2023.01.20 損保ジャパン、SOMPOリスク 改正航空法施行で12月からレベル4飛行解禁、産業用ドローンに包括パッケージ開発 ガイドライン適合支援サービスも提供

損保ジャパンとSOMPOリスクマネジメント(以下、SOMPOリスク)は12月19日、同月5日に改正航空法が施行され無人航空機(ドローン)の「有人地帯(第三者上空)、補助者なし目視外飛行」(以下、レベル4飛行)が解禁されたことに合わせ、「産業用貨物輸送ドローン・トータルプラン(保険パッケージ)」と「リスク評価ガイドライン適合支援サービス」の提供を開始すると発表した。保険パッケージでは、従来提供している産業用ドローン専用保険の補償に加え、①ドローン輸送貨物の捜索・回収費用②個人情報漏えいリスク③ドローン輸送貨物の物的損害リスク―の補償を提供。支援サービスでは、レベル4飛行の許可・承認で求められるリスク評価ガイドラインへの適合状況の確認や対応を支援する。

2021年6月に航空法が改正・公布、昨年12月5日に施行されたことにより、ドローンのレベル4飛行が実現した。市場調査・戦略分析のインプレス総合研究所のデータによると、日本国内のドローンビジネスの市場規模は21年度の2308億円から27年度には7933億円に成長すると見込まれており、今後、物流、防犯、点検などの分野で一層活用が拡大していくことが予想されている。
レベル4飛行に当たっては、安心・安全にドローンが飛行するための体制整備として「機体認証制度」「操縦ライセンス制度」が新設され、「運航ルール」の拡充が図られている。損保ジャパンは15年に業界初(同社調べ)のドローンの事故再発防止を目的とした操縦訓練費用補償を開発するなどこれまでも産業用ドローン専用保険を提供してきており、今回、レベル4飛行が可能となり一層の活用が見込まれるドローン物流に対応するため、ドローンでの輸送貨物を補償する保険パッケージの提供を決めたとしている。
また、レベル4飛行の許可・承認では、運航形態に応じたリスク評価を行い評価結果に基づくリスク軽減策を盛り込んだ飛行マニュアルを作成・順守する必要がある。運航事業者に課されるリスク評価手法を具体化するため新たに関係機関等で構成された作業部会が策定したガイドラインが「リスク評価ガイドライン」で、SOMPOリスクが提供する「リスク評価ガイドライン適合支援サービス」では、同社がこれまで、自動走行ロボット実証実験のリスクアセスメント実施経験を基にドローン運航に関するリスクアセスメント支援サービスを提供してきたものに加え、レベル4飛行の許可・承認を得る際に求められる運航事業者のリスク評価への適合状況の確認や対応を支援する。
「産業用貨物輸送ドローン・トータルプラン」は、従来の産業用ドローン専用保険で提供している①ドローン本体の物的損害リスク(動産総合保険)②第三者への賠償リスク(施設賠償責任保険、サイバー保険)―に加え、③ドローン輸送貨物の捜索・回収費用(動産総合保険オプション)の補償④個人情報漏えい補償(施設賠償責任保険オプション)⑤ドローン輸送貨物への補償(物流総合保険)―をパッケージで提供する。
③のドローン輸送貨物の捜索・回収費用の補償では、産業用貨物輸送ドローンに偶然な事故が発生し行方不明となった場合などにドローン本体の捜索・回収費用に加え、ドローン輸送貨物の捜索・回収費用まで拡張して補償する。
④の個人情報漏えい補償では、ドローンを所有、使用、管理することに起因して発生した個人情報の漏えいについて、被保険者が法律上の賠償責任を負担することによって被る損害を補償する。
⑤のドローン輸送貨物への補償は、ドローンの所有者や運航者などを契約者、貨物の所有者を被保険者とし、産業用貨物輸送ドローン(無人ヘリコプター)で輸送される原材料・製品などの貨物を対象に、対象貨物の補償や検査費用、再梱包費用などを広くカバーする。補償額は輸送する貨物の種類や輸送方法によりオーダーメードで設計する。
両社では今後、それぞれが持つ豊富なドローンの運航経験やリスクマネジメントのノウハウを活用し、社会受容性の醸成と事業者のリスクヘッジを後押しし、ドローンの安心・安全な社会実装を支援していくとしている。