2021.09.10 損保ジャパン、SOMPOリスク カーボンニュートラルで関西電力と協業
損保ジャパン、SOMPOリスクマネジメント(以下、SOMPOリスク)は8月24日、関西電力とカーボンニュートラル社会の実現に向けた新たなサービスの共同開発・提供のための協業に合意したことを発表した。電力会社と損害保険会社が包括的にカーボンニュートラル社会の実現に向けた協業に取り組むのは国内初のケース(損保ジャパン調べ)。
2050年におけるカーボンニュートラル社会の実現に向け、バーチャルパワープラント(以下VPP)(注)事業など新たな取り組みの実現に向けた実証等が進んでいるが、一方で、新たな取り組みにはさまざまなリスクが顕在化している。例えば、VPP事業では、活用する分散型エネルギーリソースの拡大や運用が多様化する中で、発電量等の予測の相違といったリスク等が懸念されている。今後、カーボンニュートラルを進めるためには、エネルギーや環境価値の供給サイドと利用サイドの双方の事業者が安心して事業運営できる環境を整備していくことが課題となる。
関西電力グループは、ゼロカーボンエネルギーのリーディングカンパニーとして、ゼロカーボン電源の拡大に向けた取り組みを進めるとともに、「ゼロカーボンソリューションプロバイダー」として顧客や社会のゼロカーボン化に資する最適なソリューションを提案・提供している。今般、カーボンニュートラル社会の実現に向け、3社で意見交換を重ねてきた中で、3社のノウハウを生かした商品・ソリューションの開発について、その実現可能性が見えてきたことから、協業を開始したもの。
今回の取り組みは、将来のエネルギー事業環境を見据え、エネルギーや環境価値の供給サイドや利用サイドが安心して参画することのできる市場環境を整備し、ソリューションサービス提供を進めることで、ゼロカーボン社会の実現に貢献していくことが目的で、関西電力が行っている顧客のゼロカーボンへの検討・取り組み状況に応じて、海外の再生可能エネルギーによる電力の環境価値を国際環境証書として調達・提供するサービスや、太陽光発電オンサイトサービス等の具体的なソリューション提案、ゼロカーボンに係る目標設定から情報開示までをまとめてサポートする活動などのゼロカーボンコンサルティングのノウハウやリアルデータを活用し、損保ジャパンの各種リスク評価や分析等の強みとSOMPOリスクのESGコンサルティングメニューを通じて、カーボンニュートラル社会の実現に向けた市場環境整備のための新たな商品・ソリューションの開発や、3社のサービスを組み合わせたソリューションサービスの実現を目指す。
具体的には、環境価値取引における設備トラブルリスク(風雨災害や設備の不調によりゼロカーボンの発電施設が停止し、本来得られるはずの環境価値を逸失するリスクなど)をヘッジする保険商品や、VPP事業におけるリスク等を特定化、定量化し、それらをヘッジする保険商品の開発を目指すことが考えられている。VPP事業のリスクとしては、▽サイバーインシデントリスク(事業参画者の不十分なセキュリティ対策や未知の攻撃を発端とした他の関係者への被害の波及など)▽報酬リスク(自然災害などの外発的な要因により、電力需給調整に失敗し、逸失利益やペナルティが発生するリスク)▽天候変動リスク(大幅な天候の変動により、小売業者に対するインバランス回避や発電事業者に対する出力抑制回避を履行できないリスク)などが想定されているという。
(注)顧客の持つ小規模な再生可能エネルギー発電設備や蓄電池、電気自動車といった分散型エネルギー資源を高度なネットワークシステムを活用して遠隔で制御し、あたかも一つの発電所のように機能させる取り組み。仮想発電所とも呼ばれる。