2022.05.26 MS&ADHD 21年度末決算 純利益は82%増2627億円で過去最高益

 MS&ADインシュアランスグループホールディングス(MS&ADHD)が5月20日に発表した2021年度通期決算によると、連結経常収益は前期比4.9%増の5兆1320億円、連結経常利益は同27.4%増の3904億円となり、親会社株主に帰属する当期純利益は同82.0%増の2627億円と過去最高益となった。連結正味収入保険料は、国内損保子会社・海外子会社ともに増収となり、同3.1%増の3兆6090億円で過去最高を記録。海外子会社の正味収入保険料は、欧州における増収や円安等の影響により同12.8%増の7030億円となった。22年度の通期業績予想では、正味収入保険料が4.0%増の3兆7530億円、当期純利益が227億円減益の2400億円と見込む。

 連結当期純利益2627億円の内訳では、国内損保(三井住友海上、あいおいニッセイ同和損保)はインカードロスが707億円増加したものの、アーンド保険料の増加(828億円増)、事業費ほかおよび資産運用・その他の寄与により前期比858億円増の1997億円となった。国内生保子会社は三井住友海上あいおい生命、三井住友海上プライマリー生命ともに増益で同190億円増の740億円、海外保険子会社は前期の新型コロナ影響の剥落および海外生保の大幅な増益などにより277億円増の245億円などとなっている。
 グループ連結の修正利益は、国内損保事業と海外事業の大幅な増益に加え、国内生保事業も増益となったことから、前期比1325億円増益の3471億円と過去最高益を更新した。
 自然災害ロスについては、国内の自然災害ロスは同233億円減少し477億円。海外の自然災害ロスは、欧州洪水やハリケーン・アイダを主因に同108億円増加し646億円だった。
 国内損保2社の業績で、正味収入保険料は2社合計で前期比1.0%増の2兆8706億円となった。火災保険(大量満期影響の剥落)や自賠責保険(料率引き下げ)は減収となったものの、販売好調な自動車保険(契約台数の増加)、新種保険(大口契約の獲得、中小企業向けパッケージ商品の販売好調等)の増収を主因とする。保険引受利益は、自動車保険に係る発生保険金が増加した一方、既経過保険料の増加や国内自然災害に係る発生保険金の減少等により、同601億円増の715億円。資産運用・その他収支は、利配収入や有価証券売却益の増加等により同410億円増の1936億円だった。
 三井住友海上単体の正味収入保険料は前期比1.3%増の1兆5793億円。正味損害率は同0.8ポイント下がり59.0%、正味事業費率は同0.3ポイント上昇し33.0%、コンバインド・レシオは同0.5ポイント下がり92.0%。家計地震・自賠責を除いたEI損害率は同0.2ポイント上昇し61.0%となった。
 あいおいニッセイ同和損保単体の正味収入保険料は前期比0.8%増の1兆2913億円。正味損害率は同1.2ポイント上昇し59.8%、正味事業費率は同0.1ポイント上昇し35.0%、コンバインド・レシオは同1.3ポイント上昇し94.8%。家計地震・自賠責を除いたEI損害率は同1.5ポイント上昇し61.6%となった。
 三井住友海上単体の経常利益は前期比40.0%増の1842億円、当期純利益は同58.0%増の1457億円となった。また、あいおいニッセイ同和損保単体の経常利益は同149.3%増の809億円、当期純利益は49.8%増の539億円となった。
 ソルベンシー・マージン比率は、三井住友海上が前期末比24ポイント低下し722.5%、あいおいニッセイ同和損保が同32.3ポイント低下し758.6%となった。
 国内生保子会社のグロス収入保険料は2社合計で前期比1.3%増の1兆3144億円。
 三井住友海上あいおい生命の新契約年換算保険料は、法人向け商品(法人定期、収入保障)の販売増加等により同2.5%増の269億円だった。保有契約年換算保険料は同0.9%減の4438億円。保険料(グロス収入保険料)は同2.0%減の5019億円を計上。経常利益は同52.4%増の390億円、当期純利益は責任準備金繰入負担の減少や資産運用収益の増加、経費の削減等により同76.9%増の210億円となった。基礎利益は39.1%増の345億円。
 三井住友海上プライマリー生命の保険料(グロス収入保険料)は、新型コロナの感染が継続する中でも非対面を組み合わせた営業・研修活動の積極展開により、同3.4%増の8124億円だった。経常利益は運用目標値に達した契約が多数発生し多額の有価証券売却益を計上した前期に比べ減益となり、同45.2%減の877億円。当期純利益は価格変動準備金への繰入額が減少したことから、同22.9%増の530億円となった。
 海外保険子会社の業績は、正味収入保険料はマーケットのハード化等に伴う欧州での増収や連結決算上の円換算に用いる為替レートの円安影響等により、前期比12.8%増の7030億円となった。当期純利益は自然災害による発生保険金が増加する一方、前期の新型コロナウイルス関連ロスの剥落や海外生保の増益(同177億円増の174億円)などを主因に同277億円増益の245億円を計上した。地域別には、アジア(豪州含む)が同56億円増の296億円、欧州が同42億円増の▲268億円、米州が増減なしの43億円。欧州のうちMSアムリンの当期純利益は、北米寒波・欧州洪水・ハリケーンアイダなどの自然災害の影響に加え、再保険事業の一部一般種目の備金水準の引き上げやインフレ等による悪化リスクに備えた積立を行ったことにより、同14億円増の▲288億円だった。
 22年度の通期業績予想については、損保子会社正味収入保険料は1439億円の増収の3兆7530億円、生保子会社のグロス収入保険料は234億円減収の1兆2910億円を見込む。当期純利益は、海外保険子会社が増益となるものの、国内生保子会社の減益などにより、227億円減益の2400億円を見込むとした。