2020.10.21 ■損保ジャパン 「自動走行ロボット専用プラン」発売、実証実験を包括補償、リスクコンサルも[2020年10月5日]

 損保ジャパンは、自動走行ロボットの実証実験を行う企業、大学、研究機関、地方自治体などを対象とした「自動走行ロボット専用保険プラン(実証実験向けオーダーメイド型)」を開発し、10月5日から提供を開始した。
 9月2日に公表されたNEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)の自動走行ロボット開発事業には12社(10案件)が採択されるなど、生産性の向上(増加する物流量への対応)や人員削減(高齢化や労働人口減への対応)、安全性の向上への期待により、自動走行ロボットを開発する企業が増えている。新型コロナウイルス感染症予防のため、物流や施設管理などの分野では、人手を介さない「遠隔・非対面・非接触」の配送ニーズや作業ニーズが高まっており、自動走行ロボットを活用した新たなサービスの早期実現が期待されている。
 こうした背景から、自動走行ロボットを用いた自動での配送や消毒、警備などのサービス提供に向けて、集合住宅・市街地・商業施設・工業地帯などの施設内に加え、公道でも自動走行の実証実験が始まっている。それらの実証実験では、自律走行や遠隔監視操作による「運行リスク」や、配送貨物が破損した際の補償や警備作業中に犯罪者と誤認することによる人格権侵害といった「業務遂行リスク」など、多種多様なリスクへの対応が求められる。
 損保ジャパンの「自動走行ロボット専用保険プラン」は、主に自動走行ロボットによる配送や作業に関わるさまざまなリスクを包括的に補償する「運行や業務遂行リスクに備えた専用保険プラン」と、SOMPOリスクマネジメントのノウハウを生かした「リスクコンサルティング」からなる。実証実験のさまざまな形態に対応するため、オーダーメイド型の商品として、顧客のニーズに合わせた設計を可能としている。
 専用保険プランは、(ア)運行リスク補償(イ)破損・故障リスク補償(ウ)サイバーリスク補償(エ)業務遂行リスク補償―で構成される。
 (ア)の運行リスク補償は、運行に起因する事故全般を補償するもので、①歩行者等の過失100%補償:実験者が法律上の賠償責任を負う場合に、歩行者等の過失部分も含めて治療費等を支払う②対物事故臨時費用:物損事故発生時の臨時費用(定額)を支払う③共同開発者への求償を不行使:実施事業者が運送・消毒・警備事業者である場合に、システム開発事業者との責任関係の紛争を未然防止④遠隔操作者の刑事責任に対する弁護士費用:事故で相手方が死傷した場合において、遠隔操作者が刑事責任を追及された場合の弁護士費用を支払う―が内容で、③と④はこの商品の独自補償。
 (イ)の破損・故障リスク補償は、機器の破損・故障損害を補償(専用機器の据付ミス・組立ミスなどを含む)するもので、①自動走行ロボット本体:通常の自動車保険では対象外となる自動走行ロボット本体の故障損害を補償②専用機器:LiDARやミリ波レーダー等の高額な専用機器の破損・故障損害を補償―が内容。
 (ウ)サイバーリスク補償は、サイバー攻撃を受けた際の損害を補償する。
 (エ)の業務遂行リスク補償は、ロボットが提供する作業のリスク全般を補償するもので、①搬送物リスク補償:自動走行ロボットが運ぶ貨物に生じた損害を補償②誤作動リスク補償:自動走行ロボットの誤作動により生じた損害を補償③運送・消毒・警備事業者に対する賠償:誤作動時の運送・消毒・警備事業者に対する損害賠償責任(または、それに対応する費用)を補償④調査費用等の各種費用:事故または誤作動時の原因調査費用、再発防止措置費用などを補償(誤作動は、配送ロボットによる誤配、警備ロボットによる本来撮影すべき犯罪者の写真が撮影できていない、消毒ロボットの消毒液の誤散布など)―が内容。
 リスクコンサルティングは、①自動走行実験リスクアセスメントの支援:実証実験開始前に総合的にリスクを洗い出し、評価・対策を実施②事故発生時の危機管理対応マニュアルの作成支援:万が一の事故発生時における関係者の対応をまとめたマニュアルの作成を支援―が内容。
 他に、自動運転の実現のための専用サービスとして、「走行不能時の搬送無制限サービス」が独自に用意されている。自動走行ロボットが走行不能となった場合に、実施事業者の指定場所まで無償で搬送サービスを提供するもの。