2021.10.13 あいおいニッセイ同和損保 「避難保険プラン」提供開始[2021年10月1日]

あいおいニッセイ同和損保は10月1日から、地方公共団体等に対して、災害発生時に高齢者や障がい者など避難行動要支援者が迅速に避難することができるスキームの構築サポートに向け「避難保険プラン」の提供を開始した。地方公共団体等が避難スキーム提供対象者に対して条例等に基づく約定を履行することによって負担する費用を補償する。同社は「避難保険プラン」の提案を通じて、地域の実情に合わせた避難スキーム構築を支援し、社会・地域課題解決を目指していくとしている。

 「避難保険プラン」は、地方公共団体等を契約者とし、条例等に基づく約定(台風等により事前に自宅から安全な場所に避難する必要が生じた場合に、避難場所までの交通手段や避難施設に代わる施設の紹介などのサービスを提供する旨の約定)を履行することによって負担する費用を補償する。災害時の自宅から避難所までの送迎等、地方公共団体等が住民に避難支援サービスを提供することにより負担する費用が対象で、タクシー会社等から居宅に車を派遣し避難施設まで送迎する費用や、避難施設の代わりに最寄りのホテル等に避難した場合の宿泊費用等の補償が想定されており、地域特性を考慮したニーズを踏まえて、地方公共団体等ごとに個別設計する。
 関連サービスとして、地方公共団体等が避難スキームを構築する際に検討が必要なリスク対策やドキュメント整備などをチェックリスト形式で確認するツールを提供し、地方公共団体等の避難スキーム構築を支援する。
 また、地方公共団体等が既に作成している避難所運営マニュアルを「感染症対策」の観点で診断できるチェックリストを提供。診断結果とともに対策例も併せて提供することで、住民が安心して避難できる環境づくりに役立てる。
 さらに、防災情報や避難先情報等を確認できる被害予測ウェブサイト・アプリ「cmap(シーマップ)」を提供する。全国の避難先情報を平時から簡易に確認でき、災害発生時は、Lアラート(災害情報共有システム)の避難所開設情報や、㈱バカンとの協定による150超の地方公共団体が管理する1万件以上(21年7月末時点)の避難所混雑情報をcmap上に表示し、住民が速やかに避難できるよう支援する。
 近年、自然災害が多発・激甚化する中で、被災時の逃げ遅れによる被害が数多く発生しており、災害時の住民避難は大きな社会課題となっている。本年5月には災害対策基本法が改正され、地方公共団体に対して避難行動要支援者の個別避難計画策定が努力義務として位置付けられたほか、6月に公表された国土交通省の「総力戦で挑む防災・減災プロジェクト第2弾」でも住民避難が重点推進施策の一つとされるなど、避難行動への対策が急務となっている。
 あいおいニッセイ同和損保は、住民避難に向けた取り組みとして、19年9月から広島県立広島大学と保険を活用した避難スキームの共同研究を進め、本年2月には埼玉県三芳町で実証実験を実施、住民避難に関わる災害時特有のリスクと対策等を検証してきた。本取り組みを通じて得た知見やノウハウを生かし、「避難保険プラン」をこのたび提供することとした。
 「避難保険プラン」について、広島大学の江戸克栄教授は「避難指示等が発令されても避難行動に移すことが困難な人はたくさんいる。その理由は『移動手段がない』『避難施設が不安』など多種多様だ。避難をちゅうちょする要素を取り除き、避難行動を促進するのが『避難保険プラン』の考え方だ。一人でも多くの人が、適切なタイミングで、適切な場所に避難していただくために、『避難保険プラン』は有効なコンテンツだと思う」とコメントしている。