2022.04.14 JA共済連 認知症共済新設、MCIもサポート「ファーマスト」で賠償リスクを一体保障

 JA共済連(全国共済農業協同組合連合会)は4月1日から、一部既報(本紙8日付7面)の通り、組合員・利用者のニーズに即した保障提供のため、生命総合共済・建物更生共済・賠償責任共済の仕組改訂等を行った。「認知症共済」と農業者賠償責任共済「ファーマスト」を新設、建物更生共済で「契約事前受付制度」を導入した。

 「認知症共済」の新設
 「認知症共済」の新設は、認知症を発症した際の経済的負担に備えるとともに、未然予防や早期発見をサポートすることを趣旨とする。経済的負担の大きい認知症を伴う介護状態を中心に保障するため、「所定の器質性認知症の診断確定」および「要介護1以上の認定中」を満たした場合に共済金を支払う合理的な保障内容とし、「所定の軽度認知障害の診断確定」がされた場合に共済金額の10%を支払うことで、認知症の前段階の軽度認知障害(MCI)の早期発見・早期対応を後押しする。また、認知症に特化した保障内容であるところから簡単な告知で加入できるようにしている。
 具体的な保障内容は、「所定の器質性認知症の診断確定/公的介護保険制度における要介護1以上の認定中」のいずれにも該当すると、認知症共済金として共済金額×100%を支払い、「所定の軽度認知障害の診断確定/所定の器質性認知症の診断確定(認知症共済金を支払う場合を除く)」のいずれにも該当すると、軽度認知障害共済金として共済金額×10%を支払うというもの。軽度認知障害共済金を支払った後に認知症共済金を支払う場合は、認知症共済金は共済金額×90%となり、両共済金の合計は共済金額×100%が限度となる。また、責任開始日から1年間の不担保期間がある。
 取扱条件は、加入年齢が40~75歳、共済期間が終身、共済金額は50万円~1000万円(10万円単位)。指定代理請求特約の付加が必須で、その他に共済金年金支払特約が付加できる。
 加入年齢40歳、共済金額500万円、共済掛金払込終了年齢99歳の場合、月払掛金(口座振替)は、男性3864円、女性5239円となる。
 認知症・MCIの予防等に資するサービスも展開し、「JA共済げんきなカラダプロジェクト」に、認知症共済の契約者を対象とした脳トレや運動トレーニング、MCIスクリーニング検査など、認知症・MCIの予防・早期発見に資するサービスを追加する。また、発症後における共済金の活用も想定し、見守りサービスなど本人・家族のサポートに資するサービスも追加する。なお、3月15日から、JA共済アプリの全利用者を対象に「JA共済の脳年齢チェック」の提供も開始している。

 「ファーマスト」の新設
 農業者賠償責任共済「ファーマスト」の新設は、農業保障への取り組み強化の一環として行うもので、農業では「生産」から「出荷・販売後」までにさまざまな賠償リスクが想定されるため、農業者に共通するさまざまな賠償リスクについて、一体的に保障することを趣旨としている。
 保障する共済金の種類には、①施設賠償②生産物賠償③保管物賠償④生産物回収費用―がある。
 ①施設賠償共済金は、「農地や農業施設の管理上の不備や欠陥または農業の遂行に起因して、他人を死傷または他人の財物に損害を与えたことにより、損害賠償責任を負った場合」に支払い、②生産物賠償共済金は、「生産物が他人に引き渡された後、その生産物に起因して、他人を死傷または他人の財物に損害を与えたことにより、損害賠償責任を負った場合」に支払う。①②の共済金支払限度額は、合計で3000万円、5000万円、1億円から選択できる。③保管物賠償共済金は、「農業に関して管理または使用する他人の財物に損害が生じたことにより、損害賠償責任を負った場合」に、①②の10%を限度に共済金を支払う。④生産物回収費用共済金は、「生産物に異物の混入等が生じたことに起因して他人を死傷させた場合や、生産物から基準値を超える農薬の残留が発見された場合」の回収費用を支払うもので、共済金支払限度額は300万円。なお、同共済金では、300万円のうち信頼度を回復させるための広告宣伝活動等費用も75万円を限度に支払う。
 共済掛金は、農地面積と支払限度額によって決定される。農地面積区分0.5ヘクタール未満の場合、支払限度額3000万円コースで5760円、5000万円コースで6500円、1億円コースで8050円。1ヘクタール以上2ヘクタール未満の場合は、3000万円コース8390円、5000万円コース9470円、1億円コース1万1730円。4ヘクタール以上20ヘクタール未満の場合は、3000万円コース1万8610円、5000万円コース2万1010円、1億円コース2万6010円となる。
 なお、農業者賠償責任共済の新設に伴い、保障が重複する既存の仕組み(農家包括賠償責任担保特約付個人賠償責任共済および一般賠償責任担保特約付賠償責任共済〈対象施設:観光農園〉)は、新規契約の引受けを中止する。

 建物更生共済改訂
 現在、建物更生共済は、契約の手続きを行った日が保障開始日となっており、住宅ローンの申し込みと同時に建物更生共済の契約手続きができないなどのケースが発生していた。そこで、「保障開始日」前に契約の受付を可能とする「契約事前受付制度」を新設し、加入時の利便性の向上を図った。希望の保障開始日の1カ月前から事前に契約を受け付けることが可能となる。契約事前受付制度を活用する場合、事前に指定した契約日から保障が開始する。