2022.05.23 三井住友海上 メタバースプロジェクト始動、「GDHメタ」仮想空間にビジネス拠点開設
三井住友海上は5月12日、仮想空間であるメタバースが浸透した未来を見据えた「メタバースプロジェクト」を3月から始動させたことを明らかにした。新たなビジネスをデザインするメタバース上の拠点「GDH(グローバル・デジタル・ハブ)メタ」を開設するとともに、8月に開催される世界最大のVRイベントであるバーチャルマーケットへ出展する。同社は、中長期的な社会変革を視野に入れ、外部知見を積極的に活用する社内外横断のプロジェクトの第1弾として、同取り組みを展開するとしている。
三井住友海上では、2018年度からグローバル拠点への事業の相互展開や国内事業におけるシナジー効果発揮を目的に、米国をはじめ五つのGDH(米国シリコンバレー、東京、シンガポール、イスラエル、ロンドン)を展開してきた。今回、六つ目となる「GDHメタ」を開設し仮想空間も含めた体制を構築する。社内外の多様なプレイヤーとの交流やメタバースを活用した保険ビジネス、新規事業の創出につなげる。なお、メタバース上に新ビジネス創出拠点を開設するのは、業界初の試みとのこと。
プロジェクトのメンバーは、同社のコーポレート、損害サービス、営業の部門横断メンバーに加え、グループ会社であるMS&ADインターリスク総研、三井ダイレクト損保、外部企業のPwCコンサルティング等で構成する。
「GDHメタ」では、先端技術を活用した新規事業推進の知見を有するPwCコンサルティング合同会社と共同で、メタバースが社会にもたらす変化を分析し、サービス提供者やプラットフォーマー、利用者等におけるリスクの特定や損失を補償する商品・サービスを開発する。メタバース業界団体への加盟や他業種の企業、専門家とも協議し、新たな価値観を持つ将来世代の顧客との対話の場として、実空間とメタバースを横断する新しい保険加入プロセスや顧客接点等を構想していく。
さらに、国内外から100万人を超す来場者数を誇る世界最大のVRイベント「バーチャルマーケット2022Summer」に出展する予定で、新しい時代の到来に向けて保険のイメージを刷新するようなブースを企画しているという。開催期間は8月13日から28日の16日間。
同社では「メタバースプロジェクト」の立ち上げの背景について、「官民連携による宇宙開発の進展やAIによる自動運転技術の向上等、経済や産業構造、社会の在り方は急激に変化している。また、あらゆるリスクに対応する保険会社にとっても、新たな領域に果敢に挑戦し、イノベーションを積極的に生み出す取り組みが求められている。コロナ禍を契機に、メタバース市場は2020年の5000億ドルから、24年には8000億ドルに成長すると予測されている。現在はゲームやライブなどのエンタテインメント、社会交流の場としてのプラットフォームが中心だが、NFT(非代替性トークン)を始めとするブロックチェーン技術の導入により、今後はメタバース上の経済活動が活性化すると見込まれている。一方で、メタバースの普及により関連する技術や利用者の不確実性は増し、予想外の損失が発生するリスクもある。メタバースで発生する損失を補償する商品・サービスの提供等を通じて、メタバースのさらなる普及とすべての人が安心して参画できる環境づくりを支援するために『メタバースプロジェクト』を立ち上げた」としている。
今後は、同プロジェクトをMS&ADグループ内にも展開するとともに、サイバーリスクや宇宙開発等の領域についてもプロジェクトを組成し、新たな商品・サービスの開発に取り組んでいくとのこと。