2022.02.22 損保ジャパン Synspectiveと資本業務提携、宇宙産業プロジェクト開始
損保ジャパンは3月29日、衛星開発・運用および衛星データを利用したソリューションサービスプロバイダーである㈱Synspective(東京都江東区、新井元行代表取締役CEO)に対してシリーズBラウンド資金調達を通じた戦略投資を行い、衛星データを活用した保険金支払サービスの向上や新たなソリューション構築を目的とする業務提携を1月から始めたことを明らかした。
Synspectiveは、悪天候や夜間でも地表データが取得可能なSAR衛星の開発から、そのデータを活用したソリューション構築までを一気通貫で提供しており、既に実証の衛星2基の打ち上げに成功し、本年夏ごろに商用の1号機の打ち上げを予定している。2026年前後を目標とした30基の衛星コンステレーションにより、広範囲、高頻度の地上観測を実現することを目指しているという。今回の資金調達により、金融機関からの融資を含め、累計調達額は228億円(うち今回の調達額は119億円)に達している。
損保ジャパンは、すでにSynspectiveと広域水災時の被害想定区域把握の実証実験を行っており、広域水災以外の風災・土砂災害などの自然災害での衛星データ活用についても検討を進めている。今回の提携を契機に、両社でデータ解析精度をさらに向上させ、実用化に向けた取り組みを加速させる。また、衛星データを活用したソリューションを構築することで、各種災害発生後に被災が予想される顧客に保険金の請求勧奨を行うことで、迅速な保険金支払いにつなげるなどの新たな社会価値の創造に向けて取り組む。
同社では今後、Synspectiveとの業務提携を通じ、宇宙に係るリスクの保険引受ノウハウ・リスクマネジメント能力の向上に取り組むことで、Synspectiveをはじめとした宇宙事業者の健全な発展を支援する。また、宇宙活動のリスクを対象とした保険商品の開発だけではなく、広域水災、風災、土砂災害などの自然災害、あるいは地盤変動検知やインフラのモニタリングなど、衛星データを活用したさまざまなソリューション構築が可能となるところから、新しい保険商品の開発についても衛星データを活用することを検討する。さらに、損保ジャパンの事故データと最先端の衛星データをベースに高精度なアルゴリズムを開発することで、保険の枠を超えた防災・減災に資するソリューションを構築し、新たな社会価値の創造に向けて取り組んでいくとしている。
国内外の宇宙産業は政府による民間参入の積極的な促進を契機に著しい成長段階にあり、衛星データソリューションを代表とするテクノロジーは発展を続けている。一方で、宇宙活動ではさまざまなリスクが伴うため、宇宙事業者向けの新たなリスクに対応した保険の開発が急務となっている。損保ジャパンは旧来の宇宙保険の引受実績をベースとし、宇宙事業者との協業で得た業界知識を保険の開発に生かしてさまざまな宇宙プロジェクトをサポートする取り組みを加速しており、その一環としてSynspectiveとの資本業務提携を開始したもの。