2022.09.15 金融庁 コロナ入院給付金取扱いで保険会社等に要請、「みなし入院」取扱限定の検討へ 医療機関負担軽減へ療養証明書求めない事務構築も

金融庁は8月30日、生保協会、損保協会、外国損保協会、日本少額短期保険協会に対し、医療機関や保健所のさらなる負担軽減のため、新型コロナウイルス感染症に関する給付金等の請求の際に必要となる療養証明書の取り扱いについて、会員各社で療養証明書の発行を医療機関や保健所に求めない事務の構築について可及的速やかに検討が行われるよう周知することを要請した。また、9月1日には同じく4団体に対し、いわゆる「みなし入院」による入院給付金の取り扱い等について、新型コロナウイルス感染症に係る発生届の範囲について政府が今後全国一律に重症化リスクの高い人に対象を限定する方向で検討していることを踏まえ、重症化リスクの高い人に限定する方向で支払対象も含め速やかに検討が行われるよう周知することを求めた。

金融庁は8月30日、「新型コロナウイルス感染症に関する医療機関や保健所における更なる負担軽減策への対応について(要請)」を発出。給付金等の請求の際に必要となる療養証明書の取り扱いについて、厚生労働省から民間保険会社等で医療機関や保健所のさらなる負担軽減のための検討の要請を受けたことを挙げ、「会員各社で療養証明書の発行を医療機関や保健所に求めない事務の構築について、可及的速やかに検討が行われるよう周知していただきたい」と求めた。
8月26日付の厚生労働省健康局結核感染症課の事務連絡「民間保険請求の際の療養証明書の取扱いの見直しについて(要請)」では、「発熱外来や保健所業務が極めてひっ迫した地域において、当面の緊急避難的な対応として、都道府県知事の申し出により、発生届の範囲を、65歳以上の者等に限定することを可能とした」「民間保険請求については、これまで、可能な限り、医療機関や保健所に療養証明書を求めることなく、自らMyHER―SYS(マイハーシス、陽性者本人等がスマートフォンやパソコン等で自身や家族の健康状態を入力できる健康管理機能。入力した情報は、管轄している保健所へ反映・共有される)で取得した療養証明書等により確認を求めることをお願いしてきたが、当面の緊急避難的な対応として発生届の範囲を限定する都道府県においては、発生届の出ない患者については、MyHER―SYSで療養証明書を取得できなくなる。このことにより、医療機関や保健所に対し療養証明書を求める人が増えることとなれば、今回の措置の趣旨に沿うものとはならない」とされていた。
金融庁はさらに9月1日、「いわゆる『みなし入院』による入院給付金支払対象等について(要請)」を発出。新型コロナウイルス感染症に係る発生届の範囲について、政府でwithコロナに向けた新たな段階への移行の一環として、今後、全国一律に①65歳以上の人②入院を要する人③重症化リスクがあり新型コロナ治療薬の投与または新型コロナ罹患により酸素投与が必要な人④妊婦―の重症化リスクの高い人に対象を限定する方向で検討が行われていることを挙げ、「医療機関や保健所の負担軽減に十分配慮しつつ、政府による検討の方向性を踏まえた上で、いわゆる『みなし入院』による入院給付金の取り扱い等について、支払対象も含め、可及的速やかに検討が行われるよう周知していただきたい」と求めた。
これを受けて生保協会は9月1日に「新型コロナウイルス感染症による宿泊施設・自宅等療養者に係る療養証明書の取扱い等について」で、金融庁の要請を受けて、給付金等の支払いに当たり療養証明書の発行を医療従事者や保健所に求めない事務構築の検討が行われるよう会員各社へ周知したと発表。療養証明書以外に新型コロナウイルスに罹患したことが確認できる代替書類として利用可能性のある書類として、①MyHER―SYSの証明②医療機関等で実施されたPCR検査や抗原検査の結果がわかるもの③診療明細書(医学管理料に「二類感染症患者入院診療加算」(外来診療・診療報酬上臨時的取扱を含む)が記載されたもの)④コロナ治療薬が記載された処方箋・服用説明書⑤自治体が設置している健康フォローアップセンターの受付結果(SMS・LINE等)⑥保健所と陽性者がやりとりしたメールの写し⑦保健所から陽性者に出された案内文(健康観察や生活支援の留意点などが記載)⑧PCR検査や抗原検査を実施する検査センター(医療機関以外でも可)の検査結果(市販の検査キットは除く)―を示した。
加えて、9月1日に「みなし入院」による入院給付金支払対象等について要請がなされたことについては、政府の検討内容なども踏まえ、生命保険各社で医療機関や保健所の負担軽減に十分配慮しつつ、入院給付金の支払対象も含めた取り扱い等について、検討が行われるよう周知したと報告した。同日、損保協会、日本少額短期保険協会も同様のリリースを発表している。
金融庁が9月5日に公表した「鈴木財務大臣兼内閣府特命担当大臣閣議後記者会見の概要(9月2日)」によると、保険業界でコロナ入院給付金の支給対象の見直しが発表されたことを受けて、金融担当大臣としての受け止めと政府としての考え方を問われた鈴木大臣は「新型コロナの感染拡大以来、保険会社では、被保険者が自宅等において医師等の健康観察下で療養を行った場合でも、保険約款上の入院とみなすことができるとして、特例的に入院給付金を支払ってきたものと承知をしている。今般、政府において、全国一律に、新型コロナの発生届の対象を重症化リスクの高い方に限定をする方向で検討が行われているところだ。そもそもこれまでは、保険会社において、入院給付金について特例的に入院とみなして対応がとられてきたが、今般の見直しによって、重症化リスクの高い方か否かで自宅療養をされている方に対する医師等の関わり方も変わるために、一部原則的な対応に戻るものと認識している。いずれにしても、医療保険と保険約款は保険会社によってさまざまであるので、今般の生命保険協会等からの周知を踏まえて、各社で適切に検討されるものと承知している。金融庁としては、入院給付金等の支払い対象が変更されるわけだが、そういう場合には保険会社において保険契約者等に対して丁寧な説明が行われることが重要だと考えている」と回答した。