2022.05.25 東京海上HD 21年度末決算 修正純利益は44%増5783億円

 東京海上ホールディングスは5月20日、2021年度末決算を発表した。それによると、連結経常収益は前年度対比7.4%増の5兆8637億円、正味収入保険料は同7.8%増の3兆8878億円、生命保険料は同4.3%増の9962億円。連結経常利益は同112.7%増の5674億円、親会社株主に属する当期純利益は同159.9%増の4204億円となった。修正純利益は同44.7%増の5783億円で、通期予想(2月公表)の5600億円対比でも3%上振れて着地。一過性の要因(自然災害の減少やコロナ影響、北米のキャピタルゲイン等)を除いたNormalizedベースで見ても同13%増の5054億円と好調だった。22年度通期業績予想についても、足元の好調が持続し、修正純利益5500億円(Normalizedベースで+9%成長、為替除いて+5%成長)と見込む。

 連結の正味収入保険料は為替影響を除くと前年度対比4.4%増となる。国内の正味収入保険料は2兆4674億円で、自賠責の料率引き下げの影響があったものの、前年のコロナ影響の反動や火災の料率改定効果等により同1.0%増となった。海外の正味収入保険料は、同10.8%増の1兆4206億円で、レートアップや引受拡大等により北米を中心に増収した。22年度の連結正味収入保険料については3.8%増の4兆1500億円と予想している。国内は、自動車の料率引き下げの影響があるものの、火災の商品・料率改定や、新種の販売拡大等により、2.8%増の2兆5370億円、海外は引き続き引受規律を重視しつつ、レートアップや引受拡大等を通じた増収で5.3%増の1兆6120億円を見込む。
 連結の生命保険料は、為替影響を除いて前年度対比0.4%増の9962億円となった。国内は5675億円で、販売好調の一方で事業保険の解約増加(想定通り)により、同5.2%減だった。海外はレートアップや引受拡大等により増収し、同9.0%増4292億円となった。22年度の連結生命保険料については0.5%増の1兆300億円と予想している。国内は5490億円とし、事業保険の解約増加の影響により3.3%減を見込む。海外は4820億円とし、引き続き引受規律を重視しつつレートアップや引受拡大等を通じ5.4%の増収を見込む。
 修正純利益5783億円(前年度対比1786億円増)の増減要因としては、東京海上日動が+284億円、東京海上日動あんしん生命が▲16億円、海外保険が+1607億円、その他が▲89億円。このうち東京海上日動については、前年のコロナ影響の反動が▲560億円、自然災害が+386億円、その他が+458億円。海外保険については、為替の影響が+111億円、前年のコロナ影響の反動が+947億円、自然災害が▲140億円、その他が+689億円となっている。
 22年度の修正純利益については、レートアップや引受拡大を背景とした「保険引受利益の拡大」や、これらの結果増加する運用資産を背景とした「インカム収益の拡大」を成長ドライバーに、Normalizedベースで446億円増益の5500億円を見込む。各事業別の事業利益では、東京海上日動が+83億円の1730億円、東京海上日動あんしん生命が▲91億円の420億円、海外保険事業が+308億円の2630億円と見込む。
 21年度末の国内損保事業のうち、東京海上日動の保険引受利益は1171億円で前年度からは1341億円増。自然災害・各種準備金等の影響を控除したベースの保険引受利益は2521億円で、「自動車における発生保険金の下振れ」「その他新種等における大口事故の下振れ」を主因として、2月公表の通期予想を333億円上回った。
 資産運用等損益は前年度対比276億円増の1979億円。経常利益は同1619億円増の3192億円。当期純利益は、同1260億円増の2354億円。事業別利益は円安に伴い外貨建支払備金積増が上振れたものの、同284億円増、通期予想対比78億円増の2038億円となった。
 東京海上日動の正味収入保険料(民保)は、自動車をはじめいずれの種目も前年度実績を上回り、前年度対比2.3%(460億円)増の2兆679億円となった。全種目計では、自賠責の料率引き下げの影響があったものの、同1.2%(268億円)増の2兆2881億円となる。発生保険金は、第4四半期に発生した雪災等による火災保険の増加を自動車・その他新種の減少がカバーし、通期予想対比33億円減、前年度対比1.2%(147億円)減の1兆1937億円となった。
 E/I損害率(民保)は自動車とその他新種の発生保険金の下振れを主因として、前年度対比2.7ポイント減の58.1%。事業費率は前年度から0.9ポイント増の32.5%(通期予想対比では見込んでいた一部のシステムコストの期ズレなどにより0.2ポイント減)で、これらの要因によりコンバインド・レシオ(民保E/Iベース)は、通期予想対比0.5ポイント減、前年度対比1.9ポイント減の90.6%となった。
 22年度の業績予想については、保険引受利益(自然災害・各種準備金等の影響控除ベース)は、主に火災・新種で増収を見込む一方、前年度のコロナ影響の反動を主因とする自動車の発生保険金増加、成長投資に伴う物件費の増加等を主因として、前年度対比169億円減益の2351億円を見込む。事業別利益は、同308億円減益の1730億円を見込む。当期純利益は、各種準備金負担の減少等により、同505億円増益の2860億円を見込むとした。
 日新火災は、正味収入保険料が前年度対比23億円減の1454億円、保険引受利益が同88億円増の156億円、資産運用等損益が同120億円減の51億円となった結果、当期純利益は同45億円減の125億円となった。22年度については、正味収入保険料は48億円減の1406億円、当期純利益は22億円減益の103億円を見込んでいる。
 東京海上日動あんしん生命の新契約年換算保険料は、回払変額保険や新商品(介護・がん等)の販売好調により前年度対比19.8%増の519億円と、通期予想の490億円を上回った。基礎利益は同5.3%減の648億円。当期純利益は同4.1%増の484億円を計上した。事業別利益は同3.0%減の511億円。22年度については、新契約年換算保険料560億円(7.9%増)、保有契約年換算保険料8010億円(1.2%減)、基礎利益570億円(12.1%減)、当期純利益410億円(15.3%減)と見込む。
 海外保険事業は、正味収入保険料はTokio Marine HCCなど北米拠点を中心に好調な引受により通期予想(11月公表)の1兆8870億円を上回って着地。各拠点における成長施策の実行(レートアップや引受拡大等)等により、前年度対比10.4%増の1兆9806億円となった。事業別利益は通期予想(2月公表)の2470億円を上回る2523億円となった。前年度対比では、各社の収益向上に向けた取り組みに加え、前年度のコロナ影響の反動(+947億円。うち保険引受+663億円、資産運用+283億円)等により1607億円(175.3%)増益。22年度については、正味収入保険料はレートアップを含む規律あるアンダーライティング通じた引受拡大や、ボルトオン買収したStandard Security Life Insurance Company of New York社の新規連結効果等により5.1%増の2兆2380億円、事業別利益は4.2%増の2630億円を見込む。