2022.12.12 東京海上日動 23年1月に自動車保険で改定、車両保険限定タイプ 自転車・シニアカー等も対象に

東京海上日動は、2023年1月以降始期契約から、車両保険の限定タイプで自転車やシニアカー(自操用ハンドル形電動車いす)と接触・衝突事故が発生した場合を補償対象に追加する(この他にも「人」との接触時の車両損傷も補償対象に追加)。車両保険には、自損事故なども補償対象に含まれる補償範囲の広い「一般条件」と、補償範囲を限定することで保険料を抑える「限定タイプ」がある。これまで限定タイプの補償範囲は、車同士の事故などに限定されており、自転車やシニアカーとの事故は補償の対象外となっていた。限定タイプで、自転車やシニアカーとの事故を補償範囲に含めるのは、大手損保で初(同社調べ)。

同社は、21年4月に動物との衝突・接触や当て逃げ事故等を車両保険限定タイプの補償対象に追加したが、さらに衝突・接触事故の補償範囲を拡大することにした。
具体的には、「エコノミー車両保険(自動車・動物+A)」を「エコノミー車両保険(自動車・乗用具等+A)」とし、衝突・接触相手をこれまで「自動車・原動機付自転車」「飛来中・落下中の他物」「動物」としていたのに加え、「人」「乗用具(自転車・シニアカー等)」を新たに含めた。「建物やガードレール等の構築物(単独事故)」が補償対象とならないのは従来通り。
今回の改定の背景には、シェアサイクル事業やフードデリバリー等の配送事業の広がり等により、自転車が関与する事故が増加していることがある。また、高齢化社会の進行や道路交通法改正の動向等により、自動車以外のシニアカー等の乗用具との衝突・接触事故が増加する可能性も視野に入れている。
日本でシェアサイクルを導入する都市は年々増加し、全国225都市あり、同時点で導入検討中の都市は63あった(19年3月31日時点)。世界規模でみると、日本の導入都市数は世界でも上位(例えば、中国693、米国310、イタリア165)となっている(19年12月末時点)。(いずれも、国土交通省の「シェアサイクルに関する現状と課題」による)。
一方、シニアカーの出荷台数は、公的介護保険スタートの2000年(注)以降数年間は毎年3万台前後が続き、近年では毎年2万台前後が継続している(19年2万2491台、20年1万9396台、21年1万9134台)(電動車いす安全普及協会による)。この出荷台数は、シニアカーの需要および利用者の増加を表しており、それによって、シニアカーに関連した事故も増える傾向にあると考えられる。近年ではバス路線の廃線で、免許返納後の移動手段としてシニアカーを(介護用ではなく自操用として)購入する人も増加しているようだ。
同社では、今後も、現状に合わせた改定などを素早く実施していく方針としている。
(注)シニアカーは、介護保険制度の福祉用具貸与種目の対象であることから、要介護認定高齢者であれば、1割の自己負担でレンタル利用できる。