2022.02.22 第一生命HD 21年度第3四半期決算 連結純利益77%増と順調に推移
第一生命ホールディングスが2月14日に発表した2021年度第3四半期決算によると、連結経常収益は前年同期比11.6%増の5兆6737億円、連結経常利益は同55.2%増の4674億円となった。グループ修正利益は同51%増の2343億円、連結純利益は同77.3%増の2929億円だった。グループ修正利益・連結純利益ともに、11月の修正予想に対して順調に推移し、第4四半期に予定している第一生命での追加出再や第一フロンティア生命での修正共同保険式再保険(サープラス・リリーフ)の一部解約に伴う一時的な費用計上、足元の金融市場変動等を踏まえると、想定内の進捗であり、通期予想に変更はないとしている。税務コスト適正化と税務ガバナンス向上を目的とするグループ通算制度も来期から予定通り導入を見込むとしており、繰延税金資産の増加に伴い、第4四半期に一時益が発生する想定に変更はないともしている。
グループ修正利益は、国内については第一生命の運用収支が大幅に回復したことなどにより601億円増益となり、海外については米プロテクティブで保険金等支払の増加等があったものの営業外損益が大きく改善し、第一生命ベトナムの利益拡大等も寄与したことなどから183億円の増益となり、全体で前記の通り2343億円を計上、前年同期比51%の増益となった。11月の修正予想に対する進捗率は87%と順調に推移している。
連結純利益は、グループ修正利益の増加に第一フロンティア生命のMVA(市場価格調整)関連損益等が加わり、前記の通り2929億円、同77.3%の増益。
営業業績では、グループ全体の新契約年換算保険料はコロナ禍で営業制約のあった前年同期比50.0%増の2276億円となった。コロナ以前の前々年同期比では14.7%減。
第一生命、第一フロンティア生命での新商品展開やネオファースト生命での商品改定等も寄与し、国内3社計の新契約年換算保険料は、前年同期比56.2%増の1560億円を計上したが、前々年同期比では5.9%減だった。一方、海外の新契約年換算保険料は、米プロテクティブで変額年金等の販売が好調で前年同期比41.9%増となった他、豪TALも堅調に推移し同55.8%増、第一生命ベトナムがロックダウンの影響を受けながらも同22.7%増で、第一生命カンボジアと第一生命ミャンマーを加えた5社計で同38.0%増となっている。前々年同期比についても、豪TALの前々年同期に獲得した超大型の団体保険の影響を除けば増加しているとのこと。
グループの経済価値の指標で、グループEEVは、前期末から第一生命を中心に増加し、前期末比8%増の約7兆5500億円となった。21年9月末比ではほぼ横ばい。国内新契約価値は約790億円で、11月修正予想に対する進捗率は約90%。資本充足率(ESR)は、EEV成長等により自己資本が増加した一方、市場リスク削減の進展がリスク量の増加を抑制し、前期末比22ポイント上昇の約225%、21年9月末比では5ポイント上昇となっている。なお、連結ソルベンシー・マージン比率は前年度末から11.0ポイント上昇して969.5%。
グループ各社の業績を見ると、第一生命は経常収益が前年同期比17%増の3兆1695億円となった。このうち、保険料等収入は横ばいの1兆6652億円、資産運用収益が同286億円増の9583億円だった。経常費用は同3864億円増の2兆8767億円で、このうち保険金等支払金が同7167億円増の2億1444億円、責任準備金等繰入額が同2581億円減の199億円、資産運用費用が同844億円減の2335億円、事業費が同50億円増の2985億円だった。経常利益は同815億円増の2927億円、四半期純利益は同553億円増の1523億円となっている。基礎利益は予定利息の減少やプライベートエクイティ・投資信託の増配等を背景とした順ざやの増加を主な要因として同10%増の3550億円。修正利益は出再実施に伴う臨時損失を計上しつつも、前年同期に金融市場変動に伴って計上した金融派生商品損の大幅な改善により、同57%増の1523億円となった。営業成績では、新契約年換算保険料が同45.1%増の579億円。保有契約年換算保険料が前期末比0.8%減の2兆610億円だった。新契約件数は前々年同期を上回ったものの、既契約者の保障見直しを中心とした営業活動により、新契約業績は回復途上だとしている。ソルベンシー・マージン比率は前年度末から43.6ポイント上昇して980.8%。
第一フロンティア生命は経常収益が前年同期比12%増の1兆3872億円となった。このうち、保険料等収入が同56%増の1兆110億円、資産運用収益が同2904億円減の2948億円だった。経常費用は同940億円増の1兆2754億円で、このうち保険金等支払金が同2382億円増の1兆2118億円、責任準備金等繰入額が同1694億円減の9億円、資産運用費用が同163億円増の171億円、事業費が同71億円増の378億円だった。経常利益は同582億円増の1118億円。四半期純利益はMVA(市場価格調整)関連損益(+665億円)の計上等により同118%増の916億円だった。修正利益は、同5%減の281億円。基礎利益は最低保証リスクに係る損益の悪化により、同23%減の303億円。営業成績では、新契約年換算保険料が同71.0%増の872億円。保有契約年換算保険料が前期末比0.5%減の8565億円だった。
ネオファースト生命の新契約年換算保険料は前年同期比21.3%増の107億円。保有契約年換算保険料は前期末比0.4%減の1399億円だった。保険料等収入は、経営者保険の解約が一部生じたものの、堅調な新契約獲得により、前年同期比1%増の997億円となった。当期純損失は▲55億円(前年同期は▲117億円)に改善した。基礎利益は同60億円増の▲54億円、修正利益も同62億円増の▲55億円に改善した。
海外生命保険事業では、米プロテクティブの税引前営業利益はステーブルバリュー事業の利益増加が寄与したものの、リテール事業におけるコロナ関連の保険金支払い増加による損益悪化や死亡率の見直し等が影響し、前年同期比10%減の2億9500万米ドルとなった。当期純利益は、営業外損益の改善により、同64%増の3億6000万米ドル。
豪TALの基礎的収益力は、前年同期比65%増の2億4700万豪ドル。当期純利益は、Westpac Lifeの買収に関連する費用や前期末比での大幅な豪金利の変動(フラットニング)による資産・負債の時価評価の影響等を受け、同50%減の6100万豪ドルだった。
第一生命ベトナムの保険料等収入は、堅調な新契約伸展と保有契約の拡大に伴い、前年同期比22%増の12兆7580億越ドンと伸展。当期純利益は、同107%増の2兆430億越ドンと大幅増となった。