2020.06.26 ■生保各社の19年度決算 30社で新契約年換算保険料減少、多くの会社が減益決算に[2020年]

 生保各社の2019年度決算がまとまった。新契約年換算保険料は42社中30社で前期実績を割り込み、保険料等収入も上位社を中心に同19社が前期実績を割り込み減少した。基礎利益は微減にとどまったが、当期純利益(純剰余)はかんぽ生命、ソニー生命、東京海上日動あんしん生命、大同生命、朝日生命、SOMPOひまわり生命などを除き前期から減少した会社が多くなった。〈4~6面に生保協会会員各社の業績詳細を掲載〉

 かんぽ生命の当期純利益は新契約の減少に伴う事業費等の減少や資産運用における順ざやの確保により、前期比25・1%増の1506億円となった。保険料等収入は保有契約の減少と営業活動の自粛等の影響により、同7143億円減の3兆2455億円。新契約年換算保険料は、営業活動の自粛や20年1月の業務停止等の影響によって、個人保険が同58・2%減の1469億円、第三分野が同64・1%減の221億円となった。
 日本生命グループの基礎利益の合計は保険料率改定が主な要因となり前期比9・8%減の6958億円となった。日本生命では、保険料率改定に加え、円高による外国債券利息等の減少により減益。大樹生命も、保険料率改定の影響により減益となった。MLCでは、所得補償保険の支払い増加等により減益した。はなさく生命は、開業に伴う初期投資により損失を計上した。国内の保険料等収入の合計は同5・7%減の5兆5044億円と減少した。そのうち個人保険・個人年金保険が同7・7%減の3兆9151億円。日本生命と大樹生命では海外金利の低下による外貨建保険商品の販売減少や、団体年金保険における新規引き受けの減少等により減収となった。一方で、ニッセイ・ウェルス生命では、生存保障重視タイプの商品や介護保障付商品の販売増加等により増収した。日本生命の新契約年換算保険料は同19・5%減の2504億円だった。
 明治安田生命のグループ基礎利益は、6355億円と前期比で0・3%増加し、3年連続で過去最高益を更新した。明治安田生命単体で増益したことに加え、海外保険事業等が同11・7%増の651億円、とりわけスタンコープ社が同15・9%増加するなど貢献した。グループ保険料(連結損益計算書上の保険料等収入)は、明治安田生命単体で外貨建一時払保険の販売が減少したことなどにより、同5・5%減の2兆9118億円。グループ保険料のうち海外保険事業等は同2・6%増の3184億円だった。グループ保険料に占める海外保険事業等の割合も10・9%と前年度から0・9ポイント増加するなど好調に推移した。明治安田生命単体の新契約年換算保険料は同25・6%減の1051億円。
 第一生命ホールディングスのグループ基礎利益は、第一生命で生命表の改定に伴う団体保険の保険料率引き下げ等による保険関係損益の減少や金利低下・為替円高による利息配当金等収入の減少等により前期比11・7%減の5349億円となった。親会社株主に帰属する当期純利益(連結純利益)は、外貨建保険での会計上の負債積み増しの発生により同85・6%減の324億円で減益となった一方で、グループ修正利益は海外の買収効果等により同16・2%増の2745億円となった。連結保険料等収入は海外金利低下による外貨建保険の販売減少により同8・6%減の4兆8854億円。新契約年換算保険料は、グループ全体で同30・9%減の3516億円だった。国内3社計は、同47・4%減の2204億円。各社ごとでは、第一生命が同6%減の896億円、このうち第三分野が同10・8%減の547億円、第一フロンティア生命が同41・9%減の1198億円、ネオファースト生命が同90・6%減の109億円となった。
 住友生命グループの基礎利益は、国内事業が前年同水準、海外事業が増加となり、グループ全体では3925億円と前年とおおむね同水準となった。保険料等収入は、前期比6・1%減少して2兆4467億円となった。そのうち国内事業は一時払終身保険の販売減少の影響が大きく、同7・2%減少して2兆2646億円だった。海外事業は保険契約の保有増を主要因に同10・4%増加し、1819億円となった。グループの新契約年換算保険料は同3・4%減の2027億円。国内事業は一時払終身保険の販売減の影響などにより、同13・4%減の1151億円となり、そのうち住友生命単体は同13・2%減の1097億円、メディケア生命は同15・7%減の53億円となった。一方、海外事業(シメトラ)は企業保険部門などの販売増により、同13・7%増の876億円を計上した。
 アフラックの当期純利益は前期比1・5%減の2006億円となった。保険料等収入は1兆4129億円で同1・3%減。利息及び配当金等収入が増加したため、基礎利益は同5・7%増の3264億円だった。個人保険分野全体で新契約件数は同24・2%減の117万8671件となったため、新契約年換算保険料も、同22・7%減の660億円となった。このうち第三分野は同23・5%減の609億円だった。
 メットライフ生命の当期純利益は前期比22・1%減の610億円となった。基礎利益は同9・9%減の1281億円となっている。保険料等収入は同14・1%減の1兆8225億円。個人保険・個人年金保険合計の新契約年換算保険料は同30・7%減少し924億円だった。そのうち医療保障・生前給付保障等は同28・0%減の268億円だった。
 プルデンシャルHDの当期純利益は前期比46・2%減の1132億円となった。生保3社(プルデンシャル生命、ジブラルタ生命、PGF生命)合算の基礎利益は、同5・5%減の1983億円だった。連結保険料等収入は同4・2%減の2兆1355億円。生保3社の個人保険+個人年金保険合計の新契約年換算保険料は同19・3%減の1344億円だった。
 ソニー生命は、当期純利益が前期比14・4%増の567億円となった。基礎利益は保有契約高の拡大による利益の増加があったものの、変額保険の最低保証に係る責任準備金繰入額が増加したことにより、同1・1%減の961億円だった。保険料等収入は一時払保険を主に増加し17・1%増の1兆3308億円を計上した。新契約年換算保険料は米ドル建保険の販売が好調だったものの、定期保険の法人向け販売が減少したことにより同6・6%減の821億円となった。うち、第三分野は同15・4%減の129億円。
 T&D保険グループの当期純利益は有価証券売却益が減少したことなどにより、前期比7・9%減の671億円となった。中核生保3社(太陽生命・大同生命・T&Dフィナンシャル生命)合算の基礎利益は、順ざやの増加等で同11・1%増の1662億円だった。3社合算の新契約年換算保険料は、主に大同生命の法人契約の一部商品の販売停止の影響により減少し、同34・0%減の1048億円だった。このうち第三分野は、同48・4%減の304億円だった。
 アクサ生命の当期純利益は441億円で前期比29・5%減だったが、2018年度の一時的要因を除くと、同175%増となる。基礎利益は資産運用収益の増加とテクニカルマージンの改善を主因として同12・8%増の590億円だった。保険料等収入は死亡保障および医療保障分野の販売増加を主因に同4・9%増の6376億円。新契約年換算保険料(個人保険+個人年金保険)は、同21・6%減の561億円となったものの、医療保障・生前給付保障等は同47・7%増の213億円だった。
 フコク生命グループ2社(富国生命、フコクしんらい生命)合算の基礎利益は前年度から減少して826億円だった。保険料等収入は前期比9・1%増の6299億円で、富国生命は団体年金保険、フコクしんらい生命は一時払い終身保険がそれぞれ増加した。合算の新契約年換算保険料は同15・6%増の206億円で2年連続の増加となり、個人保険は8年連続で増配を実施する。富国生命単体の利息及び配当金等収入は2年連続で過去最高を更新した。
 朝日生命の基礎利益は296億円で、前期比53億円の増加となった。当期純剰余は204億円(同41億円増)。保険料等収入は同0・8%減の3936億円。個人保険・個人年金の新契約年換算保険料は、前期比39・7%減の250億円。このうち第三分野は、同18・6%増の207億円となった。