2021.07.05 生保各社20年度(21年3月期)決算 新契約保険料17%減に回復[2021年]
生保各社の2020年度決算(21年3月期)を見ると、新契約年換算保険料は新型コロナウイルス感染拡大の影響により大きな落ち込みを示し、42社全体で前期比17.8%減となった。ただし、上半期末からは16.8ポイント持ち直し回復基調にある。新契約年換算保険料で前期を上回ったのは19社。当期純利益(剰余)は42社中27社で前期を上回った。〈4~6面に生保協会会員各社の業績詳細を掲載〉
日本生命グループの新契約年換算保険料は、日本生命単体が前期比16.2%減の2099億円、大樹生命が同42.8%減の189億円、ニッセイ・ウェルス生命が同39.1%減の729億円などだった。連結保険料等収入は創業間もないはなさく生命を除くと、グループ各社ともに新型コロナウイルス感染症の拡大を受けた活動自粛・制限に伴う販売量の減少や、外貨建保険商品の販売減少が主な要因となり減少し、同9.3%減の5兆1901億円となった。グループ基礎利益は国内株式配当金の減少などを主因に利差益が減少したものの、販売量減少に伴う費差関係費用の一時的減少による保険関係損益がプラスとなり、同0.8%減にとどまる6899億円となった。連結当期純剰余は同72.5%増の3315億円となった。
かんぽ生命は積極的な営業活動を自粛していたことから、新契約年換算保険料は個人保険で前期比79.1%減の306億円となった。保険料等収入は同5476億円減の2兆6979億円。保有契約の減少が続く状況の中、新契約の減少に伴う事業費の減少や入院保険金等の支払いが減少したことにより基礎利益が同213億円増の4219億円となり、キャピタル損の改善等により経常利益が同20.6%増となったことなどにより、当期純利益は同10.2%増の1661億円となった。
明治安田生命グループの保険料等収入は、明治安田生命単体の外貨建一時払保険の販売が減少したことを主因として、前期比8.3%減の2兆6693億円となった。グループ保険料のうち、海外保険事業等は同0.4%減の3172億円だったが、スタンコープ社の業績は同0.4%増の2956億円。グループ基礎利益は、利息及び配当金等収入の減少を主因として、同8.8%減の5798億円。連結の当期純剰余は同9.2%減の1887億円だった。明治安田生命単体の新契約年換算保険料は、同10.9%減の937億円で、保険料等収入は同9.3%減の2兆3521億円だった。基礎利益は外国債券の利息や内外株式の配当金の減少などにより、利差益が同293億円減少したことにより同414億円減の5502億円だった。
第一生命ホールディングスのグループの新契約年換算保険料は、第一生命の上期の営業自粛等の影響や豪TALの前期の大型団体保険の反動減等により年度累計で前期比31.9%減の2288億円となった。連結純利益は、第一フロンティア生命のMVA関連損益が前期から大幅に改善したことやジャナス・ヘンダーソン株式の売却益等により、前期から3313億円増の3637億円を計上した。第一生命単体の営業成績は、新契約年換算保険料が同31.3%減の616億円。保険料等収入は同3%減の2兆2854億円だったが、資産運用収益が同2827億円増の1兆3571億円を計上した。基礎利益は同14%増の4805億円を計上した。
住友生命グループの新契約年換算保険料は、前期比5.9%減の1907億円となった。国内事業は同3.2%減の1114億円となり、このうち住友生命単体は、新型コロナウイルス感染症拡大に伴う上半期の訪問活動自粛などの影響が大きく、同13.5%減の949億円となった。一方、メディケア生命は同209.3%増の165億円となった。海外事業(シメトラ)は、新型コロナウイルス感染症拡大による影響で同9.6%減の792億円となった。グループの保険料等収入は、同1.3%減の2兆4155億円。グループの基礎利益は3570億円と同9.0%の減少となった。住友生命単体では、長期的な成長に向けた投資および新型コロナウイルス感染症拡大に対応したコストが増加したことなどにより、同6.4%減の3476億円。
メットライフ生命の新契約年換算保険料は前期比23.1%減の711億円だった。保険料等収入は同11.0%減の1兆6213億円。資産運用収益は同101.9%増の9075億円で、このうち利息及び配当金等収入は同159億円減の3117億円。経常費用は同2001億円増の2兆4257億円で、このうち保険金等支払金は同34.1%減の8723億円、責任準備金等繰入額は同9944億円増の1兆1208億円、資産運用費用は同75.9%減の1018億円、事業費は同282億円減の2448億円だった。基礎利益は同25.9%増の1613億円で、当期純利益は同88.4%増の1150億円となった。
アフラックは、がん保険、医療保険の販売が減少したため、個人保険分野全体での新契約件数は前期比32.1%減の79万件となった。新契約年換算保険料も同30.5%減の459億円となった。保険料等収入は同3.4%減の1兆3642億円。保険料等収入や利息及び配当金等収入等が減少したものの、責任準備金等繰入額および保険金等支払金の減少等により基礎利益は同3.6%増の3383億円となった。当期純利益は同17.9%増の2365億円を計上。
ソニー生命の新契約年換算保険料は前期比9.2%減の746億円となった。基礎利益は新型コロナウイルス対策関連費用を計上したものの、市況の好調により変額保険の最低保証に係る責任準備金繰入額が減少したことなどにより同42.1%増の1366億円を計上した。当期純利益は同22.1%減の432億円となった。
プルデンシャルグループの生命保険会社3社(プルデンシャル生命、ジブラルタ生命、PGF生命)の新契約年換算保険料は前期比10.5%減の1203億円だった。連結保険料等収入は同0.2%減の2兆1304億円で当期純利益は同67.5%増の1897億円を示した。このうち、プルデンシャル生命の新契約年換算保険料は同6.5%減の649億円、基礎利益は同7.2%減の577億円、純利益は543億円だった。また、ジブラルタ生命の新契約年換算保険料は同18.8%減の413億円、基礎利益は同13.1%減の1111億円、純利益は1291億円を示した。
T&D保険グループは、太陽生命・大同生命・T&Dフィナンシャル生命3社合算の新契約年換算保険料が前期比5.3%増の1103億円となった。中核生保3社合算の基礎利益は、利息及び配当金等収入の減少などにより同3.1%減の1610億円。当期純利益は、生保事業が堅調に推移したことに加え、米国再保険持株会社(フォーティテュード)の持分法による投資利益を計上したことにより前期から大幅に増加し、同141.9%増の1623億円を示した。
フコク生命グループ2社(富国生命、フコクしんらい生命)合算の新契約年換算保険料は前期比12.3%減の181億円となった。合算の保険料等収入は同7.2%減の5847億円。合算の基礎利益は同0.3%増の828億円となった。富国生命単体の当期純剰余は、同13億円増の354億円となった。
朝日生命の新契約年換算保険料は、前期比0.7%増の251億円。保険料等収入は同0.6%減の3914億円、資産運用収益は同4.8%増の1465億円を計上。基礎利益は465億円で、利息及び配当金等収入の増加による逆ざや額の改善により168億円増益となった。