2022.02.24 かんぽ生命 21年度第3四半期決算、連結純利益7%減の1195億円に

かんぽ生命が2月14日に発表した2021年度第3四半期決算によると、保有契約の減少等に伴い保険関係損益が減少した一方で、順ざやが増加したため、基礎利益は増加した。また、臨時損益が減少したものの、キャピタル損益の改善により、連結経常利益は前年同期比3.5%増加した。キャピタル損益の改善については価格変動準備金と相殺されることから、連結四半期純利益は同7.4%減少。また、同日、「通期連結業績予想の修正に関するお知らせ」を公表し、経常収益、経常利益、純利益の通期予想についてそれぞれ上方修正し た。

 かんぽ生命の連結主要業績では、経常収益は前年同期比3062億円減(同6.0%減)の4兆8210億円。このうち、保険料等収入は同2112億円減の1兆8414億円、資産運用収益は同318億円増の8331億円、責任準備金戻入額は同749億円減の2兆1129億円だった。経常費用は同3154億円減の4兆5509億円で、このうち、保険金等支払金は同2741億円減の4兆1612億円、資産運用費用は同205億円減の325億円、事業費とその他経常費用の合計は同208億円減の3571億円となった。事業費については同210億円減の2815億円で、このうち委託手数料は同196億円減の1323億円。委託手数料のうち、新契約手数料は同122億円減の220億円、維持・集金手数料は同74億円減の1103億円だった。拠出金は同15億円減の405億円。
 以上の結果、連結経常利益は2700億円で、前記の通り同3.5%増、親会社株主に帰属する四半期純利益は前記の通り同7.4%減の1195億円となっている。
 通期連結業績予想の修正については、経常収益は、当初業績予想策定時と比較して、新契約獲得が想定を下回ることによる保険料等収入の減少、および危険準備金の超過繰入額の増加を見込む一方、運用環境が好転したことにより資産運用収益が上振れる見込みであることから、当初予想の6兆3800億円から300億円上方修正し、6兆4100億円の予想とした。また、経常利益については、前記要因に加えて事業費も減少する見込みであることから、当初予想の2900億円から700億円上方修正し、3600億円の予想とし、親会社株主に帰属する当期純利益も同様に1180億円から360億円上方修正し、1540億円とした。なお、1株当たり配当金については、90円(期末配当金45円)から変更ない。
 第3四半期末の経常収益の修正後予想に対する進捗率は75.2%で、経常利益は同じく75.0%、親会社株主に帰属する当期純利益は同じく77.6%となっている。
 連結の総資産は、前期末から2兆9605億円減少し、67兆2124億円となった。純資産は同1818億円減少し2兆6596億円。
 エンベデッドバリュー(EV)は、3兆7950億円で前期末から2311億円、5.7%減少した。21年5月に実施した自己株式の取得(3588億円)に伴う純資産の減少等による。EVの内訳は、修正純資産が2兆1035億円で同11.5%減、保有契約価値が1兆6914億円で同2.6%増。
 なお、第3四半期の新契約価値(試算値)は▲83億円、新契約マージン(試算値)は、▲3.1%となっている。マイナスなのは、新契約獲得にはその多寡によらない一定の事業費等が必要となるため。
 連結ソルベンシー・マージン比率は、1106.3%で前期末比14.9ポイント減少した。
 契約の状況では、新契約年換算保険料(個人保険)は344億円で前年同期比54.0%増。募集品質問題発生前の18年度対比では87.4%減と大きく減少している。なお、第三分野は16億円で同53.3%増。
 保有契約年換算保険料(個人保険)は3兆6265億円で前期末比7.0%減、第三分野は6372億円で同4.8%の減少と、それぞれ減少が続いている。個人保険の保有契約件数は、新旧区分合算で前期末比6.1%減の2331万件だった。
 個人保険の保有契約を商品別に見ると、養老保険は814万件(占率34.9%、前期末実績906万件)、終身保険は1169万件(占率50.2%、前期末実績1206万件)、学資保険は334万件(占率14.3%、前期末実績357万件)、その他は12万件(占率0.6%、前期末実績12万件)となっている。
 資産運用の状況では、順ざやは836億円で、前年同期から422億円の増加。平均予定利率は1.69%で前年同期から変わらず、利子利回りは1.88%で前年同期を0.1ポイント上回っている。キャピタル損益は、前年同期の▲420億円から当期は42億円と462億円改善した。
 かんぽ生命の単体ベースで、保有契約の減少等に伴い保険関係損益が前年同期比345億円減少した一方で、順ざやが同422億円増加したため、基礎利益は前年同期を76億円上回る3173億円となった。危険準備金の超過繰入の増加に伴い臨時損益が▲525億円と同449億円減少したものの、キャピタル損益の改善により、経常利益は同89億円増加し2690億円となった。キャピタル損益に対しては、その相当額の価格変動準備金を繰り入れる、または取り崩す会計処理を継続して実施していることから、四半期純利益は前年同期を96億円下回る1188億円となった。