住友海上単体の正味収入保険料は前期比3.2%増の1兆6298億円。正味損害率は同5.3ポイント上昇し64.3%、正味事業費率は同0.5ポイント低下し32.5%、コンバインド・レシオは同4.8ポイント低下し96.8%。家計地震・自賠責を除いたEI損害率は同6.1ポイント上昇し67.1%となった。
あいおいニッセイ同和損保単体の正味収入保険料は前期比3.4%増の1兆3355億円。正味損害率は同6.8ポイント上昇し66.6%、正味事業費率は同0.4ポイント低下し34.6%、コンバインド・レシオは同6.4ポイント上昇し101.2%。家計地震・自賠責を除いたEI損害率は同7.0ポイント上昇し68.6%となった。
三井住友海上単体の経常利益は前期比23.3%減の1412億円、当期純利益は同26.0%減の1078億円となった。また、あいおいニッセイ同和損保単体の経常利益は同17.5%減の667億円、当期純利益は20.0%減の431億円となった。
国内生保子会社の保険料等収入は2社合計で前期比4097億円増の1兆8389億円、当期純利益は同416億円減の324億円だった。
三井住友海上あいおい生命の新契約年換算保険料は、新商品のガン保険の販売好調等により前期比1.0増の271億円。保有契約年換算保険料は同0.8%減の4405億円。保険料(グロス収入保険料)は同3.0%減の4871億円を計上。経常利益は同28.7%減の278億円、当期純利益は新型コロナ影響による給付金の増加等により同39.6%減の127億円となった。基礎利益は28.0%減の249億円。
三井住友海上プライマリー生命の保険料(グロス収入保険料)は、外国金利の上昇による外貨建商品へのニーズの高まりや営業活動の積極展開などにより、同50.2%増の1兆2204億円だった。経常利益は同64.7%減の310億円。当期純利益は、前期に金利上昇により責任準備金の繰入負担が減少した反動や、当期の外貨建保険の標準責任準備金の繰入負担を主因に同62.7%減の197億円となった。
海外保険子会社の業績は、正味収入保険料は新規引受の拡大や保険料率の引上げ等によりMSアムリンが増収した欧州をはじめ、アジア、米州ともに増収したほか、円安影響もあり、前期比32.9%増の9341億円となった。台湾現法の新型コロナロスやロシア・ウクライナ関連ロスの見積もり計上の負担があったものの、MSアムリンの収支改善等により、海外子会社計の保険引受利益は黒字化。当期純利益は、保険引受利益が増加したものの、株価下落・金利上昇による資産運用損や海外生保の持分法利益減少等により、同36.0%減の157億円となった。地域別には、アジア(豪州含む)が同10億円減の285億円、欧州が同46億円増の▲222億円、米州が同11億円減の31億円。なお、欧州のうちMSアムリンの当期純利益は、金融市場の変動を背景とする資産運用損失(▲9100万ポンド)を主因に▲1億4400万ポンドだった。