2021.02.18 MS&ADHD 20年度第3四半期決算、純利益4割減で1500億円に[2021年2月12日]

 MS&ADインシュアランスグループホールディングス(MS&ADHD)が2月12日に発表した2020年度第3四半期決算によると、連結経常収益は前年同期比4.1%減の3兆9712億円となった。損保子会社の連結正味収入保険料は、海外子会社における減収等を主因に同1.7%減の2兆6787億円となった。一方、生保子会社の生命保険料は同80.0%減の1564億円と大幅に減少した。連結経常利益は同16.8%減の2202億円。連結四半期純利益は、国内生保が増益となったものの、国内損保と海外子会社が減益となった他、前年の海外事業再編影響の反動等の特殊要因により、同44.4%減の1500億円となった。昨年11月19日に発表した通期純利益予想1400億円に対する進捗率としては107.1%になる。グループ修正利益は、ほぼ前年同期比並みの2012億円で、通期予想2100億円に対する進捗率は95.8%。
 グループのボトムラインにおける前記特殊要因の内訳は、①前期の海外事業の組織再編に伴う影響の反動(三井住友海上)が▲645億円②再保険コストの平準化(三井住友海上・あいおいニッセイ同和損保)が▲229億円(税前▲318億円) ③連結納税制度導入に伴う一時的な税負担減少がプラス197億円―で、①~③の合計は▲677億円。
 グループ修正利益については、再保険コスト平準化の影響を除くと前年同期比250億円増益の2242億円となる。
 国内損保主要2社の業績で、保険引受利益は三井住友海上が前年同期比359億円減益の455億円、あいおいニッセイ同和損保が同42億円増益の85億円となり、2社合計では同317億円減益の540億円となった。ただし、再保険コスト平準化による特殊要因の影響(▲318億円)を除けば、同1億円増益の859億円となる。
 正味収入保険料は、2社合計で同126億円増(0.6%増)の2兆1288億円。自賠責保険は減収となったものの、火災保険・自動車保険の料率改定の影響等で増収となった。
 三井住友海上の正味収入保険料を種目別に見ると、火災が同17.2%増の1763億円、自動車が同2.0%増の5107億円、その他が同3.9%増の2169億円と前年実績を上回った一方、海上が同16.6%減の386億円、傷害が同0.6%減の1069億円、自賠責が同15.0%減の1188億円となり、合計は同1.3%増の1兆1684億円となった。除く家計地震・自賠責ベースでは、同3.5%増の1兆494億円。正味支払保険金は同7.9%減の6245億円、家計地震・自賠責を除いたEI損害率は同2.8ポイント下がり58.6%、正味事業費率は同0.9ポイント上昇し32.5%となった。コンバインド・レシオは同4.1ポイント下がり92.0%。
 あいおいニッセイ同和損保の種目別正味収入保険料は、火災が同2.0%増の1557億円、傷害が同1.8%増の442億円、自動車が同2.2%増の5448億円と前年実績を上回った一方、海上が同11.9%減の50億円、自賠責が同12.9%減の1078億円、その他が同0.9%減の1027億円となり、合計は同0.2%減の9603億円となった。除く家計地震・自賠責ベースでは、同1.6%増の8523億円。正味支払保険金は同8.2%減少して5062億円、家計地震・自賠責を除いたEI損害率は同4.8ポイント下がり58.6%、正味事業費率は同0.4ポイント上昇の34.7%、コンバインド・レシオは同3.9ポイント下がり92.9%。
 国内損保主要2社の資産運用・その他収支は、利配収入や有価証券売却益の減少により前期比308億円減の1132億円となった。
 2社合計の経常利益は同625億円減益の1672億円で、このうち三井住友海上は同435億円減益の1246億円、あいおいニッセイ同和損保は同189億円減益の426億円。
 2社合計の四半期純利益は1133億円を計上、同937億円の減益となった。このうち三井住友海上は同780億円減益の835億円、あいおいニッセイ同和損保は同157億円減益の298億円だった。
 ソルベンシー・マージン比率は、三井住友海上が前年度末比38.1ポイント上昇して739.4%、あいおいニッセイ同和損保が同70.3ポイント上昇して772.6%となった。
 国内生保子会社のグロス収入保険料は合計で前年同期比16.8%減の8859億円。
 三井住友海上あいおい生命の新契約高(個人合計)は、新型コロナの影響等を主因に同15.8%減少し1兆3051億円。ただし、第2四半期(同22%減)に比べて減少割合は縮小している。新契約年換算保険料は同11.5%減の192億円だった。このうち第三分野は同26.3%減の108億円。保有契約高(個人合計)は期首比0.6%減の24兆3189億円。保有契約年換算保険料は同0.2%減の4474億円で、このうち第三分野は同4.3%増の1440億円。保険料(グロス収入保険料)は、前年同期比1.8%減の3758億円だった。経常利益は同41.3%増の209億円、四半期純利益は責任準備金繰入負担の減少に加え手数料の減少と経費の削減などにより同82.9%増の127億円を計上した。
 三井住友海上プライマリー生命の新契約高(個人合計)は同26.0%減の5099億円、保有契約高(個人合計)は期首比4.6%増の6兆8165億円だった。保険料(グロス収入保険料)は、新型コロナの影響等を主因に前年同期比25.2%減の5101億円。経常利益は同263.9%増の624億円。四半期純利益は円安局面において契約者が設定した運用目標値に到達(ターゲットヒット)した契約の発生に伴う債券売却益や責任準備金繰入負担の減少に加え、代理店手数料負担の減少などにより、同91.2%増の359億円となった。
 海外保険子会社の業績は、正味収入保険料は為替レートが前期比で円高となったことや、欧州のMSアムリンの保険引受収支改善に向けた取り組みの推進等により、前年同期比10.1%減の5233億円となった。四半期純利益は欧州での新型コロナ関連ロスや資産運用損益の減少、海外生保での持分法適用関連会社の損益減少等を主因に、同130%減の▲90億円となった。欧州は同355億円の減益、海外生保は同107億円の減益となった。
 国内・国外損保の新型コロナによる正味発生保険金の状況については、合計で490億円と報告。内訳は三井住友海上が37億円、あいおいニッセイ同和損保が54億円、海外子会社全体では399億円で、うちMSアムリンが383億円。