2022.02.28 東京海上HD 21年度第3四半期決算、修正純利益4729億円・進捗率96%超、通期予想5600億円に引き上げ

東京海上ホールディングスが2月14日に発表した2021年度第3四半期決算によると、連結経常収益は前年同期比6.7%増の4兆3721億円、連結経常利益は同173.6%増の4991億円、親会社株主に帰属する四半期純利益は同231.7%増の3741億円と、第2四半期に続き好調だった。修正純利益は4729億円で、昨年11月公表の通期予想に対して96.5%の進捗率。今期実績と足元の好調な基調を踏まえ、同社は修正純利益の通期予想を11月予想対比で700億円上方修正し、5600億円に引き上げた。

 国内は好調なトップラインに加え、発生保険金の下振れ(自然災害・大口事故の減少やコロナ影響)もあり、修正純利益は11月の予想を上回って進捗した。海外も自然災害等を保守的に見込んでいた11月予想を上回って進捗するなど、グループ全体として好調だった。通期予想については、一過性の自然災害や北米拠点のキャピタルゲインの影響(+400億円)、コロナによる損害率低下等の影響を控除した実力ベースでも、修正純利益は5000億円を突破する見込みとしている。なお、連結業績予想については、経常利益を5700億円(11月予想4800億円)、当期純利益を4100億円(同3450億円)、1株当たり当期純利益を597円52銭(同501円55銭)にそれぞれ引き上げた。
 第3四半期末のグループ連結の正味収入保険料は、国内外・生損保ともに11月予想に対して順調に推移し、前年同期比4.9%増(除く為替)の2兆9152億円となった。このうち国内は前年のコロナ影響の反動や火災の料率改定効果等により増収し1兆8492億円(同1.5%増、除く為替)で、海外はレートアップや引受拡大、コロナ影響の反動を主因に増収し1兆662億円(同11.2%増、除く為替)。11月公表のグループ正味収入保険料の通期予想は前年度対比3.8%増(除く為替)の3兆8300億円だったが、これを同4.2%増(除く為替)の3兆8800億円に引き上げた。内訳は国内2兆4730億円、海外1兆4070億円。
 また、グループの生命保険料は、国内は販売好調の一方で事業保険の解約増加により同4.9%減(除く為替)、海外はデルファイ・Tokio Marine HCC(TMHCC)での引受拡大やレートアップを主因に8.5%増(除く為替)となり、全体では同0.5%増(除く為替)の7182億円だった。内訳は国内4080億円、海外3106億円。こちらも11月公表の通期予想の前年度対比2.2%減(除く為替)の9600億円から同2.2%減(除く為替)の9700億円に引き上げた。
 東京海上日動の保険引受利益は、好調なトップラインやコロナ影響(事故の減少)、大口事故の減少などを主因に、前年同期比1521億円増益の1483億円となった。11月公表の通期予想930億円に対する進捗率は159.5%。自然災害や各種準備金等の影響を控除した保険引受利益は2112億円で、年初予想に対する進捗率は102.2%に達している。なお、第4四半期についてはコロナ影響の縮小と平年並みの大口事故の発生を見込んでいるという。
 正味収入保険料は前年同期比1.7%増の1兆7140億円。家計地震・自賠責を除く民保合計では同2.7%増の1兆5455億円だった。種目別に見ると、火災は21年1月の料率改定効果や企業火災の大口契約等により、同2.9%増の2667億円。海上はコロナ影響(物流減等)の反動や営業施策の実施により、同20.5%増の535億円。傷害は同3.9%増の1298億円で、期末に向けてはコロナ影響(外出自粛等)の縮小を想定しているという。自動車は台数は横ばいも、ノンフリート単価の上昇(車両保険の付帯率上昇や21年4月の商品改定効果等)により、同1.2%増の8356億円となった。自賠責は同6.4%減の1681億円で、21年4月の料率引下げの影響はあるものの、期末に向けた対策強化により11月予想対比では順調に推移しているとのこと。その他は同3.5%増の2599億円で、コロナ影響が残るものの第4四半期には大口契約を見込んでいるという。
 発生保険金は、自然災害・大口事故の減少やコロナ影響により、11月予想(0.3%増)を下回って推移し前年同期から435億円減少し、8664億円(同4.8%減)となっている。民保E/Iベースの正味損害率は、自然災害発生保険金の下振れ等により11月予想を下回るペースで推移し、前年同期から4.9ポイント改善し56.4%。事業費率は同0.8ポイント上昇し31.8%で、コンバインド・レシオ(民保E/Iベース)は同4.2ポイント改善して88.1%となった。
 資産運用等損益は政策株式売却額の上振れを主因に前年同期から346億円増益の1692億円。このうち、ネット利息及び配当金収入は政策株式の配当時期の影響を受け、同274億円増益の1285億円、売却損益等計(キャピタル)は政策株式売却額の上振れを主因に、104億円増益の691億円だった。なお、政策株式売却額は910億円(前年同期でほぼ横ばい)、売却益は730億円(同20億円増)だった。
 以上の結果、東京海上日動の経常利益は同1868億円増益の3212億円、当期純利益は同1499億円増益の2464億円となった。単体ソルベンシー・マージン比率は前年度末比27.2ポイント上昇し、853.1%。
 日新火災の保険引受利益は前年同期比90億円増益の140億円。正味収入保険料は同25億円減益の1099億円だった。経常利益は同82億円増益の179億円、当期純利益は同45億円増益の112億円だった。
 東京海上日動あんしん生命の新契約年換算保険料は、前年のコロナ影響からの回復、回払変額保険や新商品(介護年金保険など)の販売好調により、前年同期比24.5%増の373億円となった。保有契約年換算保険料は、前年度末比0.9%減の8124億円だった。基礎利益は同58億円減益の408億円だった。当期純利益は前年同期から12億円減益の306億円。修正純利益は同24億円減益の325億円で、11月予想(480億円)対比の進捗率は67.8%だが、第4四半期に予定されているデルファイへの運用委託に係る分配金を考慮すると、11月予想に対しても順調な推移としている。単体ソルベンシー・マージン比率は前年度末比113.3ポイント上昇し1543.4%となっている。
 海外保険事業については、北米の正味収入保険料は前年同期比19.8%増の1兆332億円となった。フィラデルフィアは好調なレートアップを実現(第3四半期実績:+11%)していることに加え更新率や新規契約も良好で同12.7%の増収。デルファイは収益性向上を意識しつつ新規契約獲得・レートアップを着実に進めたことから同13.5%の増収。TMHCCは良好なレート環境を背景に高いレートアップを実現(第3四半期実績:+14%〈A&H・Surety・Creditを除く〉)したほか、D&Oや米国外ビジネスを中心に増収した結果、同30.7%増と大幅な増収を確保した。
 海外保険事業の事業別利益は、収益向上に向けた取り組みが各社順調に進捗し、保険引受・資産運用共に好調。加えて、コロナ影響の反動(+約880億円。うち保険引受+約580億円、資産運用+約300億円)等もあり、自然災害などを保守的に見込んでいた11月予想を上回って進捗(進捗率92.4%)し、前年同期から1253億円(204.2%)増益の1866億円となっている。