2022.08.24 第一生命HD 22年度第1四半期決算、基礎利益10%減で1006億円 国内新契約年換算保険料は5%増
第一生命ホールディングスが8月10日に発表した2022年度第1四半期決算によると、連結経常収益は前年同期比47%増の2兆8677億円で、連結保険料等収入は同27.3%増の1兆5959億円となった。グループ基礎利益は同10.3%減の1006億円だった。連結経常利益は前年同期比29%減の1471億円で、親会社株主に帰属する四半期純利益(連結純利益)はグループ修正利益の減益に加え、第一フロンティア生命のMVA関連損益に含まれる金利変動損益の悪化の影響により同41%減の811億円。グループ修正利益は第一生命が資産運用関連の利益増加から増益となったものの、第一フロンティア生命・米PLCが海外金利上昇の影響等により一時的に赤字を計上したことから同19%減の914億円で、通期予想に対する進捗率は34%。
新契約年換算保険料はグループ全体で同5%増の881億円、国内3社計では海外金利上昇で外貨建商品の訴求力が高まった第一フロンティア生命が堅調に推移し、同5.2%増の622億円となった。国内新契約年換算保険料は、第一生命が同30.4%減の138億円、第一フロンティア生命が同27.4%増の454億円。ネオファースト生命が同18.3%増の29億円だった。海外は円安により前年同期比で増加したものの、第一生命ベトナムが新型コロナに伴う営業制約を受けたほか、豪TALも個人向けが低調に推移し、為替調整後では全体で減少した。米プロテクティブが同0.3%減の163億円、豪TALが同11.3%減の24億円、第一生命ベトナムが16.4%減の70億円、第一生命カンボジア/第一生命ミャンマーが168.3%増の1億円、海外5社計では同6.0%減の259億円だった(海外の変化率は為替変動の影響除く)。
グループ全体の保有契約年換算保険料は前年度末比1.6%増の4兆3004億円だった。国内3社計では同0.1%増の3兆936億円。第一生命は同0.5%減の2兆420億円で、このうち第三分野は同0.1%減の7082億円となった。第一フロンティア生命は同1.9%増の9153億円、ネオファースト生命は同2.0%減の1362億円だった。
本四半期の新型コロナに関連した保険金等の支払い状況については、第一生命、第一フロンティア生命、ネオファースト生命の国内グループ3社合計の6月30日時点での判明分として、死亡保険金(給付金)が659件・約35億円、入院給付金等が20万3415件、約222億円、そのうち第一生命が238億円(死亡23億円、入院214億円)と報告した。
第一生命グループのその他の指標で、連結ソルベンシー・マージン比率は808.8%と前年度末比93.8ポイント低下したが、引き続き高い水準を維持している。グループEEVは前期末比2%減の約7兆400億円、資本充足率(ESR)は同8ポイント増加し約235%だった。
グループ各社の業績では、第一生命は経常収益が前年同期比1584億円増の1兆1095億円となった。このうち、保険料等収入は同526億円増の5941億円、資産運用収益は同272億円増の3999億円だった。
経常費用は同1323億円増の9373億円で、このうち保険金等支払金は同655億円増の6006億円、責任準備金等繰入額は同82億円減の26億円、資産運用費用は同810億円増の1786億円、事業費は同60億円減の943億円だった。
経常利益は同260億円増の1721億円、四半期純利益は同129億円増の1003億円だった。基礎利益はコロナ第6波の影響等により保険関係損益が悪化したものの、予定利息の減少やオルタナティブ資産の増配、円安による外貨建資産の配当収入増等を背景とした順ざやの増加により、同0%増とほぼ横ばいの824億円、修正利益は金融派生商品損益やヘッジコストを除く為替差損益が前年同期比で改善したこと等により、同15%増の1003億円となった。ソルベンシー・マージン比率は前年度末比20.7ポイント低下して886.6%。
第一フロンティア生命は経常収益が同6609億円増の1兆1770億円となった。このうち保険料等収入は同2395億円増の5999億円、資産運用収益は同3958億円増の4740億円だった。経常費用は同7316億円増の1兆2017億円で、このうち保険金等支払金は同6656億円増の1兆965億円、資産運用費用は同592億円増の841億円、事業費は同57億円増の175億円となった。
経常利益は同706億円減の▲246億円、四半期純利益は円安によるターゲット到達一時益が発生したものの、債券リバランスによる売却損やMVA関連損益▲114億円等により同574億円減の▲194億円だった。基礎利益は順ざやは増加したものの標準責任準備金積み増しに伴う保険関係損益の減少等により同132億円減の▲27億円、MVA関連損益等を除いた修正利益は同219億円減の▲107億円となった。
ネオファースト生命の保険料等収入は医療保険の保有契約は増加したものの、経営者保険の解約等により同2%減の287億円となった。四半期純利益はコロナ関連の給付金支払い増加や経営者保険の解約増加に伴う保険金等支払金の増加等により同1億円減の▲17億円となった。
海外事業では、米プロテクティブの四半期純利益は、主に金融市場変動影響による営業外損益の悪化(評価損等)から前年同期から155億円減と大幅に減少し▲36億円(1ドル=122.39円換算)。豪TALの四半期純利益は、基礎的収益力の増益に加え、前期における大幅な豪金利の変動(フラットニング)による資産・負債の時価評価の悪影響から回復し、前年同期の▲25億円から63億円増益の38億円(1豪ドル=93.90円換算)となった。第一生命ベトナムの四半期純利益は、前期に計上された一部商品の規制緩和に伴う責任準備金戻入の影響が剥落したものの、継続保険料の拡大が寄与し、同5億円増の44億円(1越ドン=0.0054円換算)。また、海外事業では、豪TALを通じた同国Westpacグループ傘下の生保子会社Westpac Lifeの買収手続きを8月1日に完了し、今後統合プロセスを実施していく。