2020.07.27 ■生保協会 根岸新会長が就任会見、全顧客に変わらぬ安心を[2020年7月17日]
生命保険協会の第58代協会長に就任した根岸秋男氏(明治安田生命社長)が7月17日、東京都千代田区の生保協会会議室で業界紙向けの就任会見を行い、所信を表明した。根岸協会長は、顧客本位の業務運営の徹底を図りながら、新型コロナウイルスと人生100年時代を踏まえた顧客対応を基軸とした取り組みを推進する方針を示し、「生保業界が担う社会的使命の重さを常に意識して、コロナ時代の『新たな日常』の確立に加えて、超高齢社会への対応や高校生向けの保険教育に関わる環境整備の推進など、全てのお客さまに変わらない安心を届ける活動に全力で取り組んでいく」と語った。(本日付2面に「所信」全文を掲載)
一つ目の基軸となる新型コロナウイルスを踏まえた顧客対応については、20年5月に策定した「新型コロナウイルス感染症対策ガイドライン」に基づき感染予防と適切な業務継続の両立に取り組む。また、顧客から寄せられる声に真摯に耳を傾けることに加え、サービス提供に関わる会員各社の取り組みの情報収集・共有化を進め、対応の高度化を図るとした。
また、新型コロナウイルスの直接的な影響を受けた顧客に対しては、第2波の到来などの感染状況に応じて、保険料払込猶予期間の延長や保険金等の簡易支払いといった特別取り扱いの実施を適宜検討する。さらに、社会貢献活動として、例年実施している子育て支援などの内容を拡充すると説明した。
二つ目の基軸として掲げる人生100年時代を踏まえた顧客対応については、①高齢社会への対応②保険教育の推進③事業の健全な発展に向けた基盤整備―の三つの取り組みに注力していく考えを示した。
高齢社会への対応では、高齢の顧客でも安心して契約を継続できる環境整備が重要な課題だとし、会員各社のアフターフォローの改善・向上を目的に、超高齢社会の保険サービスが直面する課題や目指すべき姿について意見発信を行う。
また、認知症サポートを推進し、認知症になった場合に顧客やその家族に生じる不便を含めた課題を特定し、業界全体で解決に向けた取り組みを検討していくとした。
保険教育の推進については、新たな学習指導要領に基づいた高等学校での保険教育の実施や成人年齢の引き下げを鑑み、20年度は、学校教育の場で、高校生が正しく保険の知識を身に付けるための環境整備に向けたコンテンツの作成と活用促進に取り組むとした。
根岸協会長は「人生100年時代に向け、早い段階で、保険制度や自助努力に対する理解を深め、これから直面するさまざまなリスクについて自ら考える機会を持つことが重要だ」と述べた。
事業の健全な発展に向けた基盤整備については、顧客からの信頼を維持し、業界の健全な発展を図ることを目指し、各種の基盤整備や業務運営の高度化に取り組む。また、顧客本位の業務運営については、顧客の最善利益の追求に向けて、顧客や社会からの要請などを的確に把握して業界課題への対応や会員各社の取り組み支援などに積極的に取り組むとした。
さらに、税制については、生命保険料控除制度拡充に向けた要望の他、ESG投融資やスチュワードシップ活動を通じて、投資先企業の企業価値向上や持続可能な経済成長へ貢献するとともに、国内規制のあり方に関する意見発信などの取り組みも適切に実施する方針を示した。
最後に、新型コロナウイルス感染拡大による特別取り扱いに関する6月末時点の業界全体の状況を報告。保険料払込猶予期間の延長は約20万9000件、新規契約者貸付は約85万6000件となった。また、新型コロナ感染症による死亡保険金の支払いは6月末で551件で約42億6000万円、入院給付金は6127件、約9億1000万円と報告した。