2022.09.21 政府の新型コロナ全数届出見直し受け 生損保各社「みなし入院」適用を限定

政府が9月26日から新型コロナウイルス感染症患者の発生届の対象を高齢者・重症化リスクのある人に限定することにしたことを受けて、生保・損保等各社は相次いで9月26日以降、新型コロナにかかる「みなし入院」の取り扱いを見直すことを発表した。

政府は9月8日、「Withコロナに向けた政策の考え方」を発表、高齢者・重症化リスクのある人に対する適切な医療の提供を中心とする考え方に転換し、新型コロナウイルスへの対応と社会経済活動の両立をより強固なものとした新たな段階に移行すると決定した。その中で療養の考え方の転換・全数届出の見直しを図り、9月26日から全国一律で患者の発生届出の対象を、①65歳以上の者②入院を要する者③重症化リスクがあり、新型コロナウイルス感染症治療薬の投与又は新たに酸素投与が必要と医師が判断する者④妊婦―の4類型に限定することにした。
第一生命は9月9日、政府が発生届の対象を重症化リスクの高い人に限定する旨を公表したことなどを踏まえ、新型コロナウイルス感染症患者の「みなし入院」に係る入院給付金等の取り扱いを検討した結果、9月26日以降の支払い対象を、9月26日以降に新型コロナウイルス感染症と診断された人のうち「重症化リスクの高い人」(①65歳以上の人②入院を要する人③重症化リスクがあり、新型コロナ治療薬の投与または新型コロナ罹患により酸素投与が必要な人④妊娠している人)にすると発表した。
同社では「みなし入院」の取り扱いを開始した経緯と今回の対応の理由について、「入院給付金は、①医師による治療が必要であり、かつ、自宅等での療養が困難(以下、入院の必要性)②病院または診療所に入ること③常に医師の管理下において治療に専念すること―という3条件を全て満たすことによって支払うことになっている。こうした中、2020年4月当時、新型コロナウイルス感染症と診断された人について、病院への入院が必要であるにもかかわらず、病院の病床のひっ迫等の事情により、入院することができない状況が発生した結果、宿泊・自宅療養が行われることになった。宿泊・自宅療養は、約款上の『入院』の定義に該当しないものの、感染症法上は入院勧告・措置の対象であること等を踏まえ、顧客保護の観点から、『入院』と同等に取り扱う(みなす)特別取扱を、社会情勢を踏まえた時限的な措置として開始した。しかしながら、新型コロナウイルス感染症の感染者数が増加する昨今の状況では、重症者の割合はこれまでと比べて低い水準であり、軽症・無症状の人の割合が高まっている状況にある。さらに、今般、政府において、新型コロナウイルス感染症に係る発生届の対象について、Withコロナの新たな段階への移行として、22年9月26日以降、全国一律に、重症化リスクの高い人に限定されることとなった。こうした状況変化も踏まえ、発生届の対象とならない人における入院の必要性や今般の政府における措置等に鑑み、9月26日以降の『みなし入院』による入院給付金等の支払い対象を前記のとおりとした」としている。
また、損保ジャパンも9月9日、新型コロナウイルス感染症による入院を補償する商品で、医師の指示に基づく宿泊施設・自宅等での療養について「入院」とみなして保険金を支払う取り扱い(「みなし入院」)の対象者を「重症化リスクの高い人」(①65歳以上の人②入院を要する人③重症化リスクがあり、新型コロナ治療薬の投与または新型コロナ罹患により酸素投与が必要な人④妊婦)とすると発表した。
同社では「損保ジャパンの保険約款において『入院』の定義は、『自宅等での治療が困難なため、病院または診療所に入り、常に医師の管理下において治療に専念すること』等としており、これらの条件を全て満たすことによって入院保険金を支払うことになっている。新型コロナウイルス感染症の拡大を受け20年4月以降は、病院への入院が必要であるにもかかわらず、病床ひっ迫等の事情により入院することができない顧客に対する特別措置として、宿泊施設や自宅で療養が行われた場合についても『入院』とみなし、保険金を支払ってきた。これは保険約款の『入院』の定義には該当しないものの、感染症法上は入院勧告・措置の対象であること、保健所等で健康観察が行われること等を踏まえ、顧客保護の観点から時限的措置として開始したもの。その後、新型コロナウイルスの感染者数が急速に増加する中で、重症者の割合はこれまでと比べて低い水準となり、入院による治療を必要としない軽症者・無症状者の割合は高まっている。このような状況の中、今般、政府は新型コロナウイルス感染症に係る発生届の範囲を、22年9月26日以降、全国一律に、重症化リスクの高い人に限定するとした。発生届の対象とならない人における入院の必要性や今般の政府における措置等に鑑み、9月26日以降の『みなし入院』の適用範囲について前記のとおりとした」としている。
9月9日以降、新型コロナで「みなし入院」の取り扱いがある生保会社、損保会社、少額短期保険業者は相次いでほぼ同旨の取り扱いの変更を発表している。