2021.02.17 東京海上HD 20年度第3四半期決算、連結純利益は半減の1127億円[2021年2月10日]

 東京海上ホールディングスが2月10日に発表した2020年度第3四半期決算によると、連結経常収益は前年同期比0.0%増の4兆963億円となった。正味収入保険料は同0.4%増の2兆7217億円、生命保険料は同1.6%減の6990億円だった。連結経常利益は同39.0%減の1824億円。連結純利益はコロナの影響や異常危険準備金の積増負担増を主因として同50.2%減、1139億円減益の1127億円となった。通期予想2000億円に対する進捗率は56%で予想を若干下回って進捗しているが、異常危険準備金等を控除する修正純利益は、同287億円増益の2437億円で通期予想3320億円に対して73%の進捗率を見せている。
 連結の正味収入保険料は、国内がコロナの影響や自賠責の料率引下げ等により減収したものの、海外における成長施策の実行やレートアップ等により、為替影響を除くと前年同期比5.7%増収となり、通期予想3兆5500億円に対する進捗率は77%で基調は好調。同生命保険料は、海外がTokio Marine HCC(TMHCC)のレートアップ等により増収したものの、国内における事業保険の解約増加等により、為替影響を除くと同0.7%減だが、通期予想9200億円に対する進捗率は76%。
 国内損保事業では、東京海上日動の正味収入保険料は料率改定効果による自動車・火災の増収により家計地震・自賠責を除いた民保ベースで前年同期比285億円の増収だった。発生保険金(民保)は自然災害の減少、コロナ影響等による自動車・傷害の事故頻度低下があったもののコロナ影響による海外での発生保険金の増加があり、同951億円増加した。異常危険準備金は自然災害の減少やコロナの影響に伴う自動車等の事故頻度の低下により取崩額が減少し、1363億円の積増となった。自然災害責任準備金は火災の損害率の上昇傾向を反映した積増が同89億円あった。自動車の発生保険金の減少に伴う初年度収支残負担の負担増が363億円だった。以上の結果、保険引受利益は▲38億円となり、前年同期比400億円の減益となった。
 資産運用等損益は、海外子会社や内国株式からの配当金の減少を主因として、同231億円減益の1346億円。
 以上の結果、経常利益は同626億円減益の1343億円だった。また、特別損益が同62億円減益の▲159億円あり、四半期純利益は同598億円減益の965億円を計上し、通期予想1550億円に対する進捗率は62%と計画を若干下回る進捗となっている。
 正味収入保険料(民保)は、前年同期比1.9%増の1兆5048億円となった。全種目では、自賠責の20年4月の料率引下げの影響等により同0.1%減の1兆6850億円。種目別では、火災は出再保険料が増加したものの、19年10月の料率改定効果、自然災害発生に備えた加入ニーズの高まりによる新規契約の増加があり、同6.8%増の2591億円、海上はコロナに伴う物流減等による減収で同8.4%減の444億円、傷害はコロナに伴う旅行保険の減収により同9.5%減の1249億円、自動車は20年1月の料率改定効果とコロナに伴う新車販売台数減少にかかわらず着実な営業施策を実行したことにより契約台数は増加し、同2.6%増の8255億円、自賠責は20年4月の料率引下げやコロナに伴う新車販売台数の減少により同14.5%減の1797億円、その他はコロナに伴う興行中止保険等の減収があったものの動産総合保険等での大口契約、賠償責任保険や航空保険(海外受再)でのレートアップによる増収により同3.4%増の2511億円だった。
 発生保険金(民保ベース、損害調査費含む)は自然災害の減少(▲795億円)やコロナに伴う外出自粛による自動車・傷害の事故頻度の減少などのコロナ影響(▲429億円)を主因に、前年同期比951億円減少の9100億円だった。E/I損害率は同8.5ポイント低下の61.3%。事業費率は手数料率が上昇した一方、社費率は低下したため、同0.7ポイント低下の31.0%。コンバインド・レシオ(民保E/Iベース)は同9.2ポイント低下し92.3%となった。単体ソルベンシー・マージン比率は前年度末比25.2ポイント上昇し840.4%となった。
 日新火災の保険引受利益は、既経過保険料の増加や発生保険金の減少を主因として前年同期比53億円増益の50億円を計上した。資産運用等損益は有価証券売却益の増加を主因として同37億円増益の51億円。四半期純利益は同63億円増益の67億円となったが、通期予想160億円に対する進捗率は42%。単体ソルベンシー・マージン比率は前年度末比147.6ポイント上昇し1262.9%となった。
 東京海上日動あんしん生命の経常収益は前年同期比70億円増の7302億円だった。新契約年換算保険料は、コロナ下での対面販売自粛の影響があったものの新たな引受基準緩和型医療保険や回払変額保険の販売好調によって挽回し同6.6%増で、300億円となった。保有契約年換算保険料は、事業保険で新契約による増加が解約等の減少を下回った結果、同2.0%減の8234億円となったが、事業保険を除くと同2.2%増となる。基礎利益は同171億円増益の466億円で、経常利益は同212億円増益の422億円だった。四半期純利益は、前期におけるシステム開発費増加の反動や為替ヘッジコストの減少等により同139億円増益の319億円となった。通期予想470億円に対する進捗率は68%。単体ソルベンシー・マージン比率は、前年度末比115.7ポイント上昇し、1632.0%。
 海外保険事業の正味収入保険料は、前年同期比3.9%減の1兆2534億円だった。コロナ影響(▲550億円)やボトムフォーカスの引受に伴う減収を順調なレートアップ等で相殺し、現地通貨ベースではほぼ横ばいとなっている。
 海外保険事業の事業別利益の合計は、コロナの影響(▲860億円)を主因として、同794億円減益の612億円となった。通期予想750億円に対する進捗率は82%。
 損保事業で北米は、前年同期の過年度リザーブ積増の反動やレートアップ等による収益改善があったもののコロナの影響や自然災害の増加で同450億円減益の691億円だった。欧州・中東・アフリカは、欧州におけるコロナ影響を主因に同189億円減益の▲125億円。中南米は、同9億円減益の82億円だったが、現地通貨ベースでは増益となっている。アジア・オセアニアは、コロナにより自動車事故は減少したが取引信用保険でリザーブ積増が発生したことのより同40億円減益の90億円だった。
生保事業では、シンガポールにおける前年度の株価上昇の反動やコロナに伴う経済環境変動の影響により同65億円減益の▲12億円だった。