2020.02.24 かんぽ生命 20年度第3四半期決算、当期純利益は12%増に[2021年2月12日]

 かんぽ生命は2月12日、2020年度第3四半期決算を発表した。連結業績では、経常収益は前年同期比3342億円減(6.1%減)の5兆1273億円となった。新契約の減少に伴う事業費等の減少等により、経常利益は同269億円増(11.5%増)の2608億円、親会社に属する四半期純利益は同140億円増(12.2%増)の1290億円となった。20年度通期の連結業績予想については、経常収益を1000億円下方修正した一方、経常利益を1000億円、親会社に属する当期純利益を330億円それぞれ上方修正した。  連結主要業績で、経常収益5兆1273億円のうち、保険料等収入は前年同期比4730億円減の2兆527億円、資産運用収益は同661億円減の8012億円、責任準備金戻入額は同2115億円増の2兆1878億円だった。  経常費用は同3611億円減の4兆8664億円で、このうち、保険金等支払金は同2457億円減の4兆4353億円、資産運用費用は同382億円減の531億円、事業費(委託手数料等)は同662億円減の3025億円で、事業費とその他経常費用の合計は同771億円減の3779億円だった。  かんぽ生命では2020年5月15日公表の連結業績予想のうち、経常収益を6兆8500億円から6兆7500億円に下方修正した。当初業績予想策定時と比較して運用環境が好転した一方で、解約が想定よりも減少していることおよび危険準備金の超過繰入れを見込んでいることにより責任準備金戻入額の減少を見込んでいることによる。また、経常利益の予想については、危険準備金の超過繰入れ(▲500億円程度)を見込んでいるものの、当初業績予想策定時と比較して運用環境が好転したこと(プラス1000億円程度)、保険金等の支払いが想定よりも減少することなどにより保険関係損益の増加が見込まれること(プラス500億円程度)を理由に2000億円から3000億円に上方修正した。親会社株主に帰属する当期純利益は1240億円から1570億円に上方修正した。上方修正後の業績予想に対するそれぞれの進捗率は、経常利益が87.0%、当期純利益が82.2%となった。配当予想については20年5月15日公表の1株当たり76円からの変更はない。  かんぽ生命の契約の状況では、20年10月5日から、顧客への「お詫び」を第一とする信頼回復に向けた業務運営を開始しているものの、引き続き積極的な営業活動を自粛していることから、個人保険・個人年金保険合計の新契約年換算保険料は、前年同期比84.5%減の223億円にとどまり、このうち医療保障・生前給付保障等(第三分野)の新契約年換算保険料は、同95.3%減の10億円だった。  個人保険・個人年金保険合計の保有契約年換算保険料は、前年度末比7.9%減の3兆2768億円で、このうち第三分野は同5.8%減の3708億円。なお、かんぽ生命が独立行政法人郵便貯金簡易生命保険管理・郵便局ネットワーク支援機構から受再している簡易生命保険契約(旧区分)を合算した個人保険の保有契約年換算保険料は3兆9955億円で前年度末比7.5%減、うち第三分野は6797億円で同5.0%の減少となった。  個人保険の保有契約件数は、新旧区分合算で前年度末比6.3%減の2537万件となった。商品別に見ると、養老保険は937万件(占率36.9%、前期末実績1041万件)、終身保険は1219万件(占率48.1%、前期末実績1259万件)、学資保険は367万件(占率14.5%、前期末実績393万件)、その他は13万件(占率0.5%、前期末実績13万件)。  かんぽ生命の単体ベースでは、順ざやが前年同期比89億円減少したものの、保険関係損益が前年同期を182億円と大きく上回った結果、基礎利益は前年同期を92億円上回る3097億円となった。基礎利益の増加に伴い、経常利益は同257億円増の2600億円となり、四半期純利益は前年同期を129億円上回る1284億円となった。なお、保険関係損益182億円増の内訳は、新契約の減少に伴う事業費等の減少でプラス714億円、保有契約の減少等で▲630億円、引当金の影響でプラス98億円。このうち引当金の影響とは、不適正な募集行為による顧客の不利益を解消するための保険料の返戻や保険金の支払いについて、契約調査の進展等を見積もりに反映したことによる保険金等支払引当金の戻入等の影響額のこと。  総資産は、前期末から1兆9807億円減少し、69兆6840億円となった。純資産は同7832億円増の2兆7116億円。順ざやは413億円で、キャピタル損益は▲420億円となった。  連結ソルベンシー・マージン比率は、1156.7%で前年度末比85.8ポイント低下した。  エンベディッド・バリュー(EV)は前期末からの金利および株価の上昇等により17.9%増加し、3兆9189億円となった。