2022.12.01 日本生命 22年度第2四半期決算、連結業績は増収・減益、グループ各社で外貨建商品の販売増加
明治安田生命が11月24日に発表した2022年度第2四半期(上半期)決算によると、グループ連結の保険料は、外貨建一時払保険の販売量増加とスタンコープ社の増収等を主因に前年同期比4600億円の増加となった。グループ基礎利益も運用関係損益の増益が主な要因となり、同168億円増加し、増収・増益となった。グループESRが201%、単体のオンバランス自己資本は同1336億円増の4兆2723億円となり、健全性を表す指標はいずれも高い水準を維持した。22年度の業績見通しはグループ・単体ともに「増収・横ばい」から「増収・減益」に変更し、基礎利益は「横ばい」から「減益」に修正した。
グループ保険料は、前年同期比33.2%増の1兆8439億円となり、コロナ禍前の19年度上期を大きく上回る水準まで増加した。海外保険事業等の保険料は同37.9%増の2415億円と増収し、はじめて2000億円を上回った。そのうちスタンコープ社は、同34.2%増の2194億円となった。
グループ基礎利益は、新型コロナウイルスに関連する保険金等の支払い増加の影響があったものの、明治安田生命単体の運用関係損益の増加が主因となり前年同期比8.2%増の2212億円となり増益となった。一方でスタンコープ社では、コロナ禍に起因する保険金等支払い増加の影響などで同29.7%減の107億円で減益となった。
健全性の指標については、25年に予定している経済価値ベースのソルベンシーマージン規制の導入を見据えグループESRを経営目標に設定。22年9月末時点のグループESRは海外金利上昇の影響によって201%と21年度末から10ポイント低下したものの、引き続き高い水準を維持した。
連結の経常収益は前年同期比41.7%増の2兆8134億円、経常費用は同45.4%増の2兆7095億円、経常利益は同14.9%減の1038億円、中間純剰余は同11.3%減の861億円となった。
明治安田生命単体の業績を見ると、保険料等収入は外貨建一時払保険の販売量増加を主因に前年同期比32.6%増の1兆6024億円となった。そのうち個人保険・個人年金保険は、同44.4%増の1兆1406億円。
新契約年換算保険料は前年同期比51.5%増の784億円となった。チャネル別内訳では、営業職員チャネルが同37.0%増の618億円、銀行窓販チャネルが同170.9%増の159億円。第三分野は同3.3%増の233億円となった。 保有契約年換算保険料は、新契約が好調で前年度末比0.3%増の2兆1747億円となった。このうち営業職員チャネルは同0.6%増の1兆6306億円、銀行窓販チャネルは同0.4%減の4992億円となった。第三分野は同1.5%増の4820億円と増加した。
団体保険の保有契約高は116兆897億円と前年度と同水準を維持し引き続き業界トップシェアを堅持した。団体年金保険の保有契約高は7兆9011億円で横ばいとなった。
基礎利益は、前年同期比12.2%増の2110億円で増益となった。保険関係損益は、新型コロナ関連の支払い増加による危険差益の減少を主因に同29.2%減の921億円で減益となった。運用関係損益は、円安による外国公社債の利配収入の増加などから同105%増の1189億円で増益となった。
資産運用収支(一般勘定)は、円安の進行に伴う外国公社債の利配収入の増加や有価証券の売却益、償還益の増加によって、前年同期から2411億円増加し6463億円となった。
オンバランス自己資本は内部留保の積み増し等によって前年度末から1336億円増加し、4兆2723億円となった。単体のソルベンシー・マージン比率は、海外金利の上昇等による外国公社債の含み益の減少等により、前年度末差85.8ポイント減の975.8%となったものの、引き続き高い健全性を維持。
一般勘定資産全体の含み損益は、内外金利上昇による公社債の含み益の減少を主な要因に3兆9179億円と同1兆7735億円減少した。
経常収益は、前年同期比42.9%増の2兆4959億円。経常費用が同46.0%増の2兆3812億円で、このうち保険金等支払金は同29.4%増の1兆4495億円、責任準備金等繰入額は同143.2%増の4259億円、資産運用費用は同174.0%増の2457億円となった。経常利益は、同0.1%減の1146億円、中間純剰余は同3.8%増の963億円となった。
契約クオリティを示す指標は、引き続き良好に推移している。解約・失効・減額率(個人保険・個人年金保険)は、円安の影響で外貨建保険の解約が増加した結果、前年同期差0.95ポイント増加して3.01%となり、前年同期と比べやや悪化しているものの、主力商品は同0.08ポイント低下の2.65%となり、低位な水準を維持した。総合継続率は、13月目が同0.2ポイント低下の95.1%、25月目が同0.1ポイント上昇の89.8%、61月目が同0.3ポイント低下の70.7%と高水準を維持した。
米国子会社のスタンコープ社は、保険料等収入は主力の団体保険事業の既契約の更新が良好だったこと等により、前年同期比34.2%増の2194億円で増収となった。基礎利益相当額は、コロナ起因の保険金等の支払いの影響などにより同29.7%減の107億円、当期純利益は同71.8%減の25億円となり、前年同期を下回った。
22年度のグループの業績見通しは、第1四半期報告時の「増収・横ばい」から「増収・減益」に変更する。グループ保険料は、外貨建一時払保険の新契約業績の好調により、3兆円程度から3.5兆円程度に上方修正する。グループ基礎利益は、新型コロナに関する保険金等の支払いの増加、標準責任準備金の積増負担の増加および為替に係るヘッジコストの上昇等により、減益の見通しに変更するとした。