2023.05.24 東京海上HD 22年度末決算 修正純利益 予想上回る4440億円で着地、正味収保は15%増4兆4699億円に

 東京海上ホールディングスは5月19日、2022年度末決算を発表した。それによると、連結経常収益は海外子会社における好調な保険引受に加え円安の影響もあり前年度対比13.4%増の6兆6486億円、正味収入保険料は同15.0%増の4兆4699億円、生命保険料は同7.6%増の1兆716億円。連結経常利益は同11.2%減の5039億円、親会社株主に帰属する当期純利益は同10.5%減の3764億円となった。修正純利益は同23.2%減の4440億円だったが、通期予想(2月公表)の4000億円からは440億円上振れた。一過性の影響(コロナ損失や自然災害等)を除いたNormalizedベースでは6171億円と、通期予想(2月)対比で361億円(22%)上回るなど堅調としている。23年度通期業績予想については、親会社株主に帰属する当期純利益を40.8%増の5300億円、修正純利益を6700億円(Normalizedベースで+9%成長、為替除いて+8%成長)と見込む。

連結の正味収入保険料は為替影響を除くと前年度対比9%増となる。国内の正味収入保険料は2兆5602億円で、火災の商品・料率改定や新種の販売拡大により同4%増となった。海外の正味収入保険料は、各拠点におけるレートアップや引受拡大等により、同17%増(除く為替影響)の1兆9100億円となった。23年度については3%増(除く為替影響で2%増)の4兆5900億円と予想。国内は、火災の保険期間短縮に伴うマイナス影響や自賠責の料率引下げの影響を新種の販売拡大や自動車の補償拡充と24年1月の料率・商品改定(予定)等で打ち返しほぼ横ばいの2兆5660億円、海外は、引続き引受規律を維持した着実なレートアップや引受拡大等により5%増(除く為替影響)の2兆240億円を見込む。
連結の生命保険料は、為替影響を除くと前年度対比1%増となる。国内(東京海上日動あんしん生命)は5134億円で、販売好調の一方で事業保険の解約増加(想定通り)により同10%減、海外はレートアップや引受拡大等により、同13%増(除く為替影響)の5590億円となった。23年度については4%減(除く為替影響)の1兆300億円と予想。国内は7%減の4790億円、海外は1%減(除く為替影響)の5560億円を見込む。
連結修正純利益4440億円(前年度対比1342億円減)の増減は、東京海上日動が▲944億円、東京海上日動あんしん生命が▲146億円、海外保険が▲337億円、その他が+84億円で、要因としては、東京海上日動については、為替の影響が▲33億円、一過性の影響(自然災害、コロナ〈前年の自動車のコロナ影響の反動含む〉、南アフリカ洪水等)が▲742億円、その他(政策株式以外)が▲168億円。海外保険については、為替の影響が+386億円、一過性の影響(自然災害、台湾コロナ、北米キャピタルゲイン等〈前年の反動含む〉、戦争等)が▲1567億円となっている。
23年度の修正純利益については、レートアップや引受拡大を背景とした「保険引受利益の拡大」や、金利上昇等を捉えた「インカム収益の拡大」「政策株式の売却加速(向こう4年間で6000億円以上を売却)」を成長ドライバーとし、Normalizedベースで9%、529億円増益の6700億円を見込む。内訳は、東京海上日動が+164億円の1610億円、東京海上日動あんしん生命が▲59億円の390億円、海外保険事業が+208億円の3760億円。
22年度末の国内損保事業のうち、東京海上日動の保険引受利益は1164億円で前年度から7億円減。自然災害・各種準備金等の影響を控除したベースでは1904億円で、想定を下回るコロナ保険金、海上・自動車における発生保険金や事業費の下振れ等により、ともに11月公表の通期予想を上回った。資産運用等損益は前年度対比458億円増の2437億円、経常利益は同429億円増の3621億円で、当期純利益は同459億円減の1895億円。事業別利益は1094億円で同944億円減だったが、想定を下回る国内自然災害、円高に伴う外貨建支払備金積増の減少、想定を下回るヘッジコスト等により11月公表の通期予想の520億円を574億円上回る結果となった。
東京海上日動の正味収入保険料(民保)は、ほぼ11月公表の予想(2兆1674億円)通りの2兆1717億円。自動車を除く全ての種目で増収し前年度対比では5%増となった。全種目計では、同4.2%増の2兆3852億円となる。発生保険金は、国内自然災害やコロナ保険金、海上・自動車の発生保険金の下振れに加え、 円高に伴う外貨建支払備金積増の減少等により、通期予想対比では704億円減、前年度対比では増収効果に加え、国内自然災害、コロナ保険金の増加、自動車のコロナ反動、南アフリカ洪水、大口事故の増加等により、14.2%、1700億円増となる1兆3637億円で着地した。
E/I損害率(民保)は通期予想の66.9%を下回る63.8%だったが、前年度対比では5.7ポイントアップとなった。事業費率は、社費率は見込んでいた成長投資を実施した一方、一部システムコストの期ズレ等により、前年度から0.4ポイント減の32.1%。その結果、コンバインド・レシオ(民保E/Iベース)は、通期予想対比3.8ポイント減、前年度対比5.2ポイント増の95.8%となった。
23年度の業績予想については、保険引受利益(自然災害・各種準備金等の影響控除ベース)は自動車のインフレ影響や事業費増加の一方で、火災の収益改善や新種の販売拡大、前年度の大口事故の反動、コロナ保険金の反動等により、前年度対比502億円増益の2406億円を見込む。事業別利益は、ヘッジコストの増加等の一方、前記および前年度の一過性要因の反動等により、同515億円増益の1610億円を見込む。当期純利益は、同1304億円増益の3200億円を見込むとした。
日新火災は、正味収入保険料が前年度対比4億円減の1450億円、保険引受利益が同88億円減の67億円、資産運用等損益が同33億円減の18億円となった結果、当期純利益は同54億円減の70億円となった。23年度については、正味収入保険料は29億円減の1421億円、当期純利益は4億円増の75億円を見込む。
東京海上日動あんしん生命の新契約年換算保険料は、前年度対比2.9%増の534億円と、通期予想の560億円を若干下回った。基礎利益は同35.9%減の403億円。当期純利益は同26.4%減の356億円を計上した。事業別利益は、コロナ以外の保険金支払の下振れや為替の影響等により、11月予想対比で+94億円、前年対比で28.7%減の364億円となった。23年度については、新契約年換算保険料はシニア・ヘルスケア領域への新商品投入や回払変額保険の販売拡大により580億円(8.6%増)、基礎利益360億円(10.8%減)、当期純利益380億円(6.7%増)と見込む。
海外保険事業は、正味収入保険料は各拠点における成長施策の実行(レートアップや引受拡大等)等により、北米拠点を中心に好調な引受により通期予想(11月公表)を若干上回る進捗率100.9%(除く為替)で着地。前年度対比14.1%増(除く為替)の2兆5704億円となった。事業別利益は通期予想(2月公表)の通り、同13.4%減の2186億円となった。一過性の台湾コロナの影響(▲1053億円)を、北米を中心とした好調な業績や円安進行(+386億円)が相当程度打ち返した。

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